【笑’sを取材】知られざる「ギアの裏話」や波乱万丈なヒストリーが意外だった!

焚き火台や薪ストーブを手がける「笑’s」。今ではキャンパーで知らない人はいない人気ブランドですよね。今回はそんな笑’sの代表高久さんに、ギアへのこだわりや、知られぜる裏話、そして山あり谷ありなブランドヒストリーを取材させていただきました!


アイキャッチ画像出典:編集部

愛用ギアの人生、興味ありませんか?

笑'sロゴ
提供:笑’s
普段何気なく使っているキャンプギア。しかし、あなたの手元に来るまでは、一言では語りきれない数多くの人間ドラマがあります。

今回は、折りたためる焚き火台『B-6君』などで有名な、アウトドアブランド「笑’s」さんを取材。ギア誕生までのヒストリーや、ホームページや商品説明にはない”裏話”をお聞きしました!

ブランドの裏話①「笑’s」ヒストリー

高久さん
お話をしてくださったのは、「笑’s」代表である高久笑一さん。OAスチール家具などの板金・加工を行う「昭和プレス」を営んでおり、2008年に「笑’s」を立ち上げました。

「上手な自己破産の仕方を教えます」その一言から生まれたブランド

笑’sのギアたち

笑’sが立ち上げる前から、ずっと図面通りにモノを作っていたから、ブランドを持ちたい夢はあったけど、日々が忙しいから夢のままで終わっていたんだよね。

そう語る高久さん。そんな中、2008年にリーマンショックが訪れ、月1000万円あった売り上げが200万円に激減。さらに毎月の固定費がおよそ500万なので、300万円ぐらいの赤字だったそうです税理士からは「上手な自己破産の仕方を教えます」と勧められたほど。

父親である会長や家族全員が心配する中、高久さんは「どうせ潰れるなら、俺に自社製品を創らせてくれ!」と笑’sブランドを立ち上げました。

ブランド名の由来?パソコンのハンドルネームだよ。俺の名前も笑一だし。あと趣味で創ったギアが、自然に仲間内で「ショウズ」って呼ばれていたんだよね。

ブランドの裏話②はじめは全く売れなかった……



ちび火くん ブランドを立ち上げる前から、仕事で余った端材を使って自分専用の焚き火台を製作していた高久さん。最初に売り出したコンパクト焚火グリル『ちび火君』も、その内の1つ

従業員10人の会社で、1億以上の借金があったから。完全に債務超過で銀行に見向きもされないし、同業者も「あそこの二代目が変なこと始めたみたいだけど大丈夫なのか?」社内からも「こんなもんで飯食えたら……」ってな感じ。しょうがないから自分たちで持ち出してなんとかやってたんだよ。

しかし、発売してから半年間は全く売れなかったそうです。

俺は職人だからさ、創るのは得意でも売り方が全くわからなかった。そしたらジュエリー店の店長やってた事がある嫁さんが「私やるよ!」って。「そうか、じゃあそっちは頼むよ」てなったんだよね。

奥様の助けもあり、笑’sがアウトドア雑誌で紹介されると、記事を見たショップから問い合わせが来たそう。さらに、趣味のブログのアクセス数は月10万PVを超えていて、少しずつ笑’sが認知されはじめたそうです。

アメリカ、ヨーロッパをはじめ、世界から問い合わせがくる!

笑's入口 『ちび火君』からはじまり『B-6君』『イット君』と従来になかった、コンパクトに収納できる焚き火台や薪ストーブを次々に製作。一時は、開発のスピードに現場や資金が追いつかなくなり、経理から開発禁止令が発動されたそう。

2012年には、全米最大のアウトドアギアの見本市「Outdoor Retailer」(略してOR)に夏と冬の両方に出展。埼玉の閑静な住宅街に工場を構えながら、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、ウクライナ、アイスランドから注文が殺到。果てにはサウジアラビアから「薪ストーブを100台創ってくれ!」と問い合わせが来たそうです。

続いては、”あの”人気ギアの誕生秘話や、ギアへのこだわりについて、高久さんにお聞きしました。

ギアの裏話①『B-6君』が生まれたキッカケは?

