コットに蚊帳を取り付けたい!
写真はソロキャンパーである筆者が、タープ泊のキャンプをスタートするときの様子です。
タープ泊は開放的で最高なんですが、寝ている間の蚊に対する防御力はほぼほぼ皆無。
筆者は蚊取り線香を複数焚いていますが、それでもひどいときは7~8か所、蚊に喰われていました。
そこで蚊帳としてコット上に設置できる、メッシュシェルターを探すことに。
ちょっと検索しただけで、わんさかと結果が出てきて面食らいます。さて、どれにしようか……?
よく目にする「アルパインデザイン」にする?
アルパインデザイン ポップアップメッシュシェルター カーキ
そういえばYou Tube「CAMP HACKチャンネル」のたぐっちゃんが、フライシート付きのモデルを持っていましたね。
「ビジョンピークス」もよさそう
ビジョンピークス ポップアップ カヤテント
ビジョンピークスは、アウトドア製品に強いスポーツショップ「ヒマラヤ」が運営するブランド。ヒマラヤは実店舗も多く、なんだか信頼感があります。
しかし気になるのが、自分のコットにうまいこと設置できるのかどうか……という問題。
筆者はFIELDOOR(フィールドア)の「アルミコンパクトコット TC」を愛用しています。サイズは長さが約190cmで幅が60cm(補足として高さ17cm)。
そして前出の2製品のサイズは次の通り。
アルパインデザイン:203×63cm(高さ65cm)
ビジョンピークス:218×68cm(高さ65cm)
アルパインは幅がほぼぴったり、ビジョンピークスは長さも幅もゆったりです……って、設置してみないと何とも言えません。
コットと同ブランドのシェルターを発見!
フィールドア ポップアップテント メッシュタイプ
しかし気になるサイズは次の通り。
約230×70cm(高さ70cm)
そう、アルパインよりもビジョンピークスよりも幅があるんです。これじゃブカブカになってしまうのでは……?
フィールドアのアルミコンパクトコット TCには幅78cmのワイドタイプもラインナップされているので、両方に対応するよう、間をとった幅サイズになったのでしょう。
フィールドア アルミコンパクトコット TC
フィールドアの「ポップアップメッシュテント」を導入
さっそく購入したフィールドアの「ポップアップメッシュテント」。Amazonで6,600円でした。ポップアップ式なので収納状態は少々かさばり、そのサイズは直径70×厚さ4cmです。
それではキャンプで実際に使ってみましょう!
組み立ては1分とかかりません
コットの上に設置してみました。組み立ては説明不要レベルの簡単さで、一部を持ち上げると勝手に広がり、ホールドするベルトのバックルを留めるだけ。1分かけるのが難しいほどの簡単設営です。
コットへのフィット感は?
完成状態をご確認ください。「ブカブカになってしまうのでは?」と不安だった幅サイズはそうでもなく、両側に少しずつハミ出る程度。
シェルターが地面についてしまうこともなく、コットにうまいことハマっている感があります。
コットのフレームと並行してシェルターのフレームが走り、コットの上面をすっぽりと覆っていますね。
頭と足の方向はコットから大きくハミ出していますが、フレームによって垂れ下がることはありません。
コットの裏側がこのような状態。バックル付きのベルトがコットを抱きかかえ、ホールドする仕組みです。ベルトの長さはもちろん調節可能で、他のコットにも対応できそう。
ディテールを見てみよう
ざっと細部を見てみました。
1. メッシュはとても細かく、小さな虫でも通しそうにありません
2. 出入り口は頂点までガバッと開放可能。ファスナーの引手は両面についています
3. 出入り口のパネルは巻き上げ可能。頂点で固定しておけます
4. 巻き上げないときは、ループ2つに小型ランタン等を吊り下げOK
……という感じで、「よくできてるなあ」というのが正直な感想です。特に巻き上げ用のループが、就寝時には吊り下げループとして使える構造に感心しました。
四隅にはペグを通せるループが。風が強くなってきたときなど、がっちりペグダウンして固定できますね。
実際にタープ下に設置してみた
実際にタープの下に配置し、座ってみました。高さが70cmなので、筆者の場合は頭が天井に当たってしまいます。
しかしその感触は至極ソフトなもので、ストレスは感じられません。就寝時や寝起き時に悩まされることはなさそうです。
横になってみました。コットを上回る大きさですから、当然狭さは感じません。頭上と足元にコット面積以上のスペースができるので、小物ポーチなどを置いておくことができそうです。
それではこの蚊帳コットで、実際にオーバーナイトしてみましょう。
使い心地は上々!しかし……
朝になりました。寝心地はいつものコットと同様、それでいて蚊に悩まされることなく眠ることができました。耳元の「ぷ~ん」が皆無だったことで、爽快な朝を迎えています。
というわけで、使ってみた感想としては非常に快適だったのですが、だからこそある点が気になってきました。それは……。
収納サイズがどうしても気になる!
