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キャンプするなら知っておきたい、クマ対策

自然の中でのんびりと過ごすキャンプ。なかには、自然豊かな場所でテントを張ることもあるでしょう。しかしそこは動物たちの生息地。私たち人間がお邪魔しているという認識を忘れてはいけません。
特に怖いのが、クマの被害。過去にはキャンパーがクマに襲われたケースも実際に存在しています。今回は、日本ツキノワグマ研究所監修のもと、私たちが気をつけるべきクマ対策についてまとめました。
監修者は、この方

NPO日本ツキノワグマ研究所 米田一彦さん
県や環境省の委託を受け、ツキノワグマの調査・研究を長年にわたり行う。『山でクマに会う方法(山と溪谷社)』『人狩り熊 十和利山熊襲撃事件(釣り人社)』などほか著書多数。
熊(クマ)は、実は臆病で用心深いはずが…

日本には、北海道にいる「ヒグマ」と本州以南にいる「ツキノワグマ」の2種類がいます。熊の特徴といえば大きな体に鋭い爪、大きな体の割に足も速く、その速さは時速50km以上。
その一方で実は用心深く、基本的には人を見つけると逃げてしまうほど臆病な性格なのですが、そんな熊(クマ)が凶暴になるのは、以下の場合が挙げられます。

● 母グマが、子グマを危険から守ろうとするとき
● 冬眠から覚めたばかりで、空腹なとき
● いきなり人が出てきて驚かされた(と感じる)とき
● 自分の餌や獲物だと認識したものを、横取りされたとき
● うまく冬眠できず、食糧探しに必死なとき
いずれも人間にとって予測できるシチュエーションではなく、キャンプ場で遭遇する確率もゼロではありません。万が一に備えて、どんな対策をとっておけばいいのでしょうか?
キャンプで熊(クマ)に遭遇しないための事前の対策

キャンプの安全対策はキャンプへ行く前から始まります。計画を立てる時点で意識しておきたいポイントがいくつかあるので、チェックしていきましょう。
人の気配が多く、整備されたキャンプ場が安心

キャンプ場を選ぶときの基準は立地条件や景色、料金など選ぶ基準はさまざまですが、熊対策として特に気にかけたいのが周辺環境と施設。
先のとおり熊(クマ)は臆病な性格なので、普段から人の気配のするところは近寄ってこない可能性が大。キャンプ場を選ぶ際は、サイトの整備が行き届いているか? マップには区画だけでなく周辺情報も載っていて、キャンプ場周辺も整備や手が回っているか? などを確認しておくと良いでしょう。
野営で静かに過ごしたい場合は、熊の目撃情報などをチェックしよう

ファミリーキャンプとは違い手の入り過ぎていないキャンプ場で自然を感じたいソロキャンパーや、野営でテント泊を楽しみたい方もいますよね。その場合は、事前にその場所がある地域(県・市町村)のホームページなどで熊など野生動物の目撃情報を調べておくのが良いでしょう。
熊が出没するエリアでは、キャンパーだけでなく住民の方も熊と遭遇しないために、目撃情報などを公開して地域一体となって警戒しています。
キャンプ場での注意点

事前情報で熊の目撃情報がある場合、またその近辺では情報がなくとも過去に出没していたりと、熊に遭遇する可能性がある場合は対策を知っておきましょう。
キャンプ場スタッフや近隣住民の方の意見を参考にする

近隣の方は、サイトにない情報も知っている場合があります。実際に熊の出没が多い地区のキャンプ場では情報に合わせてキャンプ場がクローズしたり、キャンプ場内でより安全な区画へ移動させるなどの対応を取られています。
もし、不安がある場合はチェックイン時にスタッフの方に確認したり、周辺の商店などで情報を得ておくと良いでしょう。また、危険性がある場合はキャンプを中止する勇気も必要です。
周囲の状況を把握しやすいサイトを選ぶ

周囲の状況がわからないところに設営してしまうと、当然相手からも見えないので、ばったり遭遇! なんてことも。
自分から周辺が見えるということは相手からも気付いてもらえる状況だということになり、臆病な熊は近付きにくくなります。
ゴミ、特に食料を放置しない

これは自分のサイトだけでなくキャンプ場の施設、炊事場やゴミ箱にも共通することです。臆病な熊が人の近くに寄ってくる場合、空腹で食料を探していることが多くあります。サイトでは食べた物をそのまま放置すると危険です。
クマは缶コーラ、缶ビールの中身を嗅ぎ分けられます。クマの目撃情報がある場所ではクーラーボックスやチャック袋など気密性の高い状態にして、テントから離れた場所に置くと良いでしょう。
共用施設の炊事場も同様に生ゴミが落ちていたり排水口に溜まったりしていると危険です。また、ゴミ捨て場のゴミ箱も蓋があったりと、簡単に熊がゴミへ近付けない状態になっていると安心です。
人間の存在を知らせるのも手

熊も人間を怖がっています。周囲への迷惑にならないレベルにラジオなど音を鳴らしたり、周辺の木の枝から弱にしたヘッドライトを下げておくなど、人間の存在を知らせる事で熊を近付けないというのも対策として有効です。
