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日産【なぜ爆売れ?】「見えすぎ」「広すぎ」新型ルークスの実力、Zの名デザイナーが明かす3つの秘密とは

今年(2025年)9月18日に発表された日産の軽スーパーハイトワゴン、新型「ルークス」は、11月30日に受注台数が2万2000台を突破、記録的な大人気モデルになりました。

この受注台数は、月間販売台数ランキングでNo.1を狙えるほどの規模です!

そんな好調なセールスを記録している新型ルークス、いったいどこがいいのでしょうか?

その答えを探るべく、日産から招待された試乗会に参加してきました!

目次

アイキャッチ画像:日産

新型ルークス、どこが良かった?悪かった?

新型 日産「ルークス」ハイウェイスター G ターボ プロパイロットエディション

試乗会では、ターボエンジンを搭載した最上級グレード「ハイウェイスター G ターボ プロパイロットエディション」と、恐らく最多販売グレードとなるであろう、中核モデルのノンターボ「X」が試乗車として用意されていました。

試乗後には開発担当者やマーケティング担当者らに、試乗して感じて良かったところ、悪かったところを率直に伝える意見交換の場があります(どのメーカーの試乗会も、試乗後には必ず意見交換の場があり、フィードバックを受けた開発担当者らは今後の改良の材料にしています)。

新型 日産「ルークス」X

それでは、新型ルークスの試乗インプレッションをお届けします!

新型ルークスのキャッチコピーは「見えルークス」

これは物理的な視界の良さと、先進技術による死角の可視化。この2つの”見える”を掛け合わせたキャッチコピーです。

日産が特にこだわったのが、デザイナー自身が「縁側」と呼ぶ、フロントウインドウ周り。

画像:日産・試乗会資料から抜粋

フロントウインドウは立てて先代比で10cm前方へ広げ、Aピラー(フロントウインドウ両端の柱)のデザインや位置を工夫し、日本家屋の縁側のように“外と中の境界線”を曖昧にしたとのこと。

新型ルークスの広さは軽No.1(画像:日産)

これは、運転席に座ってすぐに、”視界の広さ”を体験できました。そして特に、交差点に停まったとき、左右からの人や自転車がとてもよく見える

画像:日産

また、軽自動車では初採用となる「3Dインテリジェントアラウンドビューモニター」で、エンジンフード下など肉眼では見えないところを大画面のセンターディスプレイに表示する機能を備えています。

この機能は、キャンプ場でサイトへのアプローチで活躍してくれそうです!

デザインがイイ!

ボディサイズが小さい軽自動車は、法規制の面もあってデザイン上の自由度が少なくなります。

画像:日産

そこで、デザイナーは工夫に工夫を重ねて、フロントグリルは左右の側面まで回りこませたり、ボディサイドはプレスラインを巧みに入れて実際のサイズより大きく見せています。

デザインテーマは「四角まる」。角が丸い四角形を多数取り入れてクリーンでモダンな雰囲気にまとめています。

試乗開始後1分で気付いた「乗り心地がイイ!」

画像:日産

日産は、サスペンションの見直しと「ゼログラビティ(無重力)シート」を採用。身体にしっかりフィットしながらも、窮屈さは一切なし!

車に詳しくない人も、乗って数分で乗り心地の良さに気が付くはずです。

高速に乗ってすぐに気付いたのは「コーナリング時の安定性が高い!」

軽スーパーハイトワゴンは、高速走行の安定性が悪いと敬遠する人が多いですが、新型ルークスは大丈夫。

首都高速横羽線みなとみらい付近を試乗中(車載カメラ動画からの切り出し)

首都高速のタイトなコーナーでも、車体の傾きが抑えられており、背の高い軽スーパーハイトワゴンであることを感じさせない安心感で走行できました。

ノンターボでも街乗りでは十分。一般道では、アクセルは半分くらいの踏み込みでほとんどまかなえます。

ただ、排気量660ccですから、アクセル全開のフル加速ではどうしてもうるさくなります。

ターボモデルでは、パワーに余裕がある分、アクセル全開にするシーンは少なくなり、フル加速時のうるささも体感的に少なく感じます。

山岳路や高速走行が多くなければ、ノンターボ車で十分ですね。

先代から引き続いて採用された、リアシートバック上面の操作レバー。片手でも一瞬で荷室がフラットにできる便利機能。アウトドア好きにもうれしい装備。

悪かったところは?

