キャンパーの
“欲しい”を叶える
「NATURE TONES」
人気の秘密

福井県のコーティング屋がはじめたアウトドアブランドは、
瞬く間に人気となり、今では入手困難なまでに。
なぜブランドを始めたのか?
この著しい成長の秘密とは?
ブランドアイデンティティとは?
取材をしてみると、NATURE TONESの知ってそうで
知らないベールに包まれた人気の秘密が見えてきた。

直営店ならではの
充実したラインナップ

2020年に開業した直営店「ファクトリーショップ」は、
山道を少し車で走らせた先にひっそりと佇む
「ルポの森」という複合施設の一角に位置する。
グランピング場や飲食店も入っているため、
1日中この施設で楽しめそうだ

所狭しとアウトドアギアが並ぶ店内は、セレクトアイテム
もラインナップ。多くの自社製品を見て触れられるのは、
直営店ならではだが、ブランドの審美眼をクリアした
セレクトも一見の価値あり。週末はワークショップが開
かれ、多くのお客で賑わう

キャンプギアだけでなく、パックラフトなどのアクティビティグッズも販売。ブランドからのアウトドアに対する色濃いメッセージを受け取ることができるラインナップだ

数多く棚に並んだガレージブランドのギアも必見。
写真のCAMPOOPARTSの「蒸しぇら」をはじめクッカーやテーブルウェアなど、キャンプ料理にまつわるセレクトは特に力を入れている

ベールに包まれた、
ブランドファクトリーへ

本体の工場内に製造拠点を構えるNATURE TONES。
工場内で設計、鉄の加工から組み立て、塗装まですべて自社で
行なわれている。そのため、アイデアを設計図にして試作する
までのスピードが他社と比にならない。
それは必然的に妥協を許さない物作りにも繋がり、その試作数
も膨大となる。細部まで妥協なくやり抜くことができるという
のも、ユーザーに選ばれる理由なのだ。
そんなブランドファクトリーだが、じつはそこまで取材を受けて
いないそうで、今回特別に許可を得て取材をさせてもらった。

ブランド立ち上げ期は、工場の片隅で行われていたスペースも、
今では会社の主要事業の一旦を担うまでに。
図面を引いて第1弾サンプルを作るまでに1週間ほどという
スピード感は各工程にスペシャリストが充実している証拠だろう

工場内では、レーザー機などによる鉄のカット・曲げ加工を経て溶接、塗装。
組み立て、検査・梱包を一貫して行なっている。
現在では生産が追いつかず、工場を拡充する予定もあるのだとか

はじまりは、
本業の強みを活かせそうだと
思ったことから

NATURETONESファクトリーショップ店長
坂下賢太郎
古着屋の店長からキャンプメーカーの直営店店長へと転身。
商品のバイイングから自社商品の営業まで多岐に担当している

ー まず気になったのが、コーティングを本業とする会社がなぜ、
キャンプギアを作ろうと思ったのでしょうか。
そのきっかけは?

本業の仕事に、養豚所のすのこに柔らかい樹脂コーティング
をする仕事があったのですが、2013年に、現在の専務であり
ブランオーナーの岩佐がそのコーティングの端材を見て、
このコーティング技術をキャンプギアにもあったら便利なの
では? と思ったことがきっかけです。
まずはそのコーティングを前面にあしらったミニテーブルを
作って岩佐のキャンプ仲間に何度も使ってもらったそうです。
そのフィードバックを元に「使い勝手がよく、コーティング
することでの重量をカバーする持ち運びのしやすさ」という
のをテーマに改良していきました。

出来上がったテーブルを片手に全国巡業をして、少しずつ
取り扱ってもらうショップさんを増やしていきました。
そして、取扱店舗が増えてきたところで行ったのが
「ネイトン会」でした。これは、全国のキャンパーさんを
集ってのキャンプ会です。今では年2回、30組ほどに限定
して密なコミュニケーションを取らせてもらっています。
そこには、ソロからファミリーの方まで幅広くおこしいた
だいているんですが、各参加者それぞれお気に入りが
違うんですよ。自分たちが販売させてもらっている全ライン
ナップを受け入れて頂いているんだなと強く感じますね。

岩佐氏がはじめに作ったというミニテーブル。
天板から脚まで樹脂コーティングが施されている

最近の新商品の天板は大樹柄を使用。
下の天板が幹で上の天板が枝と葉となったデザイン

ー 地道に足を使って販路を広げていったんですね…!
今では生産が追いつかないぐらい人気となっているブランドですが、
それには強いブランドアイデンティティがあるのではないかなと。
製造工程でのこだわりはありますか?

そうですね、挙げるならば「遊び心」「工夫のある設計」「コーティング」
の3つです。例えば、重量を軽くするために鉄をくり抜くんですが、
単純にくりぬいても面白くないので、デザイン性を持たせたりとか。
あと、設計時に考えているのは、コンパクト収納かつワンタッチ変形、
さらにひと工夫あるギミックを入れるということ。
コンパクト性に重きを置くのであれば分離式がいいのかもしれませんが、キャンプは
車で行くことが多いですし、コンパクト性はある程度あればいいかなと思っていて。
それ以上に設営・撤収のしやすさを重要視しています。最後のコーティングは、
鉄の切りっぱなしではなく、海外から特別な塗料を取り寄せて塗装しています。
本業がコーティング屋だからこそ、自然環境下での最適解を熟知しているんです。

ウッドの天板は外部の提携先から仕入れ、
コーティングと組み立ては自社で行なっている

ブランドのこだわりを
詰め込んだ力作

ー 強い思いがあるからこそ、ラインナップに共通項が
生まれ、ブランド全体が愛される様になったんですね。
例えば、最近のアイテムで3つのこだわりが詰まった
ものはありますか?

そうなると、このワンハンドカフェテーブルですね。
ピクニックテーブルという商品がもともとあって、その進化版
という位置付けです。天板のくる抜きもあり、コーティングも
NATURE TONESらしいものに仕上がりました。
そして、一番こだわったのは持ち運びのしやすさです。
ワンタッチでテーブルを設置できるんですが、自分たちが
イメージしたのは、グルキャンをした時に自分のサイトから
友人のサイトへスムーズに移動するシーン。こういうときって、
素早くギアを持って移動したいじゃないですか。
それを叶える仕様になっています。

天板を開くと自然に脚も広がる仕様は、
設営・撤収の楽さを突き詰めた賜物だ
コーティングは少しザラッとした肌触り。
滑り止め機能もある梨地
天板を開くと自然に脚も広がる仕様は、
設営・撤収の楽さを突き詰めた賜物だ

ー ここまでブランドの成り立ちからこだわりまで
お聞きしてきましたが、これから先、
NATURE TONESはどのようになっていくのでしょうか?

ブームに左右されないブランドになりたいなと。
自分たちの生い立ちにあったように、地道に自分たちの良さを
伝えていきたいので、お客様との距離を近く感じられる場は
より設けていきたいですね。
そこで今進めているのが、直営のファクトリーショップの裏に
小規模ですがキャンプ場を作ろうと絶賛工事中です!
工事のほとんどはショップスタッフでDIYするように少しずつ
進めているので、オープンしたら、ぜひ皆さん遊びに来てください。

取材先
NATURE TONES
〒918-8034 福井県福井市南居町第81号1番地23
問い合わせ先:0776-36-5567

EDIT&WRITER:
NORIMICHI HAMAMATSU(CAMP HACK)
PHOTOGRAPHER:KENICHI KUROSAKI ※ショップ内

CAMP HACK