ハイチェアのメリットとデメリットは?
ハイチェアは基本的に座面高が40cm以上の椅子のことを指します。40cm未満のものはローチェアとして分類しているメーカーが多いですが、ラインナップによっては40cm以下のものでも機能によってハイチェアに分類されているものもあります。
チェアの選び方を紹介
年々加速するキャンプブームにつられるかのように製造技術も進化し、増え続ける高性能なアウトドアチェアの中から最高の一脚を見つけ出すのは至難の業です。そこでアウトドアチェアを選ぶ際にチェックすべきポイントを紹介します。
チェアのタイプ別のメリット、デメリット
アウトドアチェアの構造は大きく分けて、折り畳み式、収束式、組み立て式の3種類です。それぞれのメリットとデメリットは以下の通りです。
✔︎折りたたみ式
折りたたみ式は、背面、座面、脚が『N』や『M』のように折り畳まれるだけのシンプルな構造です。
✔︎収束式
収束式は、骨組みを中央に束ねることで収納できる構造になっているチェアのことです。
✔︎組み立て式
組立式は、骨組みと生地がバラバラになっている状態から組み立てるタイプのチェアのことです。
チェアの背面にも高さがある
アウトドアチェアは、どのタイプにも背面が高さに違いがあります。ローバックは背中あたりまでの高さの背面、ハイバックは首や頭まで高さがあるものです。収納のコンパクトさ重視ならローバック、座り心地重視ならハイバックをおすすめします。
ハイチェアのおすすめ6選!こんな人におすすめです
自分に合った選び方がわかったところで、おすすめのローチェアを紹介します。似たような形状のチェアが多い中で、特におすすめのものを厳選。まずはそれぞれのスペックを紹介します。
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製品名 | ||||||
使用時サイズ | W55×D60×H85cm | W55×D56×H67/84cm | W81.9×D49.8×H86cm | W59.5×D80×H95cm | W45×D66.5×H96cm | W92×D68×H112cm |
座面高 | 約35cm | 約31cm/48cm | 約34cm | 約36cm | 約46cm | 約36cm |
収納サイズ | H42×φ15cm | W20×D20×H66/83cm | W14.3×D13×H86.2cm | W10×D15×H128cm | W115×D14×H13.5cm | W60×D17×H17cm |
重量 | 約1.3kg | 約3.5kg | 約2.23kg | 約3.5kg | 約3kg | 約3.3kg |
生地材質 | ポリエステル | ポリエステル | ポリエステル | 6号綿帆布 | ポリエステル | ナイロンメッシュ |
耐荷重 | 約145kg | 約100kg | 約100kg | 約80kg以上 | 約80kg | 約136kg |
参考価格 | 22,490円 | 8,500円 | 1,500円 | 23,100円 | 15,400円 | 29,150円 |
今回は、
をそれぞれチェックし、どのチェアがどんな人におすすめなのかを徹底検証してみました!
Helinox チェアツー:快適な座り心地を自分なりに育てていきたい人
チェアツーに限らずヘリノックスをおすすめするポイントはカスタムパーツが豊富なところです。ハイバックにより頭まで支えてくれる座り心地をロッキングスタイルにしてみたり、ドリンクホルダーや転倒防止のストッパーをつけてみたり、欲しい要素を自分なりにカスタムすることでお気に入りの一脚に育て上げられます。
気になる点は、価格が高いところと軽いがゆえに風で倒れやすいところ。焚き火中にトイレに行って帰ってきたら、愛するチェアが燃え尽きていたという可能性も考えられます。
Helinox チェアツー ホーム
Coleman ツーウェイキャプテンチェア:グルキャンや家族で会話を楽しみたい人
ツーウェイキャプテンチェアは、立って料理をする人と座って食事をする人の目線が近い時間を作ることができるチェアです。また、焚き火の近くに行く際は脚を縮めることでロータイプで焚き火を楽しめる汎用性もおすすめな点です。一脚でさまざまなシーンに対応できる点ではコスパに優れたチェアだと言えます。
気になるのは組み立てと収納に手間がかかるところと、背もたれが低い点。フレームは直角ではあるものの生地の沈み具合が大きいため背中をつけて座ると後ろにもたれかかる体勢になります。その際、長時間だと首が疲れてしまうので背中にクッションを一つ入れると改善されます。
Coleman ツーウェイキャプテンチェア
ワークマン 燃え広がりにくいアームチェア ハイ:とにかく低コストでキャンプを始めたい人
このチェアの最大のポイントは、1500円で買えるハイチェアだということ。とこれからキャンプを始める人は、キャンプをしていく中でどんな不便さが待っているか想像できません。低価格でキャンプ道具を集めていく上で安定性と利便性を求めるのであればワークマンから始まるキャンプで十分な楽しみを感じられるはずです!
