爆売れ中の新型「フォレスター」ってどんなクルマ?

まずは、フォレスターの基本情報をサクッとおさらいしましょう。
2025年4月17日、スバルは新型「フォレスター」の予約受注開始を発表。約7年ぶりのフルモデルチェンジ!
すでに北米では2024年春から販売1されており、日本のスバル&フォレスター好きは心待ちにしていた1台でした。

日本でも受付開始とともに予約が殺到し、初月で1万台超えの受注を記録。これは驚異的な数字2です。
ちなみに、月販1万台超えはホンダ「N-BOX」、スズキ「スペーシア」、シリーズ合算のトヨタ「ヤリス」くらいしかありません(2025年4月実績)。いかにフォレスターが人気なのかがわかります。
- 1. だいたいの国産新型車、海外市場から先に販売されている件。国産車メーカーは、海外のほうが国内販売のざっくり5倍の台数を売るからだろう。
- 2. さらにわずか2カ月で計画台数の3倍超、約1万5000台に到達。歴代フォレスターでは過去最高、スバルの国内販売史上でもレガシィ2・3代目に次ぐ快挙!


フォレスターの魅力はやっぱり「水平対向エンジン&フルタイム4WD」
初代フォレスターが登場したのは1997年。当時から日本車らしからぬ走行性能と独自のデザインで大ヒット。以来、悪路走破性、操縦安定性、居住性、積載性すべてが高水準なSUVとして不動の人気を誇っています。
その心臓部にあるのが「水平対向エンジン」。現在はスバルとポルシェだけが量産している超レアなエンジン形式です。
シリンダーを水平に配置することで、エンジン自体が低重心になり、雪道や凍結路でも安定感バツグン。
また、フルタイム4WD(常時四輪駆動)もスバルの魅力。国産乗用車初の4WD車1はスバルが作っています。

スバルは「シンメトリカルAWD」2と呼ばれる電子制御四輪駆動システムを、ほぼ全車種に採用しています。
実は、ほとんどのクルマは、左右対称ではないのです!
水平対向エンジンの低重心と、左右対称の完全バランスは、操縦安定性に優れます。
筆者も何度か雪深い山道をスバル車で走りましたが、“ほかのSUVとは安心感が段違い”と実感しています。
東北や北海道では「一度スバルに乗ったら他の車に戻れない」なんて人、「一家全員スバル」もザラ。
唯一の泣き所が燃費でしたが……
- 1. 国産乗用車初の4WD車は、1972年発売のスバル「レオーネ エステートバン(パートタイム4WD)」。東北電力から「積雪地の走破性と快適性を備えたクルマがほしい」というリクエストをきっかけで開発された。 s
- 2. シンメトリカルとは左右対称(シンメトリー)のことで、スバルが作るクルマは真上から見るとエンジン、トランスミッション、タイヤといったパワートレインが左右対称で配置される。
新型は「ストロングハイブリッド」で燃費も克服!
先代ではマイルドハイブリッド1がラインナップされていたものの、燃費は正直「ちょっといいかな」レベルでした。
今回新たに採用されたのは「e-BOXER ストロングハイブリッド」(他に1.8Lターボもあり)。

低燃費で名高いトヨタ「プリウス」などに搭載されるハイブリッドシステム「THSⅡ」をベースに、「フォレスター」などに搭載されて定評を得た2.5L水平対向エンジン(FB25型)を組み合わせています。
走行用と発電用の2モーターを備えたフルハイブリッド方式に加え、低負荷走行時にはFF(前輪駆動)になるクラッチ制御も新採用してさらに低燃費を図り、WLTCモード燃費は21.1〜19km/L(グレードによる)と大幅に向上!
この燃費は、ライバルとなるハイブリッド・ミドルクラスのトヨタ「ハリアー(4WD)」の21.7〜22.0km/L、日産「エクストレイル e-4ORCE(4WD)」の18.3〜18.4km/Lと十分に戦えるスペックになりました。
ちなみに、先代フォレスター e-BOXER(マイルドハイブリッド)の燃費は、14km/Lでした。
先代は燃費でライバルにアドバンテージを取られており、フォレスターを買おうとした人が、ライバル車に流れてしまうことが多々あったようです。
ここまでが新型フォレスターの基本情報。さあ、ここからが本題。“キャンプ”と“車中泊”の実力検証です!
- 1. マイルドハイブリッド=エンジンと直結の発電兼アシストモーター「ISG」で発進アシストする仕組み
新型フォレスター【キャンプ適正チェック】
「ミドルSUV=キャンプ適正高い」はほぼ定説。その中でも新型フォレスターの実力をチェックしてみます。
積載性はどう?
まずは積めるかどうか。リアゲートを開けて真っ先に感じたのは「開口部が広い!」。フラットな床面で高さ約75cm(筆者実測)と積み降ろしがしやすい設計です。

