超小型ポンプを買ってみた
キャンプでは極力、設営の時間と手間を節約したいもの。顔を真っ赤にしてインフレータブルマットを膨らませる工程などは、省きたい労力の代表格です。
そこで見つけたのが、手のひらサイズ……いや指先サイズの小型ポンプ。
FLEXTAILGEAR(フレックステールギア)という中華ブランドの「TINY PUMP(タイニーポンプ)」です。小型ながら強力、付属ノズルが充実していて多くのマットに対応するのだとか。Amazonで2,690円で購入しました。
箱は平和的で温かみのあるデザインでした。裏には付属ノズルの種類や使い方が記載されていますが、すべて英語です。中に説明書も入っていましたが、「ザ・直訳」という感じだったので、あまり頼りになりません。
とはいえシンプルに使うアイテムなので、心配は無用でしょう。
豊富な付属ノズル
中身を取り出してみました。収納袋が付属し、本体と複数のノズル、充電用USBケーブルで構成されています。さっそくじっくりと見ていきましょう。
本体を観察してみる
まずは本体から。突き出したパイプ状の部分が、吹出口です。パワー的には3.5kPaの空気圧力で、風速は180L/minに達するとのこと……と書いてはみましたが、これはAmazonの商品ページに記載された内容そのままであり、どの程度なのか想像もつきません。
上部には吸入口が。穴の向こうに白いスクリューが見えますね。これが回転することで空気を吸い込み、先ほどの吹出口から空気を吐き出すというわけです。
妙にスタイリッシュなプチプラギア
本体の底に円形の溝が彫られているように見えますが、これはスイッチとの境界線です。中央の円形スイッチを2連打することで作動し、1回押しで停止します。
デザイン的には素直にかっこいいと思いました。
充電ポートは、コネクタの裏表を気にしなくてもいいUSB Type-Cです。キャンプギアの世界ではまだまだType-Bの製品も多く、充電ケーブルの使い分けが地味に面倒なもの。Type-Cの採用は好感が持てます。
ノズルをくまなくチェック!
では付属ノズルをじっくり観察していきます。が、細かい仕様よりも「何にどう使えるのか」を重視したい方はスキップしちゃってください。
付属するのは5種類
付属ノズルをすべて並べてみました。外箱や説明書によると、次のように使い分けるようです。
①浮き輪、おもちゃ
②エアマット、エアピロー
③エアベッド、フローティングベッド
④エアクッション
⑤バキュームバッグ
※①~④は空気の注入、⑤は吸引に使用
①は「なるほど使えそう」って感じですね。④の汎用性にもピンときます。他は正直よくわかりませんが、たぶんフレックステールギアの製品に、対応するものがあるのでしょう。
④のノズルはこのように合体させて使用します。シリコンパーツは径が段になっているので、多くのインフレータブルマットに対応してくれそう。
また合体させずに白いプラスチック部分だけで使うこともできるようですが、外箱には「インフレータブルボート用」とあり、使用機会は限られます。
本体の吹出口に取り付けてみました。スイッチをダブルクリックしてONにしてみると、「フオォォ~」となかなかの音量とともに、力強く空気を噴出しました。
注入か吸引かで異なる取り付け位置
⑤の吸引用のノズルは、本体上部の吸入口に取り付けます。空気を抜くタイプのストレージバッグで使うようですが、対応する製品は思い当たりませんでした。
他に吸引用のノズルがあれば、空気を抜く工程でも使えそうなんですが……。
注入用のノズルも吸引に使用可能!?
空気注入用の4つのノズル、その底をよく見てみると外径以外は一致していました。空気が通る穴が一致するのは当然として、外側にもうひとつ共通の円が隆起しています。これはひょっとして……。
……思った通り、注入用のノズルも、本体の吸入口に取り付けることができました。これで空気を抜くシーンでも活用できそうですね。
しかしインフレータブルマットの場合、丸めて空気を抜く方がてっとり早い気もします。実際のところ、筆者は当製品を吸引用途では使用していません。
キャンプに持って行って色々検証してみた
実際にキャンプに持って行ってみました。小さくて軽いので荷物としての負担はまったくありません。この携帯性は大きなメリットです!
愛用のモンベルマットで使えるか……!?