気になるところは、ドリンクホルダーの縫い目が非常に雑なところ。何度も使用していくうちにドリンクホルダーの部分が破れる可能性を感じます。
ワークマン公式サイト:燃え広がりにくいアームチェア ハイ商品ページ
Snowpeak Take!チェア:家でも外でもとにかくダラけたいおしゃれキャンパー
Take!チェアは、フレームに竹の集成材を使用し、座面に体育の体操マットに使われているものと同じ6号の綿帆布が使用されているため、見た目はもちろんのこと、手触りも高級感を感じさせてくれます。座った瞬間に体が宙につられているかのような心地良さと竹の弾力は立つのが嫌になる程です。
気になるところは、折りたたむ際に座面がフレームから外れやすいこと。また竹の脚が剥き出しのため外では脚自体が傷つきやすく、室内では床が傷つきやすいことです。ホームセンターなどでゴムのキャップを購入して被せれば解決します。また、白い帆布は汚れが目立ちやすいですが、メーカー自身が『汚れたらガシガシ洗ってください』と公表しています。
Snow peak Take!チェア ロング
ogawa ハイバックチェアⅡ:安定した使い心地を重視するハイスタイルキャンパー
検証の全てにおいて無駄のなさを感じさせたのがこのチェアです。家のダイニングチェアをそのまま外に持ってきたかのような、座る姿勢を自然と矯正してくれる座面の角度と生地の張り具合は安定感No.1でした。折り畳んでも自立したままの脚の構造や座面の生地がたたみやすく収まる点など使いやすさも安定していました。
気になる点は、この直角に近い角度がもたれかかるようなリラックスできる作りではないことと、収納袋が背面にあるのに小さいこと。ここにスマホを入れるというのは取り出す動作の観点から、現実的な使い方ではないと思われます。
ogawa ハイバックチェアII
NEMO スターゲイズリクライナーラグジュアリー:チェア2個持ち覚悟のリラックスタイム追及キャンパー
このチェアは簡単に組み立て可能であり、ベルトの伸縮による自動調整で最適なリクライニングが確保される高性能チェアです。ただ空を見上げて全てをチェアに預けてくつろぎたい人にとってはこれ以上のチェアはないかもしれません。
気になるところは、リクライニング重視の構造のため、座面が深すぎて食事をするのに向いていないところと、マットブラックのフレームは傷が目立ちやすいこと。少し擦れただけですぐに白く汚れます。
NEMO スターゲイズリクライナーラグジュアリー
おすすめのチェアを徹底比較検証
収納サイズ感の比較
上記の表で収納サイズを紹介しているものの、数字を見ただけでは実際どのくらいなのかイメージが湧きづらいものです。そこで500〜2000mlまでのペットボトルと全部のチェアを並べてみました。
最も収納サイズが長いのはスノーピークのTake! チェアです。使用時サイズの高い収束式は収納時も長くなる傾向にありました。一方で組み立て式はやはりコンパクトに収まっているのが分かりました。コールマンの収納袋は脚を伸ばしたハイチェアの状態では入らず、一度縮めてからしまう必要がありました。
使用サイズ感の比較
使用シーンを想像して買ったつもりが、実際に使ってみたら思っていたサイズ感と違うという経験をしたことがある方もいるはず。そこで今回はパップテントの前に設置してみてサイズ感を比較してみました。使用したテントはOnetigrisのSOLO HOMESTED(展開サイズW400xD240xH160cm)です。
✔︎Helinox(ヘリノックス) チェアツーホーム
今回のラインナップの中で最も座面高が低いチェアツーホームは一般的にはローチェアに分類される高さです。チェアの背面が高くリラックスしてもたれかかれるこのチェアは別売りの『ロッキングフット』や、『タタミフット』を使用することでさらに快適になり、高さが上がるため、今回はハイチェアに分類しました。
Helinox ロッキングフット チェアツー用
Helinox タタミフット
✔︎Coleman(コールマン) ツーウェイキャプテンチェア
ハイタイプにすると座面高が48cmにもなるこのチェアはこのサイズのテント下に配置すると天井がだいぶ近く感じるサイズ感です。幕下で使用するのであれば脚を短くしてロータイプで使用するか、別途タープ下のリビングスペースで活用するのが理想的です。
✔︎ワークマン 燃え広がりにくいアームチェア ハイ
肘置きが広い分、横のゆとりが無さそうに見えますが肘置きにドリンクホルダーがついている分、テーブルが小さめでも広々と使用できるため幕下では快適に過ごせると感じました。コットンのテントとこのチェアがあれば、より幕下に近い距離で焚き火が行なえそうです。
✔︎Snowpeak(スノーピーク) Take! チェア ロング
背面が高いこのチェアですが、座面高が35cmとハイチェアの中でも低めなので座ってみると天井までの距離にもゆとりがありました。白がよく映えるチェアなためサイト全体から無骨な雰囲気が和らぎ、上品さを感じるチェアだと感じました。このチェアは室内や自宅ベランダなどでの使用目的で購入する方が多いのも納得できる見た目です。
✔︎ogawa(オガワ) ハイバックチェアⅡ
