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【絶景×霧×快適設備】キナバル山を望む高原キャンプが最高すぎた!
キナバル山を望む絶景キャンプ場に到着

キナバル山での登山を終えたあとに訪れたのが、キナバルパークからほど近い場所にある「Hounon Ridge Farmstay & Camping」です。キナバル公園からはおよそ10キロ、コタキナバル市内からは車で約2時間半の距離に位置しています。
登山後に宿泊する予定だったため、できるだけ移動の負担が少ない場所をと、日本にいる段階で事前に予約していました。
このキャンプ場の名前にもある「Hounon(フノン)」は、現地の言葉で「霧」を意味します。その名の通り、霧に包まれた幻想的な高原の雰囲気が魅力のひとつ。キャンプサイトからは雄大なキナバル山を望むことができ、50張以上のテントが設営可能な広々とした芝生サイトも整備されています。

キャンプサイトだけでなく、12室の個室と2つのドミトリーも備えており、キャンプをしない方でも快適に宿泊することができます。宿泊料金は、キャンプサイトが1泊MYR20(約700円)、ドミトリーベッドがMYR35(約1,200円)と非常にリーズナブルに設定されており、気軽に利用しやすいのも魅力です。
施設面も充実しており、温水シャワーや共用キッチンのほか、売店やBBQピット、さらにはレストランも併設されています。食事の準備が面倒なときには、レストランでゆっくり食事を楽しむのも良い選択肢だと思います。
霧に包まれる幻想的な高原キャンプ体験

何よりも素晴らしいのは、キャンプサイトからの圧倒的な展望です。キナバル山からほどよく距離をとった場所に位置しているため、その雄大な姿を真正面から見渡すことができ、その眺望はまさに絶景のひと言に尽きます。
まるで、富士山を目の前に望むことで知られる「ふもとっぱらキャンプ場」のようなロケーションです。
登山を終えた翌日、息子と一緒にテント前でキナバル山を眺めながら、昨日の登山の思い出を語り合ったのはとても印象的なひとときでした。
また、早朝には登山者たちのヘッドランプが山肌を点々と照らし出し、幻想的な光景を生み出します。少し早起きをして、その静けさと美しさに包まれてみるのもおすすめです。
野生のオランウータンが目の前に!森の中の感動リハビリ施設へ

キナバル山のあるラナウを後にし、次に目指すのはオランウータンの保護施設がある街、サンダカン。ここからは車で約4時間の道のりです。
道中は、ジャングル地帯をひたすら走ることになります。道路の両側には、バナナやヤシの木が途切れることなく延々と続き、その景色は圧巻です。中でもバナナの木の生い茂り方は驚くほどで、「これは全部食用なのだろうか?」「いくらなんでも輸出用にしては多すぎるのでは?」と、思わずそんな疑問を抱くほど。
そんなことを考えながら、南国の濃密な緑に包まれた道を、車はサンダカンへとひた走ります。
世界最大級の保護施設で、野生の姿を間近に観察

ジャングルの道を走ること約4時間、ようやくたどり着いたのが「セピロク・オランウータン・リハビリセンター」です。1964年に設立されたこの施設は、世界最大規模を誇るオランウータンのリハビリセンターとして知られています。
森林伐採や違法取引などの影響で親を失い、孤児となったオランウータンたちを保護し、再び野生で自立して生きていけるよう訓練・育成を行っているのがこの施設の大きな役割です。入場料を支払えば、誰でも見学することができ、彼らの保護活動の一端を間近に感じることができます。


入場料を支払い、いよいよ園内へと足を踏み入れます。入場前にはすべてのバッグや荷物をロッカーに預ける必要があります。というのも、オランウータンが荷物を奪ってしまう恐れがあるためで、見た目は穏やかでも、実は意外と力強く、時に攻撃的な一面を持っているそうです。
園内は広大な熱帯ジャングルに覆われており、まさに密林そのもの。整備された木道を進みながら「すぐにオランウータンに出会えるかも」と期待していたのですが、なかなか姿が見えません。「あれ、おかしいな」と思いながら歩を進めていくと、やがて大きく開けた広場にたどり着きます。
力強くも愛らしい“森の人”に出会う


そこにはたくさんのオランウータンが集まっており、ウッドデッキや木々の間に張りめぐらされたロープを器用に渡り歩く姿を間近で見学することができます。中には、生まれたばかりの小さな赤ちゃんオランウータンもいて、その愛らしい仕草に心が癒されるひとときでした。
一方で、大人のオランウータンは驚くほど大きく、その体格は成人男性とほぼ同じくらい。想像以上の迫力で、「オランウータン」という言葉がマレー語で「森の人」を意味するということを改めて実感させられる瞬間でもありました。
なお、餌付けの時間は毎日10時と15時に設定されているので、オランウータンたちの活発な様子を見たい方は、その時間に合わせて訪れるのがおすすめです。
サンダカンのキャンプ場へ

セピロク・オランウータン・リハビリセンターを後にして向かったのは、すぐ近くにあるレクリエーション施設を兼ね備えた「アイシャデリア コテージ・サンダカン」です
サンダカン周辺には宿泊可能なキャンプ場がほとんどなく、実質ここ一択といった状況。予約をせずに訪れたところ、「事前予約がないと入場できません」と入口で案内されてしまい、慌ててその場でスマホからオンライン予約を済ませ、ようやく中に入ることができました。


ジャングルの深い緑に囲まれたロケーションに位置するコテージは、都会の喧騒を忘れてゆったりと過ごせる、モダンで洗練された宿泊施設です。
敷地内にはカフェやレストランが併設されているほか、カヤック体験、バードサンクチュアリ、アニマルエリアなど、自然や動物と触れ合える多彩な設備が整っています。
私たちは予約なしの飛び込みで訪れたのですが、受付ではスタッフの方がとても親切に温かく迎えてくれました。日本人の来訪は珍しかったようで、スタッフの皆さんも興味津々。いろいろと質問を受け、思いがけない異文化交流を楽しむことができました。突然の外国人客に驚くのも無理はありませんね。
人工芝サイトに感動!快適さと自然のバランスが絶妙

係の男性がキャンプサイトまで案内してくれました。到着してまず驚いたのは、サイト一面に人工芝が敷かれていたことです。周囲は大自然に囲まれているのに、どうしてここだけ人工芝なのだろうと不思議に思いました。
しかし、しばらく滞在しているうちに、その理由がなんとなく見えてきました。人工芝の外に目をやると、地面はかなりぬかるんでいることに気づきます。熱帯のジャングルではスコールのような激しい雨が頻繁に降る地域のため、地面が常に湿ってぬかるみやすいのでしょう。テントや荷物が泥だらけにならないように、こうして人工芝を敷いてくれていたのだと思います。自然への配慮と快適さを両立させた、ありがたい工夫でした。

園内をひと通り巡って遊んだあとは、キャンプサイトに戻って夕食の支度を始めます。スタッフのご好意で「薪は自由に使っていいよ」と声をかけていただき、BBQにもぴったりの環境だったのですが、訪れたのは4月。夜とはいえ、ジャングルの気温は28℃と蒸し暑く、今回は焚き火は断念しました。

代わりにバーナーとマルチグリドルを使い、地元のスーパーで購入したラム肉を焼いて、息子と一緒に1日を振り返るひととき。自然の音に包まれながら語り合う時間は、何よりの贅沢です。
翌日は、さらに冒険心をくすぐる“ジャングルでのワイルドキャンプ”が待っています。


