みなさんこんにちは、編集部の濱松です。車を購入した記事など、体当たり企画で記事に出たりしている者です。今回は、ふだんのCAMP HACKとは少し違ったエッセイテイストな記事になります。もし興味あれば、読み進めていただけると嬉しいです。
はじめてキャンプをしたときの、“あの”楽しさを思い出すために
キャンプを仕事にして約8年。仕事柄、ありがたいことに多くのアイテムに触れ、様々なタイプのキャンパーさんと知り合うこともできました。プライベートでも月1回はキャンプに行っています。ですが「なんだろう、このマンネリ感」と思ったのが今年の春頃。それを引きずりながら年末を迎えました。
そんなことを思っていた11月のある日、何となくアウトドアショップに立ち寄ったときに、4〜5歳ほどのお子さんを連れたファミリーがキャンプ道具を物色している姿を見て、「自分もあのぐらいの歳に連れて行ってもらったのが初めてのキャンプだったな」と思い出したんです。それを見て、「自分のキャンプのルーツを辿ってみるのもいいかも」と考えたのです。
思いたったが吉日、早速どんなキャンプをしていたのか、母に聞いてみることに。すると、忘れていた記憶が呼び起こされてきました。
濱:もしもし、久しぶり〜元気? 今度子どもの頃にしてたキャンプを体験しに行こうと思ってて。子どもの頃させてたこととか教えてほしいんだけど。
母:GWと夏休みには、いつも浩庵キャンプ場に出かけてたわよ! 組み立て式のカヌーを持ってたからそれを楽しんでた。あとは富士山の5合目まで車で行って遊ばせたりしてた。軽く登山したりね。キャンプ場でじっとしていることが少なかったから、テントを張らずに車中泊することが多かったかな!
濱:カヌーしていた印象はあったけど、富士山まで行っていたのは覚えていなかったな。キャンプ場ではどういう風に過ごしていたの?
母:着いたら設営すると思うけど、その時間でキャンプ場に落ちている枯れ枝を拾ってもらうのが子どもたちの役目にしてたよ。その間に親がカヌーを組み立てて、帰ってきたら漕ぎに行くっていう流れだったかな。
濱:なるほどね、ありがと! 自分でもリサーチしてみるわ。
という会話の後、親から送られてきた写真がこちら。
父親に寄りかかるように、ひと際かわいく写っている少年が(笑)、わたくし濱松です。非常にお恥ずかしいですが、ここまで来たら晒さないわけにはいかないということで、僭越ながら掲載させていただきます。
そのほか親から周辺施設など訪れていたスポットを教えてもらい、いざ原点回帰キャンプ旅へ出発したのでした。
10年以上ぶりに浩庵キャンプ場へ
最近ではゆるキャン△の人気もあり週末は混雑が絶えない「浩庵キャンプ場」へ10年ぶりに訪れてみました。(地元の友人たちとGWに行ったのが最後のはず。そのときは早朝到着で難なくサイトを確保できていたと記憶しています)
久しぶりに訪れた浩庵キャンプ場は、変わったところもありましたが、雰囲気はそのままでした。
“快適”は、より人をアクティブにさせる
今回は、子どもの頃によくしていたという車中泊をスタイルとして選びました。昔は凹凸をできるだけフラットにして寝ていたと親は言っていましたが、今でもその時代を引きずってか、「キャンプは不自由を楽しむもの」という論調もありますよね。楽しみ方は人それぞれですが、僕は思いっきり文明の利器は活用したいという派。
そこで今回の車中泊キャンプに選んだ車は、日産NV200をベースにしたゴードンミラーGMLVAN C-01という車種です。車の中はフルフラットにできるようになっており、車中泊には持ってこいのカスタムカー。
快適に寝られることがほぼ保証されているというのは、気持ち的に安心感が増しますし、アクティビティを思い切り楽しんで疲れても次の日に疲労が残らないというのはとても嬉しいことです。
ということで、いつでも寝られる準備が整ったところで、薪拾いに出かけることにしました。ふだんなら販売している薪を買うことが多いですが、今回はキャンプ場に許可を得て枯枝などを集めに林の中に入っていったのですが……。
小枝からそれなりに太い枝まで幅広く探す必要があるわけですが、意外と見つけるのに一苦労しました。着火剤は松ぼっくりかなと考えていましたが、季節的に落ちていないことに気づいたり……アウトドアパーソンとして、本当の意味ではまだまだ無知であることを悟った瞬間でした。
カヌーに乗って思い出した、あのときの記憶
今思えば珍しく、ALLYの組み立て式のカヌーが実家にあったんですよね。キャンプといえばコレ、というぐらい僕の記憶はALLYに乗ってスイスイと湖上を進んでいく光景が頭の中に残っています。後ろに父親が乗って、前に座った僕に漕ぎ方を教えてくれたのは微笑ましい思い出です。
今回はキャンプ場にてレンタルしたものに乗って湖上へ。湖上から見たキャンプ場の風景もキレイだし、この日は見えませんでしたが富士山に向かっていく感覚もウォーターアクティビティならではの体験。そうしていると、岩肌をぬって上陸しコーヒーブレイクした記憶などが蘇ってきました。
大人になり、知識を得たからこその楽しみを実感