悪いところとして感じたのは、高速コーナリング時のステアリングが軽く感じた(もう少し応力を感じるセッティングのほうが好ましい)ことと、ノンターボ車のフル加速時のCVTの音の変化に不自然感を覚えたこと。

この点は、意見交換の場で開発責任者へフィードバックしましたが、クルマの走りにうるさく、数多くの車に乗ってきた“違いのわかる”モータージャーナリストの意見であり、一般的な感覚とは同じではないという注釈を入れさせていただきます。

また、軽自動車という枠の中では、完璧な走行フィーリングを出すことが難しい部分でもあります。かんたんに言えば「ぜいたく言えば」の部類です。

日常生活の足としてのクルマなら、新型ルークスはとても完成度が高いと言えます。

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【開発責任者が語る】新型ルークスの3つのおすすめポイント

新型ルークスは、非常にたくさんの便利な装備、安全技術があります。

楽しく意見交換・インタビューさせていただきました。左が日産自動車株式会社 第二製品開発部 第一プロジェクト統括グループ 車両開発主管 坂氏、右が同 第二プロダクトデザイン部 プログラムデザインダイレクター 入江氏。

全部を解説するのは大変なので、開発責任者となる、日産自動車株式会社 第二製品開発部 第一プロジェクト統括グループ 車両開発主管 坂 幸真(ばん ゆきまさ)さんに、新型ルークスのおすすめポイントを3つに絞ってもらいました。

その3つのポイントとは

デザイン(広さ)・先進技術・使い勝手の良さ 

とのこと。

デザインというキーワードが1番目に出てきたので、デザインを担当した、同 第二プロダクトデザイン部 プログラムデザインダイレクター 入江 慎一郎(いりえ しんいちろう)さんに、「新型ルークスのデザイン、ここを見て!を3つ選んでください」とお願いしました。

【Zのデザイナーが語る】新型ルークスの3つのデザインポイント

入江さんは、知る人ぞ知る、世界的なカーデザイナーです。現行フェアレディZをはじめ、多数の日産車のデザインを担当しています。

日産 フェアレディZ(Z35型) NISMO

そんな入江さんに、新型ルークスの無数にあるデザインのポイントも、3つに絞ってもらいました。

入江さんの回答は、

前・横・後ろ!」と笑いながら答えてくれました。しかしすかさず「あ、インテリアも入れたい」と補足。

どうやら絞り込むことができないようです(笑)。

【まとめ】新型ルークス試乗会で感じたこと

新型ルークスを筆者なりにひと言でまとめると、

N-BOX、スペーシア、タントといったライバル車に乗っていた人が、新型ルークスに乗った瞬間、『あ、これいいな』と感じてくれる

となりました。

現在、乗用車販売台数の33%が軽自動車で、そのうち54%が軽スーパーハイトワゴンという成熟したマーケットになっています(数値は2024年、日産調べ)。

さらに、ライバル車は一通りフルモデルチェンジを済ませ、最後発となったのがルークスでした。

そんな中で、いかに個性を発揮して売れるクルマを作るというのは、至難の業だったはずです。

今回、しっかりと実績を出したのは、新型ルークスの「商品企画」「デザイン」「マーケティング(特にイメージキャラクターに仲里依紗さんを起用したこと)」の3つが、それぞれ自由にやりながらも、特に何か申し合わせしたわけでもなく、結果として集結したからだろうと推測しました。

そして「新型ルークスでキャンプに行きたいな」と思った次第でした。

【インタビュー動画】クルマのデザインってどうやって思い付くの?からの開発裏話

【試乗インプレッション動画】筆者のゆるっと横浜ドライブ

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