B6くん 正面 『B-6君』が生まれるキッカケとなったのは、90ccの小型バイクで一年中キャンプをしている友人の一言。『ちび火君』を勧めたところ、「1㎏超える焚き火台だと、重くなって坂を上がれない!」と言われたそうです。

「嘘だろ!?てか、なに使ってるの?」て聞いたんだよ。そしたら、イギリスのMagic Flame(マジックフレーム)というブランドの焚き火台で、重さが600gだった。「そうか、わかった」って『B-6君』創ったんだよね。

『B-6君』でこだわったのは“扉”

わずか500gの重さしかない『B-6君』。『ちび火君』と同様に、こだわったのは扉付き投入口をつけたこと。

こだわったのは「やっぱり扉」だね。下から空気も入るけど、扉を開ければとそこから空気が入って、火が燃えやすくなるし。煙突効果を効かせたいときは、扉を閉めればいいし。あとは扉を開けた時、中で燃えている炎が見えるのもいいよね。

上に置いた鍋を移動させることなく炭や薪をくべられるのも、従来の焚き火台にはなかった機能。この扉もしかり、笑’sのギアは蝶番も溶接も使わずに、扉が開閉できたり折り畳んで収納することができます。もちろん、組み立てに工具などは一切必要ありません。

こういったギアの発想は、高久さん自身がキャンプをしながら、他製品の「壊れやすい」「納得いかない」と感じた部分を解消するために生まれたのです。

『B-6君』を創る前に、まずは収納袋を探した

B-6君 収納袋
ギアを創るとなると、まずは全体像と各パーツをイラストで描いて図面を引いて……そんなイメージがあります。

「図面はありますか?」て聞かれると困るんだよね。うちにはきちんとした図面もイラストも一切ないから。俺の頭の中にしか完成形がないから、その絵を頭の中でばらしていって、CADデータを創って組み立てていくんだ。だから試作は1回じゃ終わらないよね。

『B-6君』も100円ショップへ出かけた際に、奥様から「これくらいに入んないと」と言われた事から始まったそう。

最初に収納性いいのつくっちゃうと、笑’sのギアはそういうもんだ、みたいなイメージ付いちゃうからね。後には引けなくなったよ。

ギアの裏話②「チタン」は海外で人気!

B-6くん チタン 一時しばらく発売中止になっていた『B-6君Ti』。現在は『Mr.B-6 All Titanium Grill plate setll』となって再販されています。

『B-6君Ti』や『Mr.B-6 All Titanium Grill plate setll』は、実は海外からの問い合わせが多く、とくにシーカヤックを嗜む人から「チタンが欲しい」と言われるそうです。軽量で、何もしなくても錆びないチタン。しかし、1㎏の単価はステンレスのおよそ10倍もするそうです。

しかもチタンは硬くて加工が難しいから、不良品が多く出ちゃうんだよね。経理さんが怒って、2015年に一時製造中止になっちゃった。

ギアの裏話③実は世界に1つだけ!?「四角い煙突」

笑's薪ストーブ
提供:笑’s
冬のキャンプ場でみかける薪ストーブ。だいたい丸い筒状の煙突になっていますよね。しかし、笑’sの薪ストーブは四角い煙突なんです。しかも、本体も煙突も折りたためて収納できてしまう。これは世界を見ても「笑’s」だけではないでしょうか。

知人がとあるアメリカメーカーの薪ストーブを使っていて、その本体も煙突もとにかくぺラぺランだったのよ。手で巻いて筒状にして差し込むやつだったんだけど、巻いてたら手が切れて、血を流しながら「大変なんだよね~」って言うんだよ。「こんなんでいいのか!?」って思って創ったんだよね。

発想は「サンタクロース」から生まれた?

