遠方の国内キャンプ、快適に行く方法を教えます
以前「親子2人海外キャンプ旅」と題して、激安で海外へ遊びに行く方法を全9回にわたって伝授してきましたが、今回は国内に目を向けて、ちょっと珍しいスタイルのキャンプをご紹介します。
今回の舞台は「九州」
前回は海外の「韓国」でのキャンプ事情のレポートでしたが、今回の舞台は「九州」!
関東圏のキャンパーさんにとって九州は遠く感じるかもしれませんが、実は九州でのキャンプも気軽に、そして楽しく旅ができちゃうんです。
筆者の実体験を元に、「前編」では安く旅する方法と具体的なルートを、「後編」では思わず行きたくなる九州の絶景キャンプ場10選を一挙にご紹介します。
前回の連載はこちら
移動手段は、カーフェリー!
かねてから自宅から数百キロ離れた国内遠方でキャンプをしたいと思っていた筆者ですが、費用や移動に懸念が。そこで思いついたのが、カーフェリーで行くキャンプです。
実際調べてみると費用面や移動時間の過ごし方においてメリットがたくさんありそうなことがわかり、思い切って実行! 以降、北海道や九州へキャンプに行く場合は、必ずカーフェリーを利用しています。
今回は、筆者と息子が実感したカーフェリーの旅の魅力を、余すこと無くお伝えしますよ。
とはいえなじみのない方も多いスタイルなので、まずはどんなメリットがあるのかを簡単にご紹介します!
カーフェリーでのキャンプが便利な理由
交通機関で行くより、多くの荷物を持って行ける
遠方へキャンプに行くなら、飛行機の方が時間もかからないのは重々承知です。でも、飛行機だと大きなテントや、いつも使っているお気に入りの道具を大量には持っては行けません。
必然的に軽量キャンプを余儀なくされてしまうところ、車ごと移動できるカーフェリーなら荷物もたくさん持って行くことができるんです。
長距離を運転しなくて良い!ホテルのようにのんびり過ごせる
高速道路で遠距離運転を選ぶ方もいるかと思いますが、筆者的には10時間以上の運転は結構しんどく……。カーフェリーなら運転することもなく、寝ていれば遠方の目的地に到着! こんな便利なことはありません。
しかもカーフェリーの中は、部屋は綺麗でお風呂もあったり映画も観れたりするなど、まるで“動くホテル”のようなんです。……みなさんも、少し魅力的に感じてきましたでしょうか!?
しかし、移動も楽で船内も豪華と聞くと、気になるのが費用面ですよね。それについても事前に調べてみました。
【どっちが安い?】「フェリー移動&キャンプ泊」or「飛行機移動&ホテル泊」を比較
交通費は?
まずは、飛行機とカーフェリーの交通費を比較してみます。家族4人(大人2名・小人2名)で東京の羽田空港から九州の福岡へ行く場合、主要な航空会社で調べると120,000円〜130,000円となりました。
一方、同じ家族構成で横須賀⇔新門司を運行している東京九州フェリーで、車を乗せて4名で個室を利用した場合、金額は96,000円。個室を利用しなければ更に安く、64,000円となります。飛行機利用と比べると、個室でも飛行機の約3分の2くらいの金額になるので、これは結構お得ではないでしょうか。
宿泊費は?
続いて、ホテル泊とキャンプ場泊を比較してみるとどうでしょう。もちろんキャンプ泊の方が、ホテル泊に比べると断然お安いですよね。場所によっては無料のキャンプ場なんかもありますし。
相場価格をもとに調べてみると、家族4人のホテル宿泊費の平均は30,000円〜40,000円だそうです。キャンプ場利用料の平均は5,000円程度のようなので、ホテル泊に比べると8分の1から6分の1程度ということになります。
さて、この条件で現地で2泊すると考えると、総額にはどれくらいの差があるでしょうか。
飛行機を使ってホテルに2泊する場合
ホテル宿泊費:70,000円+飛行機代:125,000円=195,000円
フェリーを使ってキャンプ場に2泊する場合
キャンプ場利用費:10,000円+フェリー代:96,000円=106,000円
単純な計算ではありますが、半分近い金額差となりました。物価高が進む昨今、2分の1の金額でのんびり過ごせるのであればこんなに魅力的な方法はないと思うのですが、みなさんはどう感じるでしょうか?
リアルなメリットをお伝えしたところで、ここからは予約や乗り方など、カーフェリー旅の具体的な進め方をお伝えします!
カーフェリーに乗るには?予約やルートなど
予約方法は?
カーフェリーの予約は、現在WEBが主流になっています。電話でも予約はできますが、支払いまで完結できるWEB予約が一番手軽でおすすめ。予約ボタンを押したら、あとは乗船者の名前や部屋の選択など必要事項を記入していくだけです。
車を乗せるのであれば、ナンバーや車高・車幅・全長を記入する場合もあるので、車検証などを確認しておくと良いでしょう。ちなみに、普通車以外にキャンピングカーやバイク・自転車なども乗せることができます。
ここで注意したいのが、ハイシーズンの予約開始日。ゴールデンウィークやお盆の時期は争奪戦になりやすいので、事前にきちんとチェックしておくと安心です。
カーフェリーの航路は?
