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海に生きる八幡暁の”足元サバイバル”#6~まずは庭から~(2ページ目)

本当に大切な庭へと変える

そう思ったが吉日、やるべきことは家の庭の手入れからでした。庭には鑑賞用の木や草、花が植えられています。今まではその手入れさえ業者に任せていました。食べるものはありません。野菜も果物も、食べるものはお店で買うだけだったのです。

そこで極端ではありますが、庭を全部、本当に大切だと思うものに変えよう。そう考えた結果、植えるものは食い物、食い物、食い物、でした。菜園の知識はゼロですが、大好きな果樹と野菜を植えるべく作業を開始します。

さて植えるのものは……好きな果実! 好きな野菜! です。柿を植え、ブルーベリー、夏みかん、レモン、ビワ、アシタバ、ニラ、イチゴ、ジャガイモetc.……。

燃料として活用する

以前から生えていた木を掘り起こし、根っこを切り、倒す。普通、重機でやる作業も全て人力で、時間をかけて掘り起こしていきます。倒された木々は、ゴミに出すのではなく、手作りロケットストーブの燃料として使います。

何日経った頃には、見事に殺風景な庭になりました。わたしにとっては目の前に現れた荒野です。

ここは海辺でないので、すぐに魚を獲ってくるという訳にもいきません。そうなると毎日食べるタンパク質が無いな……。豚は家で飼えないし、沖縄のようにヤギとなると臭いが気になります。住宅街の中では難しそうです。

ニワトリを飼い始める

今までの旅を振り返ってみると、多くの漁村でニワトリが人と一緒に暮らしていました。残飯を食べながら、庭を走り回っていたのです。卵も採れるし、肉としても食べられる。人の暮らしにもっとも近い家畜かもしれません。さすが庭の鳥!

鳴き声の問題はあるけれど、夜だけは頭を上に伸ばせない小屋に入れてあげれば明け方に鳴かない、という話を聞いたことがあります。昼は庭を走り回らせて、我家地鶏にできるのではないかな。そんな思いつきで黒いニワトリをヒヨコから飼い始めました。

自分たちが食べたものは、そのままニワトリへ。ニワトリが食べられない残飯はコンポストで分解し、庭の土に混ぜ込めれば無駄がありません。今まで、なんのワクワクも感じなかった庭が、小さな宇宙を得たように呼吸しはじめました。

目の前のドラマに感動

自分の飼っているニワトリの身体作るのが、庭の土なのです。ニワトリは庭のミミズをついばみ、また身体へと入っていきます。ひらひらと落ちてくる桜の花びらや、庭の雑草、虫までも体に取り込み、どんどん成長していきました。

こうした目の前の他愛のないドラマも、手触りのある感動をもたらしていくのでした。

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