まずは甲斐さんといえばベイカーパンツ。ベイカーパンツといえば甲斐さん。氏のトレードマークと言えるベイカーパンツはブランドでももちろんスタンダードであり看板アイテム。
毎シーズン、素材やシルエットなどを微調整しながらそのときの気分に会ったベイカーパンツを生み出しているとこと。
履き込むほどに風合いが増すコットン100%のバックサテン素材を使った19AWモデル。程よくテーパードさせて現代シルエットにアップデート済み。
座ったときのアイテム落下を防ぐためのシークレットジップポケットを付けるなど、リアルな表情の中に遊び心が落とし込まれています。
左右のポケットの形状が異なる通称「ガチャポケ」デザインを採用したデニムシャツ 。
4.5ozというライトウェイトデニム素材を使うことで耐久性を保ちつつ、デニムシャツならではのゴワつきを軽減しています。フィールドでも大いに活躍してくれる一着。
デザインの元ネタは名門ワークブランドであるビッグヤンクが考案した今なおヴィンテージファン胸熱のディテールです。
元々はタバコを入れるためのポケットとして考えらえたディテールも、甲斐さんが作ることでアウトドア的な用途を掻き立てられます。
インナーとしてではなくて、メインとして着て欲しい。そんな思いを随所に感じられるカットソー。
今の時流に乗ったビッグシルエットを採用しながらも、独自パターンを採用することでオリジナリティある一着に仕上がっています。コットン100%の風合いもよく着込むほどに身体に馴染みます。
ややロングテールになったデザインが着たときのアクセントに。さらにフラットシーマーによる存在感あるステッチを、あえてボディカラーと異色にすることで、単調になりがちな見た目にも変化をもたらしています。
ヴィンテージのハンティングジャケットをベースに、現代シルエットに再構築したマウンテンリサーチとダブルネームの一着。
中白染めという、繊維の深部まで染まらない特殊な技法で染色され、着古したような味わいのある風合いに仕上がっています。
ダブルネームの証明となるブランドタグのコンビネーション。腕の動きをスムーズにする脇下のガゼット。大小二つのポケットを備える胸ポケット。バイカラーになった裏地とディテールも充実!
誰もが一度は穿いたことがあるデニムパンツ。そして誰もが一度は袖を通したことのあるネルシャツ。これらのルーツはいずれも「アメリカ」。そんなアメカジの基本となる古着を出発点にアウトドアブランドに出会い、そしてアウトドアウェアに合う服を考えたとき、基本となる古着ベースのアメカジウェアに戻ってくる。こうしたループの中で甲斐さんの服作りは始まったのです。
現在のアウトドアファッションについて
最後に現在のアウトドアファッションとそこにある甲斐さんの服について改めて伺いました。
現在のアウトドアファッションは3種類あると思うんです。
一つはただ温かく、ただ便利な服としてのアウトドアウェア。これはファッションというか実用的に取り入れているということ。
二つ目はストリート系の着こなし。アウトドアブランドが作る純正品をしっかりそのスタイルにはめ込んでいます。
そして三つ目がモードなデザイナーズ系。アウトドア特有のハイスペック素材に注目し、その機能美を上手に引き出しています。機能美をデザインで具現化しているというか。
ファッション的には後者の2つを注目していますが、そのどちらにもぼくたちの服は合わせられると思います。
それはベーシックゆえにアウトドアウェアのデザイン性と調和します。ディテールや素材へのこだわりもアウトドアウェアとの親和性に対する意識から生まれるのです。
これからもアウトドアファッションを楽しむ皆様をより満足させる提案をして行きたいと思っています。
Photo:烏頭尾 拓磨