サンタと 煙突
出典:pixabay
丸い筒状の煙突が主流の薪ストーブ。しかし、笑’sの薪ストーブはなぜ「四角い煙突」なのか。

そもそもなんでみんな煙突丸くするんだろうって思った。きっと色々理由はあると思うけど、とりあえず煙が抜ければいいんだろって。

サンタクロースが入る煙突は四角だし、四角にすれば折りたためるっていうのはわかってたから。

既存の概念にとらわれず「やりたいように創ってみる」というのが、高久さんスタイル。何度も試作品をつくり、フィールドテストを何度も繰り返し、本当に納得したものだけを商品化しています。
笑'sの薪ストーブと冬

提供:笑’s

売れるとか売れないとかはあまり考えてないですね。だいたい雪の上でキャンプやる人がどれだけいるかっていう話。

だけど商品化するなら、まず自分が使って気に入らないとね。そうでない人とに勧められないでしょ。製作途中のブログを見ている人の方が、しびれを切らして「このままでいいから売ってくれて!」って言ってくる事もあったよ、でも俺は絶対に自分が納得できないモノは売らないから。


ギアの裏話④ モノ作りの人から見ると『B-6君』は安すぎるらしい

グリルプレートを削る食人さん 今では、3000円台で買えるような折りたためるコンパクト焚き火台が大手メーカーから出ていますよね。それと比べてしまうと『B-6君』は少し高いかな、と感じるユーザーもいると思います。

しかし、モノ作りをわかっている人から見ると『B-6君』は「この値段は安すぎるよ!」と言われるそうです。

他の製品をふくめ、創り方をみて「こんな値段で売っててこれ合うの?」っていう人が随分いましたよ。創ろうと思えば自分でつくれるけど、絶対に買った方が安いよって。ていうのが『笑’sの製品』らしいです。

プレートに刻まれているロゴ、昔はなんと1000工程もあった!

ギアに刻まれたロゴ

金型が33個あって、工程は55ぐらいあるかな。それでも今は随分ラクになったよ。以前は、このポンチも穴も全部一個一個空けていってたから。それだけで1000工程くらい……。

ゆるきゃんプレート 今話題になっている『B-6君』と「ゆるキャン」のコラボプレート。これも文字と絵だけで4000発も打つそうで、なんだか気の遠くなるような話です。

切り欠きや穴は工作機械を使用していますが、バリ取りや曲げ加工、組み立てなどは手作業で行っているそうです。「でもみんな創るのが大好きだから」と笑って話す高久さん。本当に職人魂です。

高久さんの「想い入れの強いギア」は?

ちび火くんを持つ高久さん

やっぱり『ちび火君』が今でも一番だと思ってるんだけどなぁ。みんな『B-6君』や薪ストーブ買うんだよね。

最初に商品化した『ちび火君』は、「今でも一番使いやすいと思っている」と話す高久さん。いくつ試作品を創ったのか覚えていないそうです。

ローインパクトなのが良いよね。当時、地面へのインパクトまで考えているメーカーはほぼなかったから。あと木のテーブルの上でも焚き火ができるようにしたかった。

コンパクトなのに燃焼効率が良く、地面に悪影響を与えないローインパクト、12インチのダッチオーブンも置ける耐久性、そして美しい銀色のフォルム。笑’s最初のギアであり、すべての原点のような気がします。

「マジックか!」と外国人からも驚かれる「笑’s」

笑'sOR
Outdoor Retailerに出展した際、折りたためる焚き火台や薪ストーブを見て、外国人から「これはマジックか!?」と驚かれたそうです。折りたたんで持ち運べる収納性、自然環境を考慮したローインパクト、他メーカーにはないオリジナルティ溢れるギアは、国内だけでなく世界の人々を魅了しています。(写真は2012年ORに出展された時のもの)

今までどのメーカーも創れなかった、革新的なギアを生み出してきた「笑’s」。最後に、取材を通して一番印象的だった高久さんの言葉で締めたいと思います。

ユーザーさんから「こんなの創ってくれてありがとう」っていう声をもらったのが、一番驚いた。今まで完成されたものを作って、欠陥品がなく納品するのが当たり前だろっていう環境にいたから。やっぱり相手が喜んでくれるっていうのは嬉しいよね。

sho’s ushering the world

笑’sは世界を先駆ける!

●笑’sのホームページはちら
●笑’sのオンラインショップはこちら
●高久さんのブログ「やっぱ、焚き火っしょ!!」はこちら


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ギアに刻まれたロゴ
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CAMP HACK 編集部

CAMP HACK運営&記事編集担当。少しずつキャンプの回数も増えていき、いまは月2~4回ほど全国のキャンプ場を訪問中。今年はテントから色んなギアを新調して、新しいスタイルに挑戦したい。

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