直径70cmの収納サイズは、看過できない大きさです。使い勝手がイマイチなら二軍ギアにして諦めもつくのですが、実際に寝てみた感想は「これはもう手放せない」というものでした。そうなるとこの収納サイズが残念でなりません。
ただし厚さと軽さには不満はありません。公式スペックでは厚さ4cmとなっていますが、もっともっとぺったんこな印象。ちょっとした隙間に滑り込ませることができるでしょう。
そして重量はたったの約1kg。小指一本で持ち上げるのも楽勝です。
いや、でも、しかし……70cmという直径が、どうしても気になってしまう筆者でした。
非ポップアップ式を探すことに
収納サイズを重視して、非ポップアップ式のメッシュシェルターを探すことにしました。シンプルなモスキートネットでもいいかもしれません。
問題はコット上にうまく設置できるかどうか……ですが。
Omenluck モスキートネット
ただし頂点から伸びたロープを吊り下げる必要があり、筆者のタープでは設営が難しいですね。それと床サイズが220×120cmと大きく、コット自体が余裕で中に収まってしまいます。コット上をシェルター化する、今回の趣旨からは逸脱します。
MUXSAM モスキートネット
ワンティグリス ワンポールインナーテント
これで決まりかと思いきや床サイズが200×85cmと、コット上に設置するのはギリギリ難しそう。ただしフォルムもカラーもかっこいいので、「コット上」という縛りがなければ選びたい製品でした。
……とこんな感じでギア選びの暗礁に乗り上げましたが、テンマクデザインの製品でちょうどよさそうな製品を見つけました!
テンマクデザインの「モノポールインナーテント メッシュ」はどうだ!?
テンマクデザインのヒット作「サーカス」シリーズあたりで使用することを想定した「モノポールインナーテント メッシュ」。床サイズは210×70cmで、筆者のコット(190×60cm)の上になんとか設置できそうです。
スタンダード (ポリエステル生地)とメッシュの2タイプがあり、夏仕様なので注目したのはもちろんメッシュの方。Amazonで3,278円で購入しました。
満足できるレベルのコンパクト収納
収納サイズは長さ51cmで直径が11cmと、満足のできるコンパクト性でした。
しっかりとしたポールを採用しているわりには軽く、重量はたったの約1.14kg。公式スペックを確認すると、ポールはグラスファイバー製でした。
組み立て簡単な吊り下げ式
コットの上に組み立ててみましょう。
組立方法は、一般的な吊り下げ式テントをさらに簡単にしたような感じで、5分とかかりません。最初に説明書をチラ見しただけで完成させることができました。
フレームの構造は独特です。頂点でポールがクロスし、両端でT字型に結合。
必要最低限って感じですが、メッシュは見事にピンと張られ、ソロで寝るには十分な立体空間が生まれました。
コットへのフィット感は想像以上
完成した全体図をご覧ください。なかなかかっこいい佇まいではないでしょうか。
そして狙い通り、フロアはコットにちょうどよく乗っかっています。インナーテントが浮遊しているようなビジュアルですね。
出入り口を全開放しました。フロア生地を持ち上げるように、コットの形が浮いているのがわかります。
近くで見てみましょう。フロアの四隅のちょっと内側に、コットの四隅がくるような位置関係。
フロアの生地がコット全体を覆い、それでいて端っこが地面に届くことはない、絶妙なバランスとなりました。
ディテールをチェック
モノポールインナーテント メッシュの細部を確認してみました。
1. メッシュは非常に細かく、虫の侵入を許しません
2. ファスナーは両面に引手があり、つかみやすいコード付き
3. 天井中央にループ
4. 出入り口のパネルは巻き取りOK
……という感じで、必要十分な機能をしっかりとクリアしていました。
居住性は上々も安定感が……
タープの下に設置してみました。高さは97cmあるので、前出のフィールドア「ポップアップメッシュテント」よりも快適な空間に。
もちろんそのぶんコットを含めた全高があるので、タープの張り方に影響は及ぼします。
横になってみました。側面がほぼ垂直に立っているので圧迫感はまったくありません。いい寝床になりそうです。
ただ高さがあり、またベルトや何かでコットに固定しているわけではないので、ゆさゆさと揺れる感じはありました。試しに激しく寝返りをうってみると……。
……思いきり倒れそうになりました。側面に体を押し付けるような寝返りをうった場合、インナーテントごとコットから落下してしまいそうです。
ペグダウンすれば見事に解決!
