キャンパーの愛飲料といえば、ビール。この定番とも言うべき飲み物が、なんとSDGsに貢献しているんだとか。製作工程を調べて見ると、なるほど確かに15番目の「陸の豊かさも守ろう」に関係している様子。実際に体験したいと思い立った編集部 濱松がビールの製造を行ってきました。そして出来上がったのが、CAMP HACKとして初となるクラフトビール『FARM HACK』。その詳細もご紹介します。
ビール作りは農業だ
ビールはお酒の中でも廃材をほとんど出すことなく製造できる酒類。というのも、ビールの製造に必要なものは麦芽、ホップ、酵母、水が主原料となっており、至ってシンプルなんです。唯一、麦から出るモルト粕だけが廃棄物となりますが、これが栄養分が高い畑の肥料になってくれるんです。収穫した麦でビールを作り、出てきたモルト粕を畑に撒く…。この工程こそまさに、SDGsの目標項目の15番「陸の豊かさも守ろう」の達成に寄与していたのです。キャンプのときにさまざまな種類のお酒を飲むことが多いと思いますが、乾杯の合図はビールで決まり、この暗黙のルールのようなものがSDGsに貢献していたんですね。
新進気鋭なブリュワリーとのコラボビール
CAMP HACKとして、リアルな物を作ったことがなく、ブリュワリー「3rdBarrel Brewery」をプロデュースするB.S.K.Kにお声がけいただき、今回初の試みとしてクラフトビールを作ることに。テーマはもちろん「キャンプにあう」こと、そして、「農業」の2つを軸にすることとしました。3rdBarrel Breweryは、木綿街道という古い建造物がそのまま残されているエリアで、このブリュワリーも呉服屋だった建物を改装してあります。周辺には400年続く生姜糖のお店や100年続く醤油屋が並んでいる風情あるエリア。古いものと新しいものがミックスされた3rdBarrel Brewery、良いものができることしか感じません!
選んだのは「セゾン」
ではどんなスタイルのビールが“キャンプにあう”のか。ピルスナーにIPAなど、有名なスタイルは多くありますが、その中でも日本ではマイナーな「セゾン」をチョイスすることに。セゾンは、1800年代前期にベルギーのワロン地方で農家の人が暑い夏に飲む水代わりとして作り始めたことに起源を持つビール。当時は水の殺菌などインフラが整っていない時代。アルコールの殺菌作用を応用したビールは時代にマッチした飲み物だったわけです。セゾンビールを選んだ理由は、農家の人に愛された飲み物であること、そしてこれからの暑い夏にぴったりなビールで、まさにキャンプにあうのではないかと思ったのです。
仕込みから畑仕事まで全てこなす!!
出雲に着くや否や、早速製造工程の説明を受けスタート! といっても製造工程自体はシンプルで、大まかには、麦芽を粉砕機で粉々にする → 粉々にした麦芽を水の入った樽に入れて麦汁を作る → 濾過をさせてホップを投入し煮沸 → 冷却させ数日発酵 → 貯酒させて熟成して完成、というフローが一般的です。ですが、言うは易しとはこのことで、一度に数百キログラムの麦を粉砕機に投入したり、モルト粕を樽から出し、さらに最後は樽を隅々まで洗浄しなければならないのです。これはかなりの肉体労働…。でもみなさんに美味しいものを飲んでもらいたいという一心で、編集部員の濱松は頑張ってきましたよ!
瓶詰めからラベル貼りまで、全て手作業!!
瓶詰めやラベル貼りは通常、機械を使って行うことが多いのですが、3rdBarrel Breweryでは自分たちの手で1瓶ずつ丁寧に行っています。「できるだけ自分たちの手でやらないと。大手と同じことやるんだったら、僕らがビールを作る意味ってないじゃないですか」と、代表の大坪氏。さらに聞いてみると、瓶詰めの機械への投資がない分、製造する機械を充実させることでより良いビールを作れているそう。とはいえ、体験した濱松は、瓶詰め作業の瓶の中に溜まった酸素を抜く工程や、注入する液体の量に四苦八苦。ラベル貼りも狂いなく貼り付けるのに悪戦苦闘している様子でした…!
自信あり!ウマいビールです
レシピはもちろんブリュワリーのプロの方に調整いただきましたが、大部分の製造をブリュワリーの信念である手作業で行った結果、胸を張って“ウマい”と言えるビールができました。テイストはさっぱりフルーティーで癖がなく、後味すっきり。グビグビ飲みたいキャンプシーンに持ってこいの一杯です。ラベルは山陰にある百名山「大山」をイメージ。山の麓には、今回のテーマの1つである畑が広がっています。農夫がオーバーオールを着て作業しているのですが、これはB.S.K.Kのスタイルを象徴する一コマ。キャンプをイメージさせるタイプ2のワーゲンバスも可愛いですよね。
ビール4本とCAMP
HACKのロゴをあしらったグラス2個、3rdBarrel
Breweryオリジナルのボックス、そしてラベルのイラストと同じステッカー1枚がセットになった物をワンパッケージにして販売します。価格は5,900円(in tax)。購入は、3rdBarrel
Breweryのオンラインショップから。
B.S.K.Kさん
アウトドアカンパニー
ストリートやアート、アウトドアやアクティビティを視点に、そこにある環境で最良ギアの選び方、遊び方を模索し提案している出雲に拠点を置くブランド。出雲大社近くにある古い病院をリノベーションさせたレストランの経営からコーヒーの楽しみ方、木綿街道の古民家を改装した3rdBarrel Breweryにてクラフトビールのプロデュースも手がけている。