筆者が7~8年前から使っている、モンベル「U.L.コンフォートシステム パッド180」を膨らませてみましょう。「放っておくとある程度は空気が入る→足りない場合は口で注入を」というタイプで、いつも口で空気を送って仕上げていました。
広げた直後から約3分でパンパンに……! 小さいのにすごいパワーでしたね。顔を赤くしてフーフーやっていた苦労が、過去のものとなりました。
ただしこちらのマットは廃盤で、バルブは旧型です。現行モデルではフラットバルブが採用されているので、使えるかどうかは残念ながら不明です。
コールマンの「インフレーターマット」では?
筆者が家族用として持っているマット、コールマンの「キャンパーインフレーターマット/シングルⅢ」とその2個セット「キャンパーインフレーターマット/WセットⅡ」で試してみましょう。
厚さ5cmの分厚いマット×3、指先サイズのポンプでイケるかどうか……。
約8分で3枚とも見事に膨らみました。
本来はしっかりマットを広げてから、できればマット自身がある程度は空気を取り込んだ後に膨らませるのが理想なんですが、丸まった状態からスタートしても問題なし。グイグイとマットが伸ばされる様子は壮観でした。
Amazonには「15分の使用時間で10以上の屋外マットレスを膨脹させ、数十個の収納バッグを圧縮することができます」とあり、家族分のマットぐらいは余裕のようです(ただし10分以上の連続運転はNG)。
先ほどのモンベル旧型バルブと同様、コールマンのバルブにもシリコンノズルがうまいこと対応してくれました。手持ちのマットのバルブがくるくる回すタイプなら、使用できる可能性が高いと思います。
ポンプサックを使うマットでは……?
こちらはNEMOのエアマット「クウェーザー」です。口で膨らませてもいいし、付属のポンプサックで効率よく空気を送ることもできる、NEMOらしく気の利いた製品です。
シリコンノズルはうまく合わなかったので、前出の③のノズルでやってみたところ、なんとか膨らませることができました。しかしノズルを必死に押し付ける必要があり、それでも空気のロスが発生しがちでした。
ポンプサックを使うよりも早いのか、ラクなのかと訊かれたら……筆者は言葉を濁し、話題を変えると思います。
あとこれは予想ですが、サーマレストの「Wing Lock Valve」には対応不可能だと思います。旧バルブはたぶんイケるんじゃないかと睨んでますが、確かなことは言えません。
マットを膨らませる以外の使い道
火吹棒を取りつけてみた
キャンプにおいて、マットの準備以外で空気を送るシーンといえば、焚き火のときでしょう。そこで火吹き棒に取り付けてみました。
写真の火吹き棒は筆者の自作なので対応ノズルの参考にはなりませんが、付属ノズルを片っぱしから駆使すれば、たいていの火吹き棒に使えると思います。
どちらかと言えば使いにくい筆者の自作火吹き棒が、強力なアイテムへと進化しました。ベルモントの「焚き火ブロウパイプ」という製品が、知る人ぞ知る便利ギアなんですが、あれ以上の風をラクラクと送ることができました。
ただしそこそこの音量があるので、焚き火をするようなチルタイムに使うのは推奨できません。また情緒に欠けることは言うまでもありません。
ベルモント 焚き火ブロウパイプ
夏のレジャーでも活躍しそう!
夏のレジャーに向けた使い方も試してみました。先端の尖った①のノズルを使って、水遊び道具を膨らませてみましょう。対象のバルブは、浮き輪などでよく見かけるタイプです。
おぉ、感動的なほどに楽ちんです……! 子供の浮き輪やビーチボールを膨らませているパパ&ママに、強くおすすめしたいと思いました。
権利上の都合で表は見せられませんが、この通りパンパンのパンパンです。これからの季節、タイニーポンプはキャンプをしないファミリーでも大活躍でしょう。
定番のキャンプ道具になるかも!?
ピンポン玉とそんなに変わらないサイズながら、すばらしくパワフルなタイニーポンプ。インフレータブルマットを使っているキャンパーなら、持っておいて損はないと思います。価格もそんなに高くはないし、荷物にもなりません。
クイックキャップやフィールドアからも同系統のアイテムがリリースされているので、家族全員分のマットの“膨らまし”を担当することもあるパパママキャンパーは、ぜひチェックしてみてください。
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