さらに「キックセンサー式ハンズフリーパワーリヤゲート」(一部グレードにオプション)も便利。荷物で両手がふさがっても足先ひとつでリアゲートがオープンします。
荷室サイズは5名乗車時928mm、シート倒し時で1,796mm、幅は1,100mm(すべてカタログ値)キャンプギア満載できます!
さらに「スマートリヤビューミラー(デジタルミラー)」が標準装備されており、荷物で後方視界がふさがっても安心!
長距離ドライブの疲労対策は?
渋滞込みのキャンプ道中…帰り道の疲労ってツラいですよね。
新型フォレスターは最新の高度運転支援システム「アイサイトX」を搭載(各EXグレードに標準装備)。
「アイサイトX」の運転支援は次の5つの機能があります。
・渋滞時ハンズオフアシスト(時速50km以下でハンドルから手を離すことが可能)
・渋滞時発進アシスト(完全停車後も自動発進)
・カーブ前速度制御(進入時に自動減速・通過後は自動加速)
・料金所前速度制御(ETCゲート通過時減速)
・アクティブレーンチェンジアシスト(ウインカー出すだけで自動車線変更)
※各機能は、高速道路をはじめとする自動車専用道路上を走行し一定の条件を満たしたときに作動。
……と、これだけサポートが入れば渋滞も怖くありません。キャンプ帰りのテンションが維持できそうです!

見た目は? キャンプサイトに映える?
クルマ選びで一番の決め手は「見た目」って人、実際に多いですよね。
新型フォレスターは、SUVらしい力強さと上質感、そして先進感を高次元で融合。キャンプサイトに停まっていても「お、カッコいいじゃん!」ってなること間違いなしです。
もちろん最低地上高もしっかり確保。凸凹の林道アプローチも安心です。
新型フォレスター【車中泊適正チェック】
「ミドルSUVなら車中泊余裕っしょ!」……いやいや、ちょっと待ってください。
結論:条件付きでOK!という感じです。

後席を倒し、前席を一番前にスライドすれば室内長は約2m(筆者実測)。足は伸ばせます。ただ、問題は後席足元の“ぽっかり空間”です。
前席との間に約42cmのスペース(高さは約48cm)が残ります。ここを埋めないと実質160cm以下の人でないと真っすぐ寝られません。
しかも倒した背面にわずかな傾斜も残るので、完全フラットとは言えない状態。
どう埋めた? 実際の工夫
今回は幅53×奥行35×高さ29cmの折りたたみボックスを“ぽっかり空間”に設置。

これで段差を埋めつつ、WAQの10cm厚キャンプマットとニトリの「Nクール極冷」を敷いて車中泊チャレンジすることに!

実際に車中泊してみた!
高速道路のSAで1泊。

正直な感想は「快適とは言えないが、我慢は不要というレベル」。傾斜でじわじわ体が滑る感覚はあるものの、1泊なら全然アリ。長期連泊はちょっと厳しいかな…という感じです。
2人車中泊だと荷物の置き場に悩むかもですが、1人なら充分な広さ。SUVの中ではかなり優秀な部類です。
「君の名は。」「ゆるキャン△」聖地『高ボッチ高原』へロングドライブ
今回は納車されたばかりの新型フォレスターを借りて、長野県の「高ボッチ高原」まで1泊の車中泊ドライブへ!

グレードは最上級「Premium S-HEV EX」。2.5L水平対向エンジン+ストロングハイブリッド搭載車です。
高ボッチ高原までの、かなりの急勾配&急カーブが連続する狭い山道でも余裕。最高出力160PS・最大トルク209N・mのエンジンに、モーターは119.6PS・270N・mを発揮。

アクセル操作に素直にスピードがついてくるリニアな加速が気持ちよく、ハンドリングも実に軽快。
特に、今回初採用された「2ピニオン電動パワーステアリング1」による軽いハンドル操作感、滑らかさは絶妙。まさに“水を得た魚”状態でワインディングを駆け上がりました。

積載も走りも高得点、寝る性能は「工夫すれば実用レベル」。連泊にはやや不向きですが「前乗り車中泊+ロングドライブ派」には最適の相棒となってくれるでしょう!
- 1. 乗用車の操舵は、ラック(板)とピニオン(小さい歯車)で回転運動を直線運動に変えて行う。通常は1枚のラックが用いられるが、新型フォレスターはハンドルの操作軸とモーターのアシスト軸を分けるシステムを採用した「2ピニオン電動パワーステアリング」を搭載。

ここから先はもうちょいマニアックな話。足まわり・乗り味の細かい話や実燃費、さらに車中泊の詳しい様子は、ぜひ下の動画でチェックしてみてください!
動画でチェック
試乗車「フォレスター」のスペック・価格
グレード:Premium S-HEV
ボディカラー:マグネタイドグレー・メタリック
ボディサイズ
全長:4,655mm
全幅:1,830mm
全高:1,730mm
直列4気筒2.5L水平対向エンジン
最高出力118kW(160PS)/最大トルク209N・m
駆動用モーター最高出力88kW(119.6PS)/最大トルク270N・m
リニアトロニック(マニュアルモード付)CVT
燃料:レギュラーガソリン
WLTCモード燃費:21.1km/L
車両本体価格:465万3,000円
試乗車はメーカーオプション(ハーマンカードンサウンドシステム
本革シート、AC100V・1500Wアクセサリーコンセント、
サンルーフ)を装備:計52万8,000円




