キャンプブームに伴って、人気も急上昇中の焚き火。それを裏付けるちょっと面白い話があります。北欧・ノルウェーの公共放送局NRKでは、焚き火が燃え続ける暖炉の映像を放送しただけにも関わらず、視聴率20%を記録したそうです。
また、日本国内でも、燃え続ける焚き火が表示されるだけのスマホアプリが、2017年のリリース後、ノンプロモーションで50万ダウンロードを達成しています。
今回はTHE NORTH FACE契約アスリートであり、ツリーハウスnozawa green fieldのオーナーでもある河野健児さんから、注目の焚き火の楽しみ方を学んでいきます。アウトドアの達人・河野さんのギアセレクトやテクニック、絶品焚き火フードとは?
いつもの焚き火がレベルUP!?“選ぶ”にこだわる楽しみ方
焚き火を楽しむ上で、最初で最後の難関が火起こしですが、最近では着火性の高い市販の着火剤を使えば、だれでも簡単にクリアできるようになりました。そんな気軽に焚き火を楽しめる時代だからこそ、焚き火にまつわる道具や薪の選び方、活用方法にこだわるのが上級者である河野さん流です。
男心をくすぐる焚き火ギア。タフで武骨なギア選び
河野さんの道具の選び方は、タフであることを重視。急な天候変化によって、道具が雨風にさらされることも多いキャンプ。耐久性の高い素材や構造を持ち、かつメンテナンスが簡単で、経年変化とともに長く愛用できるギアを好みます。
まず紹介するのは、ウッドグリップのナタ。主に薪を割ったり、削ったりする際に活躍しています。
どちらも基本的には叩くというシンプルな動作ですが、だからこそ求められるのは耐久性。経年変化したグリップから、長年愛用されてきた高い堅牢性が見てうかがえます。薪割りに使う刃物といえば手斧のイメージが強いですが、軽量で取り回しやすいナタを愛用する河野さん。枯れ枝の皮を削って焚き付けにしたり、薪を割る際にもサイズ調整をして火力をコントロールしたりと、マルチに使える点が気に入っているそうです。
ナタの刃には、先端が“レ”の字になっている片刃、“V”の字になっている両刃の2種類があります。小枝や皮を削るなどの細かな作業は片刃、薪割りといった力のいる作業には両刃のものを選ぶようにしましょう。ちなみに左利きの方は、両刃がオススメですよ。
続いて教えてくれたのが、厚手のスウェードレザーを使用したグローブ。焚き火では薪をくべたり、組み方を変えることで、火の燃え方をコントロール。そのため、耐熱性のあるレザーグローブは欠かせない存在です。
ほかにも薪のささくれや、テント設営時のペグダウン時のハンマー作業で誤って手を叩いてしまうなどの危険から守る役割も担ってくれます。
薪ばさみも焚き火で活躍するギアですが、大きいままの薪には重量があり、取り扱いにくいことも。レザーグローブであれば薪の取り扱いも容易なうえ、ダッチオーブンやスキレットを扱う調理シーンでも活躍。焚き火をトータルに楽しむために揃えておきたいアイテムです。
河野さんをはじめ、多くの熟練キャンパーが近年愛用しているのが難燃ウェア。化学繊維を使用したウェアだと、焚き火から飛んだ火の粉が付着し穴が開いたり、場合によっては引火し火傷を負ってしまうことも。
難燃ウェアは、服に付着した火の粉周辺を無酸素状態にして、炭化させる機能を持っているため、燃えにくく安心なのです。様々なブランドからリリースされる難燃ウェアですが、河野さんが選ぶのはTHE NORTH FACEのアイテム。機能性もさることながら、シティユースできるデザイン性が魅力です。
薪を制すれば、焚き火を制する。素材で変わる燃焼時間
アウトドア上級者であれば、焚き火に使用する薪についても熟知しているのが当たり前。薪に使用される樹々は、針葉樹と広葉樹の2種類に分けられます。針葉樹であればスギやヒノキ、マツ、広葉樹であればナラやサクラが、ホームセンターやキャンプ場でもよく販売されているのを見かけます。
樹液を豊富に含んだ針葉樹は、火付きがよく激しい燃え方が特徴的。焚き火料理に適した火付きのよさですが、薪の燃焼が早いという点も覚えておきましょう。
反対に広葉樹は、燃焼時間が長く、主に薪ストーブなど暖をとることを目的とした際に活用されています。燃え方も激しくないため、火力調整がしやすく、ダッチオーブンなどでじっくりと煮込み料理をする際には重宝します。
目的に合わせて薪を使い分けることで、焚き火の炎をコントロールする。そんな上級者ならではの薪選びを取り入れたいところ。
キャンプ上級者が実践中!簡単&絶品焚き火調理テクニック
週末に予定したキャンプを楽しみに、仕事を張り切ったウィークデー。さぁキャンプの準備開始! という時に、いつもとは違う調理環境ということで、ついつい多くなってしまうのが調理道具。
とはいえ、ほかにもテントや寝袋にテーブル、チェア、ランタン……と、積み込む荷物は盛りだくさん。そんな持っていける荷物や、限られた調理環境だからこそ、玄人キャンパーさんは、少ない道具で簡単に作れる“焚き火調理”をマスターしているんです。
簡単!うまい!マルチツール「スキレット」で作る絶品メシ
焚き火調理に活躍するのがスキレット。厚みのある鋳鉄製のフライパンですが、焼いたり、炒めたり、煮たりとマルチに活躍する魔法のツール。フタを用意すれば、蒸す、燻すなど、ダッチオーブンのような使い方も可能。
また、ボディの厚みもポイントで、全体にゆっくりと均一に熱が入るため、食材の旨味をじっくりと引き出します。
テーブルに鍋敷きを設置して、お皿に盛らずにそのままサーブ。見た目のオシャレさと実用性を兼ねているのも、調理器具を減らしたいキャンパーさんにはうってつけのツールです。
今回は、河野さんがキャンプで実践しているスキレットフードを紹介します。用意する材料は、以下のもの。
・豚肉400g
・ズッキーニ1本
・レモン1個
使用する調味料はオリーブオイルに、塩・胡椒だけでOKという手軽さが嬉しいところ。
それぞれの食材を食感が楽しめるゴロッと大きめにカットしたら、レモン以外の食材をオリーブオイルを引いて熱したスキレットに。材料に火が通るまで炒めます。
豚肉、ズッキーニに火が通ったら、レモン、塩・胡椒を入れて、味を整えれば完成です。表面にしっかりと焼き色をつけた豚肉は、厚みもありジューシーな歯ごたえ。食感を残したズッキーニには、豚肉の旨味がしっかりと染み込みます。ポイントは、アクセントとして入れたカットレモン。豚肉の油分をさっぱりとした後味にまとめあげます。
今回の調理工程自体は10分程度。