コールマン「シングルガスストーブ120A」が新発売!
2021年春、コールマンからなんとも興味深いアイテムが発売されます。OD缶を使用しつつ、大きなゴトクと扱いやすいツマミを備えた「シングルガスストーブ120A」。コールマンらしい真っ赤なボディが目を惹く、キュートなシングルバーナーです。
コールマンでOD缶を使うバーナーといえば、ファミリー向けの「パワーハウス® LP ツーバーナーストーブⅡ」やソロ向けの「ファイアーストーム」が思い浮かびますが、当製品はその中間に位置するような、まったく新しいポジションのアイテム。
いったい使い勝手はどのようなものなのか、実物で試してみました。
現物を入手、スペックをざっと確認
現物を入手し、キャンプに持って行きました。真っ赤な専用のケースが付属し、重量はケース込みで2.9kg(本体重量は2.3kg)。ハンドルにより持ち運びやすく、またそのハンドルは折りたたみ式なので、車載もしやすかったです。
さっそく開けてみましょう。ケースには裏表がなく、ゴトクが上の状態で開けられるかどうかは1/2の確率です。構造的に収納時の天地はどちらでもいいので、気にする必要はありません。
この時点ですでに感心するポイントがありました。それは見事なまでの隙間のなさ。火力調整のツマミもぴったりと収まっていて、気持ちのいい収納状態でした。
脚を広げると高さは23cmに
脚を広げてみましょう。何らかのスイッチを押したり、部品を動かしたりすることなく、たたまれた状態からただ広げてやるだけでOKです。
全高は約23cm。キリッとしたカラーとフォルムは、どこかガンダム的な、シャア専用的なかっこよさが漂いますね。ソロキャンプでもファミリーキャンプでもアクセントになる、小気味よいデザインではないでしょうか。
耐荷重は10kg!頼もしいゴトクは耐風性アリ
真上から見てみましょう。上面いっぱいに設置された、20×20cmのゴトクが印象的です。もちろん単に大きいだけでなく、耐荷重は10kgと頼もしい仕様になっています。
ゴトクは風防との一体型。横から吹いてきた風が、バーナー部を直撃するのを防ぐようになっています。ギザギザが刻まれた4本のアームは中央付近まで伸びていて、小さなクッカーでも問題なく使えそうだと感じました。
寒さに強いOD缶を使用します
当製品はOD缶を使用します。OD缶は高所や寒冷地でCB缶よりも安定して燃焼するので、冬場に重宝する仕様でしょう。
気をつけたいのは、OD缶はCB缶と違ってメーカー純正品を使う必要があること。単なるメーカーの希望だろうとタカをくくっていると、痛い目を見ることがあります。
火力は約2,150Kcal/h(2.5kw)
このツマミを押しながら回転させて点火します。火力の調整もツマミの回転具合で行うことができ、要は家庭用のカセットコンロと同じような使い方でOKです。
最大火力は約2,150Kcal/h(2.5kw)。他社製品を引き合いに出して恐縮ですが、CB缶を使用する「タフまるJr」よりも、ちょっとだけ強力なスペックになっています(タフまるJrは2,000Kcal/h)。
実際にアウトドアで使ってみよう
それではOD缶をセットし、実際に使ってみましょう。OD缶はガスの出口が真上を向くように設置されますが、取り付け部分は可動式なので、サイドからアプローチできます。さりげなく気の利いたギミックですね。
OD缶は2サイズとも使用OK
コールマンの「純正LPガス燃料230G」を取り付けました。脚の長さにはまだまだ余裕がありますね。
というわけで容量の大きい「純正LPガス燃料470G」を取り付けてみました。脚の長さとのバランスでいうと、こちらの方がジャストフィット感があります。
ちなみに470Gを使用した場合、燃焼時間は約3時間。さきほどの230Gの場合は燃焼時間の公式アナウンスはありませんが、約半分と認識して問題ないと思います。
高さは2段階に調節可能
4本ある脚の2本には、写真のようなレバーが付いていました。これはいったい何でしょうか? なぜ2本にだけ……?