さて、カーフェリーの航路っていくつあるか皆さんはご存知でしょうか。日本長距離フェリー協会のHPを見てみると、現在(※2023年9月)長距離フェリーは日本全国に15航路もあるそうです。
移動手段としてフェリーが発展した背景のひとつが、日本が海に囲まれた細長い国であるということ。特に北海道は道路が繋がっていないので、自家用車で行く場合はフェリーを必ず利用することになります。最も長距離フェリーの港が多いのが九州で、近畿圏から九州に行くルートは7航路と最多。昔は、フェリーに乗って大阪から別府の温泉へ行く社員旅行なども盛んだったようですよ。
乗り方は?
予約をして、いよいよ乗船日。フェリーターミナルには乗船時間の1時間〜1時間半前には到着していた方が良いでしょう。お盆やゴールデンウイークはとても混むので、もっと余裕を見ても良いかもしれません。 当日は渋滞なども考慮して、余裕を持って現地に到着できるよう予定を立てておきましょう。
到着したら、控えてある予約番号がすぐにわかる状態でインフォメーションに向かいましょう。このとき、車検証も一応持って行くと安心です。最近はWEBチェックインなどもあるので、車に乗りながらQRコードチェックで終わる場合もあります。
船内に車を運び入れるときのワクワク感と言ったら! 言葉で表すのは難しいのですが、筆者はサンダーバード2号に自分の車を乗り込ませるような感覚でした……って、例えが古すぎましたね(笑)。
では、ここからは筆者と息子が実際に船内でどう過ごしていたのか? その様子をお伝えします。
実録!カーフェリーでの過ごし方
ロビーは、まるでホテルのよう!
船内に入れば、そこはまるで“動くホテル”。ロビーは海を展望でき、何よりも広さがあって開放感は抜群です。窓から海を眺めている人もいれば、陸からのWi-Fiを拾いやすいロビーでスマホやパソコンを操作して仕事をしている人もいます。
ちなみに、中にはアミューズメントエリアが充実したフェリーも。謎解きゲームや映画上映、ゲームセンターやプラネタリウムまで備えられたフェリーもあります。長時間乗ることの多い長距離カーフェリーですが、筆者は時間を持て余した経験はありません。
この居心地の良さに開放感に浸りたくなりますが、お酒を飲んでどんちゃん騒ぎをするのだけはやめておきましょう!
これは嬉しい!大浴場完備
結構驚いたのが、船の中に大浴場があること。個室にもシャワーはあるのですが、やはり日本人は大きなお風呂に浸かりたいものです。夕暮れどきや日の出の時間にオープンしていることも多いので、ゆっくりお風呂に浸かりながら夕暮れや日の出を観るのもオススメです。
最近では海を眺めることのできる露天風呂や、サウナ付きのカーフェリーもあるので、ひたすらサウナで整えるのも良いですね。
食事は海を見ながらビュッフェを堪能
船内には当然、食事を提供してくれるレストランも。カーフェリーの運航会社によって違いますが、大体ビッフェ形式を採用しています。注文形式のところもあるので、気になる方はホームページなどで確認してみると良いでしょう。
レストランは窓から海を観ることもでき、大海原で夕陽を見ながらの食事は格別の一言です。
船内の部屋は大部屋と個室に大別されており、価格を優先するのであれば大部屋を選択すると良いかもしれません。筆者は子供と一緒なので、なるべく迷惑がかからないよう個室を選択することが多いです。
個室には窓なし部屋と、海が常に見える窓あり部屋など色々と種類があり、窓ありと窓なしだと若干窓なしの方が価格はリーズナブルです。他にもペットと一緒に過ごせる「withペットルーム」や、贅沢な船旅を満喫できる「スイートルーム」も。一緒に行くメンバーや、予算に合わせて選ぶと良いでしょう。
設備が充実した船内で快適な時間を過ごすことができ、親子ともども大満足! と、ここまでカーフェリーの良いところばかりを紹介してきましたが、みなさんの参考になるようデメリットになりうる面もご紹介しておきます。
カーフェリーで行くキャンプ旅の、デメリットと注意点
行き帰りに時間がかかる
まずは、時間がかかるということです。休みが少なかったりまとまった長期休みが取りにくい人にとっては、いくら寝ながらにして現地に到着できるとはいえ、現地でのキャンプ泊がそれほどできないとなるとあまり現実的ではないかもしれません。
船酔いしやすい方は対策が必要
もう一つのデメリットは、言うまでもなく船酔いしやすい人には不向きということ。最近のカーフェリーは横揺れ防止装置など揺れにくい構造のものもあり、昔よりは快適に過ごせるようになったようですが……。
体質的に船酔いしやすいけれど、どうしてもカーフェリーに乗りたいという方は、乗船前に酔い止めを飲んでおくと良いでしょう。また、外洋は台風が接近すると波が高くなりがちなので、普段船酔いしない人でも酔ってしまうことは考えられます。
カーフェリーで、いざ目的地へ!そのキャンプ場とは…?
今回はカーフェリーの魅力をお伝えしましたが、カーフェリーで遠方に行きたい! と少しでも感じていただけたら嬉しい限りです。
そして、一度味わってしまうとなかなか抜け出せないのがカーフェリーでの移動。後編となる次回はカーフェリーで九州に行き、九州の絶景キャンプ場やスポットをご紹介させていただきます。