四隅にはペグを通すループがあるので、ペグダウンしてみましょう。コット上に設営したからといって、特別長いペグを用意する必要はありません。使ったのはエリステの28cmです。
インナーテントががっちりと固定されてフロア生地がピンと張られ、コットとの密着度が高まりました。ズレにくく、一体感のある蚊帳コットに。
グイグイ揺らしてみてもこの通り。コットとインナーテントの位置関係が揺らぐことはありません。
しかしこのインナーテントはモノがいいですね。グラスファイバー製のポールがしなやかで惚れ惚れしました。コット云々は関係なく、価値のあるアイテムだと思います
カスタム感のある寝床が完成
モノポールインナーテント メッシュは、公式サイトによるとコット上に張ることも想定している製品。なので筆者が特別変わったことをしているわけではありません。しかし何やら工夫を成し遂げた達成感があり、満足度の高い寝床となりました。
蚊帳コットとしては、ひとまず自分なりの最適解にたどり着いたかなと思います。
しかし丸ごと持ち運べるような、あくまでもコットを主体とした構成にも、依然として魅力を感じています。秘密基地感が強く、また天候に応じたレイアウト変更も容易だからです。
「収納サイズが……」とか言いつつ、荷物の量によってはポップアップメッシュテントを使う気マンマンです。
ヘリノックスのコットでも試してみた
さて今回試した2アイテムは、あの人気ブランドのコットでも有効でしょうか? ヘリノックスの「タクティカル コット コンバーチブル」を用意し、試しに装着してみることに。
当製品はレッグを取り付けることで高さを変更できるコットですが、今回はローのままでやってみます。
フィールドア「ポップアップメッシュテント」の場合
タクティカル コットのサイズは190×68cm(高さ16cm)。筆者が愛用しているフィールドアの「アルミコンパクトコット TC」が190×60cm(高さ17cm)なので、サイズ的には横幅が8cm上回るだけです。
ということでポップアップメッシュテントは、当然のようにフィットしました。
横幅がある分、かえってホールド感が増しています。コットのカラーはコヨーテなので、筆者のコット以上に色的にもマッチしていますね。
サイドの垂れ下がりもなく、佇まいは極めてスマート。フィールドア製コットの愛用者としては、価格差以上に嫉妬する結果となりました。
テンマクデザイン「モノポールインナーテント メッシュ」の場合
モノポールインナーテント メッシュもまた、何ら問題なく乗っかりました。フロアがバランスよく、きれいに浮遊しています。
ちょっとズラして、横幅のバランスをチェック。フィールドアのアルミコンパクトコット TCよりも大きい分、安定感が増しているように感じました。
以上のように、フィールドア「ポップアップメッシュテント」もテンマクの「モノポールインナーテント メッシュ」も、何ら問題なくタクティカルコットで使用できると思います。
とはいえヘリノックスからは、「タクティカル コットテント ソロ インナーテント(メッシュ)」という製品がリリースされています。筆者はこちらも使ったことがあるのですが、コットとインナーテントとのフィット感は取り外しが億劫になるほど抜群で、すばらしい一体感でした。
居住性も秀逸なので、ヘリノックスファンは素直にこちらを購入してもいいかもしれません。
ヘリノックス タクティカル コットテント ソロ インナーテントメッシュ
というわけで今回は、コットに設置できる小型シェルターを探し、「蚊帳コット」の構築に挑戦してみました。
筆者が試した2アイテムはごくごく一部であり、もっと適した小型シェルターがあるかもしれません。またどんなコットを愛用しているかによって、アイテム選択は変わってきます。
今回の記事はあくまでも参考程度に、自分なりの蚊帳コットづくりに挑戦してみてくださいね。