レバーを出した状態で脚を折りたたむと、全高約15cmの「Lowモード」に。2本の脚にしかレバーが付いていなかった理由は、もう一方のサイドでは230GのOD缶そのものが脚になるからでした。
23cmと15cm、2つの高さを選べるのが当製品の大きな特長です。
0.7Lのお湯を沸かしてみた
燃焼具合を見ていきましょう。ケトル一杯に水を入れて、沸騰させてみます。ケトルの容量は0.7L、水はもちろん冷たい状態で、気温は約15℃です。
大きなツマミの回し心地は上々で、家庭用カセットコンロのように気軽に点火できました。
約14分後、これ以上ないくらいに沸騰しました。思ったよりも時間がかかりましたが、この日は風速4~5m/sというガスストーブ泣かせの悪条件。無風状態だったらもっと早く沸騰したと予想されます。それに風で炎が消えなかった点を高く評価したいですね。
ホットサンドを焼いてみた
お湯が沸いたところで、次はホットサンドを焼きましょう。置きっぱなしのケトルと違って、ゴトクの感触が直に手に伝わってきます。
ゴトクのアームが長めに設定されているからか、クッカーの面をしっかりと捉える安定感はすばらしいものでした。焼き心地(?)は申し分ありません。
おいしそうに焼き上がりました。特にオチはなく、実際においしかったです。
取っ手から手を離しても傾いて落ちることがなかったので、気張らずリラックスしながら焼き上げることができました。
シングルガスストーブ120Aのココがすごい!
使用できる鍋のサイズが幅広い
当製品は大きなゴトクを搭載し、かつ10kgもの耐荷重なので、8インチ(直径約20cm)までのダッチオーブンを使うことができます。しかし煮込み料理をしないのであれば、直径27cmまでの鍋やフライパンも使用OKとのこと。
下限サイズは公表されていませんが、直径10cmもあれば大丈夫のようです。写真はキャプテンスタッグのラーメンクッカー(570ml)。直径10.5cmでしかも底が丸い形状ですが、安定した状態で載せることができ、炎がクッカーの外側にはみ出してしまうロスは生じるものの、問題なく使えました。
高さ調節機能が思いのほか活躍
高さを調節できることにより、さまざまなスタイルに適応します。筆者の場合、テーブルの上で使うなら高さ15cmのLowモードでばっちり。テーブルとチェアの高低差によっては、高さ23cmのHighモードでちょうどいい場合もあるでしょう。
Highモードなら、直接地面に設置してもOK。テーブルや調理台がいっぱいでも、置き場所に困ることはありません。チェアによっては手を伸ばして操作する必要がありますが、大きなツマミは扱いやすく、またゴトクが安定感アリアリなので、快適に調理することができると思います。
風で炎が消えにくい!
風への耐性を確かめるため、燻製をしてみることにしました。燻製は長時間にわたって弱火をキープする必要があり、風に弱いバーナーには鬼門となる調理方法です。
この日の天候はご覧のとおり。時刻は13:28ですから、風速5m/sの風がびゅうびゅうとガスの炎を消しにかかります。あえてウィンドスクリーンは立てず、途中で火が消えたなら、その様子を正直にレポートする所存です。
……と思いきや、何事もなく手羽中の燻製が完成しました。点火から1時間とちょっと、炎が吹き消されて再点火することはありませんでした。
風速5m/sでスクリーンなし、それでも炎が消える気配すらなかったことを、正直にご報告します。
使い勝手に気になった部分も……
脚をたたむ工程がやや面倒
使い終わったら脚をたたんで収納するわけですが、やりにくいと感じる工程がありました。
広がった脚は付け根の赤いボタンを押しながらでないと、たたむことができません。この赤いボタンは、4本の脚の付け根すべてに設置されているので、ボタンを押すためだけに両手がふさがってしまいます。
つまり、ボディをテーブル上にひっくり返して作業するのが妥当なようです。欲を言うと片手で簡単に脚を折り畳めると、より扱いやすそうです。
ゴトクの取り外しにドライバーが必要
一体型のゴトクは、取り外すことができます。ソロ鉄板などで肉汁をこぼしまくっても、洗うことができて安心ですね。
しかしゴトクを取り外すには、2本のビスを外さなくてはなりません。別途ドライバーを用意する必要があるし、また河原サイトでビスを地面に落とそうものなら、絶望が待っています。
自分で蝶ネジに替えてしまう手もありますが、ズラすだけ的な簡単な取り外し方法が採用されていたら、手入れがもっと簡単だったのに……と思いました。この作業は、家に帰って実施することをおすすめします。
【まとめ】コールマンのOD缶ユーザーには絶対におすすめ!
寒さに強いOD缶を使用するバーナーであり、かつ家庭用ガスコンロと同レベルの使い勝手を実現した「シングルガスストーブ120A」。ダッチオーブンまで使えるシングルバーナーは、ソロでもデュオでもファミリーでも活躍します。
ソロ~デュオならメインバーナーとしてゆったりと使えるし、複数の熱源が欲しい大人数キャンプでも、サブとして重宝するでしょう。
OD缶を使用するギアの場合、メーカーを1つに絞ることでOD缶を併用できるメリットがあるので、コールマンの「LPツーバーナー」シリーズや「ルミエールランタン」を愛用しているキャンパーなら、当製品は絶対におすすめ。当製品をスタート地点にするのも、もちろんアリです。
コールマン シングルガスストーブ120A
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