アルスト愛用者にとって待望だった、エバニューの新作ギア
自転車や徒歩をメインでキャンプをする筆者は、装備は軽ければ軽いほど動きやすく気分が高まる、いわゆるULキャンパーに属します。
火気も極力アルコールストーブでの調理を楽しんでおり、特に、EVERNEW(エバニュー)のチタンアルコールストーブは気に入って愛用していました。
愛用して5年経ちますがまったく壊れることなく、チタンならではのいい変色が出ています。
連泊するような登山やソロキャンプなど、シンプルかつアナログな装備を好むスタイルの方にとっては定番ギアですね。
エバニュー チタンアルコールストーブ EBY254
待望の新作アルスト
そんなエバニューから新作のアルスト(アルコールストーブの略)が出ると聞いて「これは買わねば!」と販売当日に購入。ULキャンパーや登山をするハイカーの中ではかなり話題となっていて、即日完売したほどです。
今回は筆者の「神アイテム」となった、エバニューの新作「BLUENOTEstove(ブルーノートストーブ)」をご紹介します。
正直、万人受けはしないクセの強いギアですが、そのクセと魅力も含めてご紹介していきますよ。
「ブルーノートストーブ」ってどんなギア?
2022年にエバニューから発売された新作アルコールストーブ「BLUENOTEstove(ブルーノートストーブ)」。エバニューで有名なのはチタン製のアルコールストーブですがこちらはなんとアルミ製。
本体のみの販売もされていますが、私の場合はプレヒート用のお皿が付属されたブルーノートストーブセットを購入しました。
エバニュー ブルーノートストーブ(セット)
重量はたったの20g!
重量を実測してみると、本体とプレヒートプレートを合わせて20gに。公式のスペック表記通りの数値です。
ちなみに本体のみで13g、プレヒートプレートが7gという内訳。こちらも公式のスペック表記通りの数値。
わずか20gという軽さはガスバーナーでは実現不可能な数値なので、「さすがはアルスト!」といった感じですね。
容量は15ml
ブルーノートストーブの燃料最大容量は15ml。これ以上入れるとジェット孔から燃料が漏れ、周囲に引火する恐れがあるので大変危険です。
しっかり燃料を測れるように計量ボトルを準備しておくと良いでしょう。
ゴトクが不要
ブルーノートストーブは本体の横から炎が出るサイド式バーナーなので、アルコールストーブの上にクッカーを直置きする使い方ができ、ゴトクを別で用意する必要がありません。なので使い方も非常にシンプル。
ウルトラライトなアイテムには、一切の無駄を省くことで完成される形状がありますが、まさにそんな構造かと思います。
最大の特徴は炎が美しいこと!
ブルーノートストーブの一番好きな特徴……それが燃焼姿がとても美しいことです。
別名“ブルーの手”とも呼ばれるネーミング通り、横に広がるように出る炎は確かに青い手の平のようにくっきりとした炎。焚き火とはまた違う、別の種類の眺めていたくなる炎です。
それでは、実際に点火して美しい炎が出てくるまでの様子をご覧ください。
いざ!点火!
プレヒート式の点火方法
普通に噴射口へ点火させることもできますが、せっかくプレヒートのお皿もありますので、プレヒート式の点火を楽しみます。
使い方は簡単で、ブルーノートストーブ本体に燃料用アルコールを入れます。
その後、プレヒート用のお皿の縁に行き渡るように少しだけアルコールを垂らします。
点火はお皿の縁にすることでプレヒートさせることができます。
プレヒートさせる方が本燃焼まで素早く、クッカーも置いたまま点火させることができるので、非常に簡単です。
美しいアルストにはクセがある
そんな軽量コンパクトかつ、見て・使っていて美しさを感じるブルーノートストーブですが、少しクセがあります。
限られた燃料
燃料を入れられる容量が15mlと限られているので、どうしても対応できることも限られてきます。
例えば、燃料15ml程度だと一度の燃焼で沸かすことのできる水の量はだいたい300ml程度。ラーメン(リフィルタイプ)を食べたい場合、お湯は330ml必要なので、微妙に足りず……。
そのため途中でアルスト本体に燃料を継ぎ足すか、もしくは少ないお湯でラーメンを食べる、という対応をしなくてはなりません。
ご飯は炊けない?