その名の通りハイバックタイプのこのチェアは背面の頂点が筆者の首辺りでした。座面高が46cmあり座面の張りもタイトなので、頭から天井までの距離が近く圧迫感を感じました。タープ下でリビング使用する方は安定感があるこのチェアは食事に最適です。パップテントをシェルターにして過ごす人にとってはこのチェアは少し高すぎるかもしれません。
✔︎NEMO(ニーモ) スターゲイズ リクライナー ラグジュアリー
組み立て式のチェアの中でも特に大きめサイズのチェアがこれ。天井まで非常に近く感じますが、名前の通りリクライニング機能があるため座った際に全身を包み込むように座面が下がります。背面が直角に近くなる時の座面高は36cmとローチェア並みの高さのため天井までのゆとりは十分にあります。幕下でサイドにテーブルを置くのはきつい横幅ですが、ドリンクホルダーがついているためテーブルは前に置くスタイルで過ごせます。
組み立てやすさを比較
今回のラインナップのうちHelinoxとNEMOは金属フレームを組み立てた後に座面となる生地を取り付けるタイプですが、この2種類には大きな違いがあります。
チェアツーはよくある組み立て式チェアのようにフレームに生地を挿し込むスタイルです。背面のフレームが長い分しなりがあり、はめ込みがキツいという印象はありませんでした。次にスターゲイズリクライナーは支柱となる2本のフレーム先端に付いた突起に金属部分をカチッとはめるだけ。支柱の2点で吊るしている構造とは思えない安定感です。
ワークマンとogawa、スノーピークの3種は収束式の王道である『広げるだけ』の構造で組み立てに難しさは全くありません。
組み立てが複雑なのはコールマンのツーウェイキャプテンチェアです。長い方のフレームに背面の生地を差し込み、広げた後に肘置きを短い方のフレームに接続。その後に脚をそれぞれ伸ばすことでようやくハイチェアとして組み立てられます。これは、組み立て、収納ともに結構な手間だと感じました。
機能の有無と利便性について
6種類のうち、ドリンクホルダーが付いているのはワークマンとNEMO。ドリンクホルダーがあるとテーブルの使用範囲が広がったり、焚き火を囲んだりする際に両手が開けられるというメリットがあります。NEMOのドリンクホルダーはリクライニングにしても座面の角度はほとんど変わらないため、つい眠ってしまったとしてもドリンクがこぼれてしまう心配はありません。
スマホや小物を入れたりできる収納はサイドにあると座ったまま取り出すことができますが、背面にあると一度立ち上がって取り出さなければいけないため、サイドポケットがあるタイプの方が利便性は高いと言えます。しかし背面に収納があるタイプの方が容量は多いため、上着やブランケットなどを入れておくのに便利です。
肘置きがあるのはチェアツーホーム以外の全てのチェアです。肘置きのメリットは腕を置けることですが、その反面で高さの合わない肘置きは脇が広がりすぎたり、肘置きを使わないと窮屈になるというデメリットもあります。Take! チェアとワークマンのチェアは肘置きに布ベルトや生地を採用しているので硬さがなく、腕のラインに沿うように肘を置くことができます。
NEMOのスターゲイズは背中を倒すだけでベルトの動きにより自動でリクライニングされるため、座っているときに常に背中の動きに背もたれがついてくる印象です。メッシュ生地のため通気性も良く、リラックスして座る快適さは抜群です。
座り心地を比較検証
当然のことですが、チェアは快適な座り心地が最も重要です。ですが、チェアの座り心地というのは座る人の体格や姿勢で変わるため、一概に良し悪しは決められません。そこでまずは60kgの体重で座った際の座面の沈み具合から、生地の張りを検証してみました。
ハイチェアは全体的に脚が長い分だけ生地の張りもゆるくなり、沈みが大きいことがわかりました。その中でもogawaのハイバックチェアⅡとツーウェイキャプテンチェアは比較的、座面の沈みが少なく座り心地も硬めな印象を受けました。反対にTake!チェアとスターゲイズリクライナーは深く沈むことで全身を包むような座り心地です。この2つの違いは足を伸ばして座った際に太もも裏に当たる部分の硬さで、Take!チェアは帆布を使用している分硬く感じました。
脚の地面への埋まり具合を検証
アウトドアチェアは雨上がりの地面や芝生のサイトでチェアの脚が埋まっていってしまうことがよくあります。そこで座った際に脚がどれくらい埋まりやすいのか、6種類を検証してみました。
ワークマンやogawaのようにいくつかの脚の先端が集結しているものは力が分散されることと、先端が太くなっているため沈みづらいのがわかりました。同じくコールマンやNEMOの円盤型の先端のように表面積を広げた先端地面に埋まるのを軽減できていました。先端に特別な処理を施していないチェアツーやTake!チェアは乾いた地面でも沈みやすく、濡れた地面では脚が沈みすぎて倒れてしまうことが予測できました。
お気に入りのハイチェアで最高のリラックス時間を過ごそう!
今回紹介したチェアの中には、ロゴ違いのような類似タイプのチェアが多くのメーカーからリリースされています。使用用途と耐荷重以外については、どこのチェアが良いかという判断は最終的には自分が決めるものです。自分が一目惚れしたチェアと共に楽しいキャンプを満喫しましょう!