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海に生きる八幡暁の”足元サバイバル”#1~人は、どうやって生きているのか?~(2ページ目)

人は、どうやって生きているのか?

八幡暁

僕は、20歳の頃、「人は、どうやって生きているのか?」という素朴な疑問を持つようになっていました。勉強で評価され、スポーツで評価され、競争は嫌いじゃないものの頑張ってみることに疲れていたのかもしれません。

そもそも、この競争自体が何のためにやっているのかが、わからない。ただ生まれてきて当然のあるものとして目の前に出された選択肢を選んでいたら、やっていたという気がしていました。

お金を稼ぐ為であれば、もっと多様なやり方があるでしょうし、生きる為であれば他にやることがあるはずです。新しく開発される技術や、便利グッツにばかりが目に入ってきますが、ピンときません。人って何してきたんだろう? 若気の至りともいうべき疑問。ただそこに答えを出せない自分もいました。

八幡暁 遠征道具

八幡さんの遠征時の道具類。冒険に必要なだけの最小限にとどめている。

そんな折、新聞に海で魚を獲って生きる人の記事がありました。銛一本で、何でも獲ってくる男。船もいらない。足ひれとマスク、獲った魚を釣るしておく漁具を引っ張って泳ぐという。身体一つで海に出る。食べ物をお金で買うことが当たり前の世の中しか知らなかった僕は、完全に心を奪われました。

自分も、食べものを獲ることから始めよう。どんな人でも食べないと死ぬのだから。水を探そう。水が無いと死ぬのだから。そして海を潜る毎日が始まったのです。

潜って、捕って、食べるというシンプルな行動

八幡暁 海に潜る

「3分、30m」は誰でも出来る。文字通り、3分間息を止めて、30m潜れるようになるのは、たいしたことじゃない、つまり魚を獲ることは誰でも出来ると漁師が教えてくれました。それを信じて海へ向かっていたら、いつしか出来るようになっていました。

釣れたイシダイ

2004年神奈川県葉山町から沖縄の旅の途中にて、イシダイ

「潜れる海があれば生きられる」ことが腑に落ちただけでは飽き足らず、国内外の漁村を訪れ、そこの漁法を見たり、少しだけ一緒に暮らしをさせてもらうような旅を続けます。その流れで、海を自力で渡り歩く道具シーカヤックを学び、船の就航していない小さな漁村までも航海するようになったのです。

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