そして、お米を炊くのであれば確実に燃料30mlは欲しいところ。
燃料30mlでお米一合分の自動炊飯が可能になるので、お米を炊くことはブルーノートストーブでは不向きかと思われます。
それでもどうしてもお米を炊きたい場合は、途中で燃料を補充するか、0.5合炊きにするか、など試行錯誤すると良いかもしれません。
風には弱い
横から炎が出るサイド式バーナーなので、風にはめっぽう弱いです。
容量も限られているため、風による影響で燃焼の効率が悪くなれば何度も燃料を補充しなければいけなくなることも。そうなれば時間もかかって少し面倒なので、風防はマストアイテムです。
同ブランドのエバニューから出ている風防がサイズ的に丁度いいようですが、筆者は持っていないので、自作の風防をいつもセットしています。
エバニュー チタン Ti フーボー EBY246
スタッキングの事例を紹介
ブルーノートストーブを使ってスタッキングをしてみます。このスタッキングを考える作業もアルコールストーブの醍醐味と言ってもいいですよね。
まずは容器となるクッカーですが、煮沸できる容量を考えると、同じくエバニューの製品である「400FD」という400ml容量のチタンクッカーに合わせることにしました。
エバニュー Ti 400FD Cup ECA530
そこにブルーノートストーブと自作のアルミ風防をスタッキングします。
更に15mlを計測できるカップと、アルコール燃料(100ml程度)を入れました。
エバニュー アルコールボトルw/cup 60ml
蓋が欲しいなと思い、別メーカー「トークス」の「チタニウムリッド95mm」を被せてみたら、めちゃくちゃシンデレラフィットしました。
TOAKS(トークス) チタニウム リッド95mm
持ち運びに関しては、テーブルや食料もウォーターキャリーも一緒にして大きめのスタッフサックに入れています。これで管理も楽になり、忘れ物もしにくくなります。
プラティパス ソフトボトル 1.0L ウェーブ
実際にお湯を沸かしてみよう
それでは、実際にブルーノートストーブを使って調理してみます。
ラーメン(リフィルタイプ)330ml煮沸
まずはお昼ごはん。リフィルタイプのカップヌードルを頂きます。
リフィルタイプのヌードルには330mlのお湯が必要ですが、エバニューの400FDには250mlまでのメモリしかないので目分量。
アルコール燃料はしっかり15ml計量して入れます。
プレヒート式のお皿にもアルコールを垂らします。
クッカーを置いて着火。
燃焼中は横からバーナーを覗いていましたが、昼間だと本当に燃焼しているかどうかが肉眼だと分かりにくいです。
手を近づけてみて、しっかり燃焼しているかチェックした方が良いですね。
15mlの燃料が燃焼し切りました。
ボコボコ底から小さな泡が出ていますが、非常に小さな煮沸なので少し心配になります。試しに触ってみるとギリギリ触れる程度の温度。60〜70度くらいでしょうか。
「この温度で大丈夫かな?」と少し不安ですが、ヌードルを入れて3分待機します。
試しに食べてみます。
おお!美味い!! ちょっとぬるい気がするけど、許容範囲だと思います。
ただ、できればアツアツで食べたいので、お湯ができる前の煮沸中にヌードルを入れてしまうのがベストかもしれませんね。
完食!
コーヒー200ml煮沸
食後に飲みたいのはやはりコーヒー。200mlのお湯を作るために同じく15mlの燃料を使用して加熱。
こちらもボコボコ大きな煮沸ではなく、小さな気泡が出る程度で15mlの燃料を燃焼し切りました。
インスタントコーヒー粉を入れます。
ラーメンの油が少し浮いていますが、「ブラックコーヒーが少しマイルドになる(はず)……」とポジティブに考えることでいつも解消しています。
ちなみにクッカーはそのままコップとして使用します。
ブルーノートストーブの火力はそこまで強く無いので、クッカーの縁まで熱が届かず、飲み口で火傷をせずに飲むことができました。
うん、美味しい。
制限されるからこそ、燃える!
この日は、ブルーノートストーブだけを使ってキャンプを楽しんでみました。
ブルーノートストーブを使いこなすことで、また1つレベルアップした気がします。試行錯誤する時間も楽しいし、何より造形美に魅了されたブルーノートストーブを使えるのが嬉しい。
クセの強いギアですが、制限があることであえて工夫を楽しむ、そんな道具だと思います。
次はこのブルーノートストーブを使って、オーバーナイトのウルトラライトハイキングにもチャレンジしてみます!