キャンプ場に来る前に、昔よく寄っていたという道の駅「なるさわ」にて食材を購入してきたのですが、家を出る前に悩んだことが。それは、事前に食材を準備して行き、食品ロスやゴミを現地で出さないという考えと、現地で食材を購入し地産地消に貢献するという考え方。
今回は昔のキャンプ体験をなぞるというものであったのと、ネットで調べてみると高原野菜が豊富にあるということだったので、地産地消を選択肢として選びました。
今回は道の駅で購入した野菜と先日PLAYで取材したパタゴニアのPROVISIONSプロジェクトの製品「サントーニャ・サバ・オリーブオイル漬 レモンケイパー」「オーガニック・レッドビーン・チリ」を使った料理を作りました。
手軽にできるペペロンチーノにしましたが、このとき思ったのが、逆に食品ロスを考えて家で仕込んでいったら、料理の内容はより充実しただろうなということ。おそらく鶏肉を漬け込んで持って行き、現地でグリルしたり、野菜もカットしておけばより時短になったりしたことと思います。
どちらも一長一短。行く場所の名産を調べて好みかどうかを判断するのがベターなのかなと、この記事を書いている今、そのような考えに至っています。
音が少ない空間、それは貴重なことだった
音が多い少ないという実感って、普段の生活ではあまり意識しないことが多いでしょう。それは音にあふれた現代社会の中でも必要なもの以外を自然とシャットダウンしているという人間の適応能力の賜物と言ってもいいことかもしれませんが、音が少ない空間に身を置くことで気づきを得る瞬間がある、というのも事実です。
昨晩は早々と床についたこともあり朝早くに目が覚めました。普段だと顔を洗ってサイトに戻り、朝食の用意をするのがルーティン。しかし今回は場内を散歩することにしました。林の中で立ち止まり風景を眺めてみると、木々の間から光が差す光景が広がっていたのです。
そして、自分の足音がなくなると、シーンという音が響きわたり、その中に、遠くで昨晩調理したお皿などを洗うカチャカチャという音、近くではジジジッというテントのジップを開ける音が聞こえてきました。この音たちがすごく心地よかったんです。でもこれらの音って、キャンプシーンにおいて珍しくもなんともない音。でもなんだか心地いい、不思議な感覚でした。
今年、晴れてアラフォーの仲間入りを果たした僕ですが、ある説によると、40歳の時点で人生の83%が終わっているんだとか。要するに、ほとんどの経験をしてしまい、新たな気づきがなく多くのことが“当たり前”になっているということ。そう思うと、キャンプ場でのある意味フレッシュに感じたあの音の経験は、子どもの頃に戻れた瞬間だったのかもしれません。
いろんな気づきを与えてくれた、原点回帰のキャンプ旅
今回のキャンプ旅を通じて気づいたこと、得たことが多くありました。すでに記述したこともありますが、ここで改めてまとめさせていただきます。
知識をつけると、楽しさが倍増するということ
食品ロスや地産地消の考え方は、僕が子どもの頃の約30年前には今ほど広がっていなかった考え方だったはず。SDGsや地産地消など、90年代にはマイノリティだった考え方がマジョリティとなっていることもあります。例えば地産地消はキャンパーだからこそしやすい貢献です。アウトドアパーソンとしての意義が広がったんだなと実感した体験でした。
知識は快適性を生み、よりキャンプを楽しむことができるようになります。特に今回は30年前のキャンプのことを思い出しながらだったので、普段以上にそのことを実感することができました。
ただ僕自身、不要なものまでは持つことをやめる思考にはなっています。仕事柄いろんな物を試すために新作が出たら買って試すキャンプ生活をしていましたが、最近は思考が変わってきました。かっこよくいうと、自分のスタイルが確立されてきた、とでも言いますか……(汗)。
自分の中で考え、本当に必要だなと思ったものを吟味して購入し、使い続けるというのが今後の世界観な気がしています。
昔話をするって、いいことだ
普段、親に電話をかける機会なんて無かった僕でしたが、この企画を思いついたときに電話してみました。小さいときにしたこと、行った場所などを聞いたことで親とのコミュニケーションが生まれたというのは、不可抗力でしたが単純にハッピーなことだなと。さらに昔の写真がたくさんあるとのことで、実家に足を運んだのです。実家には年末軽く顔を出すぐらいにまで頻度が減っていましたが、昔の写真を引っ張り出し昔話に花を咲かせていたら、いつのまにか家族全員が笑顔になり、すごく心地よい空間がそこにはありました。
「キャンプが好き」と断言できる僕ですが、マンネリを抱えていたのは既述のとおり。でも今回の旅で、自分自身が感じるキャンプの楽しさというのを再発見できた気がしました。これで来年もキャンプを楽しめそうです。マンネリを感じている方がいらっしゃったら、自分がキャンプを楽しい!と感じたそのときにタイムスリップしてみるのもいいかもしれません。
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撮影協力:
株式会社オートバックスセブン
浩庵キャンプ場
道の駅なるさわ