クリエイティブ集団
「MAAGZ」の正体とは

ガレージと表されるブランドが星の数ほどある昨今、
その中でも独自の輝きを見せるブランドがある。
それは、オリジナルデザインで勝負し続けるMAAGZだ。
東京は八王子に拠点を置き、物作りに励んでいる。
編集部でも常に新商品をチェックしているブランドの
1つではあるが、今回調べてみると母体はアウトドブランド
ではなくWEBの制作会社であり、アウトドアメディアを
運営していたりと、異色の会社であることがわかった。
思い立ったが吉日、編集部はすぐに八王子に向かった。

クリエイティブ
シェアスペース
「桶屋」へ

クリエイティブ
シェアスペース「桶屋」へ

八王子駅からほど近い場所にある
シェアスペース「桶屋」。
2階建構造の1階にMAAGZの運営会社
フロントビジョンが
入っており、
一部を間借りして運営している。
エントランスを入ると製品が並び、
触れられるようになっている。

  • 2階にはシェアハウスとシェアオフィスも併設。
    写真はシェアハウスの一室
  • 2階の共有スペース。
    植物が多く、リラックス空間となっている
  • 1階にあるバー提供のインド料理「パニプリ」

BRAND behind the scenes

パーツの溶接は社内で行う体制が整っており、そのほかプレス機や3Dプリンタなどの機器が所狭しと並んでいる。この場所で数えきれない程のアイデアが生まれ、試作を重ねてきた。MAAGZ製品の多くがここで誕生した。

新製品の焚き火台「JIKABIDAI」

雑誌Fielderとのコラボ企画で、ロングファイヤーを
テーマに、長く炎を楽しめる焚き火台を目指して
製作された。
デザインのインスピレーションは、自社
製品の肉焼き棒「RAPCAスティック」から。
スタンドの形状を元に、バックパックを背負って
山の中に入っていけるようなコンパクト性も
兼ね揃えた焚き火台を探求したのだそう。
デザインはMAAGZのフラグシップモデルである
「RAPCA」を手がけた芸術家 高石氏によるもの。

デザインの元となった「RAPCAスティック」。
焚き火台の上に設置して使用する

デザイン面と機能面がある程度形になったら
CADに起こして試作品の製作に着手する

400年の伝統を、シェラカップに

400年の伝統を、
シェラカップに

400年続く石川県の山中塗という伝統工芸品を
作り続ける畑漆器店とのコラボアイテム「モクシェラ」。
中でも轆轤(ろくろ)挽きと呼ばれる、日本古来の伝統技法に
よって一つずつ丁寧に作られたものに、アウトドアで
使いやすいようにシェラカップのようにアップデート
させている一品だ。
一般的な大きさのシェラカップにはまるサイジングの
「モク小皿」はトレイ型と、蓋にもなる平型のサイズ
を用意。素材は木の密度が高い山桜を採用。

どの動物が好き?

自然保護の観点から出来た、「自然との循環」をテーマ
にした着火剤・ANIMAL LIGHTER。じつはこれ、草食
動物のフンを高温処理し粉末状にしたものをプレスし、
パラフィンを混ぜて出来たもの。
全国の動物園や牧場と提携し、乾燥した状態で桶屋ま
で運ばれてくる。これを自前のプレス機で一つずつ
タブレット型に成形させるのだ。動物園と提携している
だけあって、動物のレパートリーはウシやキリン、バクなど
レパートリーに富んだ中から選べる。
売上の一部は動物保護基金団体に寄付している。

株式会社フロントビジョン代表取締役社長
日野 慎哉

WEBサイトの製作会社でありながら、
アウトドアブランドMAAGZの舵取りも担っている。
幼少期よりキャンプへは出かけていたが、カナダ留学時の
アウトドア体験がブランドを立ち上げるきっかけに。

オリジナリティの追求、
それがMAAGZの信念

ー WEB制作会社を母体としながらMAAGZや
アウトドアメディアも運営されています。
ブランド設立の経緯はどんなところに?

元々WEB制作会社を私がしており、たまたま桶屋に
集まった初期メンバーがキャンプ好き、彫刻家、プログ
ラマーだったりして、自分たちでキャンプギアを作れ
そうだ、となったのが事の始まりです。
メディアを運営しているのは、MAAGZの認知を広げ
るために始めました。他社さんのレビュー記事もある
んですが、キャンプにおける必要な機能やデザインを
知るためでもあって、オリジナリティを生み出してい
くための重要なプロセスでもあります。

ー デザイン力の根源である、MAAGZが
大切にしていることをお聞きしたいです。

自分たちは唯一無二の製品を世に出していきたいと考
えています。
主力商品である焚き火台関係は、彫刻家
の高石がデザインをし、
機能面のクオリティは私がチ
ェックする、という形で進めました。
高石はアウトド
アの常識を知らないので耐久性があるかどうか
ギリギ
リを攻めるんですよね。試作の量は老舗のブランドさ

よりかなり多いと思います。
ですが、後発である我々が新たな価値を提供できると
したら、
こういった事をしていかないと意味がないと
思うんですよね。
次は、桶屋の近くに木製家具のデザイナーがいるので、
その人と
一緒にファニチャー系は出したいなと思ってい
るんです。
どんなものが出来るのか、私たちも今から
ワクワクしています。

株式会社フロントビジョン
東京都八王子市元横山町3-9-3

EDIT&WRITER:
NORIMICHI HAMAMATSU(CAMP HACK)
PHOTOGRAPHER:KENICHI KUROSAKI

CAMP HACK