アウトドアの体験でSDGsのことを知るきっかけを作る
「今までにないワクワクを。」をテーマに掲げ、キャンプ知識と楽しみ方を発信し続けるCAMP HACK。これまでWEBマガジンをベースに記事や動画での情報配信や、イベント出店によるワークショップ、ポップアップショップなど様々な形で活動を行ってきました。
そして、今回新たな試みに挑戦します。それがSDGsを正面からキャンパー向けに紹介していく新メディア「PLAY(プレイ)」。
キャンプをはじめ、アウトドアアクティビティは自然あってこそ楽しめるもの。ただ、SDGsという言葉も昨今よく耳にしますが、自然を守るために、実際何をしたらいいのかわからないことも多いですよね。
ということで、本記事では改めてSDGsのことをおさらいするとともに、初代編集長でありPLAYの担当者である濱松にインタビューを敢行。立ち上げのきっかけや、今後の活動や目標などを聞きました。
新たなワクワクをお届けする新メディアの全貌をお楽しみください。
おさらい!自然を愛するアウトドアマンなら考えたい「SDGs」について
まずSDGsは「Sustainable Development Goals」の略称で“持続可能な開発目標”の意味。国連サミットで決められた2030年までに達成すべき国際的な共通目標として掲げられました。
その内容は環境、人権、平和という3つを軸に世界全体で取り組む課題と、17個のゴールを示したもの。環境問題の方面では、水と衛生、エネルギー、都市、生産と消費、気候変動、海洋資源、陸上資源などが掲げられているんです。
ただ、こういう固い言葉が並んでしまうと身構えてしまうし、実際に何をしたらその活動へと繋がるのかわかりにくいのが現状。しかし、CAMP HACKの読者の皆さんが楽しんでいるキャンプは、このSDGsを学ぶにはとっておきの機会なんです。
例えば、家であれば蛇口をひねれば水が出ますが、キャンプ場では炊事場に行き自分の手で汲んで使うことになるのでありがたさをより感じられます。また、食材は必要な分だけを購入して無駄なく使い、生ゴミはリサイクルにする。こういった1つ1つのことが実はSDGsの活動に繋がっているんです。
CAMP HACKが新たに始める特設サイト「PLAY」
ということで、そのSDGsをより身近に感じてもらうべく、CAMP HACKが新たに始動させたのが今回のメインディッシュである「PLAY」です。どういうことがSDGsに繋がり、その物や事を実際に体験し、配信していくのがこの特設サイトになります。
狙いや目標は!?気になるアレコレを「PLAY」企画者にインタビュー
続いてお送りするのは、発起人である初代CAMP HACK編集長・濱松へのインタビュー。
なぜこの企画を始動させたのか、ご自身のSDGsに対する思い、この活動の目標など、具体的にPLAYでは何を見せてくれるのか、ぶっちゃけトークも含めて伺ってきました。
ーーご自身はSDGsについてどうお考えでしたか?
まず、SDGsのことを意識し始めたのは、2020年の1月にドイツで行われたISPOという世界で有数のアウトドアの展示会に行ったときでした。会場全体がSDGsやサステナブルをテーマにしていて、ブランドは各商品以上に、SDGsな取り組み紹介をするためにけっこうなブース面積を割いていたんです。これはかなりカルチャーショックでしたね。
欧米のブランドは、SDGsに取り組んでいるのが当たり前。むしろその中で少しでも自然へのダメージを減らせるか、試行錯誤し技術の高めあいをしていたんです。これは日本では全く感じたことがないムーブメントだと思ったんです。
最近では日本でもSDGsという言葉は聞くようになりましたが、アクションはこれからという印象。誰かが先行して取り組む必要があると考えていました
ーーそれから日本でSDGsについて気づいたことなどありましたか?
カップラーメンの残ったスープなどをキャンプ場に捨てる人の姿を見て、思うことがあったんです。なんなら、最近自分の知り合いもキャンプへ行ったときに捨てそうになっていたので、全力で止めました(笑)
あと、軽量の焚き火台が流行り始めたときは、芝が焦げてしまわないか気になりましたね。案の定、至るところで起きたみたいで……。
最近ではCAMP HACKももちろんのこと、各メディアで焚き火(耐熱)シートを敷くように情報発信を行なっているおかげで改善に向かっているのではないかと思います
メーカーによっては焚き火台の下に敷くプレートも付属。これは火のついた灰が落ちて、地面にダメージを与えないように配慮したデザインとなっています。付属でそのプレートがない場合は、焚き火シートを使うことをもっと当たり前にしていくことが大事だと教えてくれました。
自分たちが実際に体験し、学んだことをPLAYで発信していきたい
ーー今回始動したPLAY。なぜ立ち上げたのでしょうか?
SDGsという言葉を流行りで終わらせるのではなく、ちゃんと文化にするということが目的ですね。日本社会が全体的にもう少しSDGsのアクションを起こすことが必要だと感じています。
でも正面から「SDGsに取り組もう、こんな活動やってます」って言ってもなかなか耳に入ってこないし、個人が行動し始めるって難しいじゃないですか。ぶっちゃけ自分がそうでしたし。
CAMP HACKはメディアであってキャンプやアウトドア情報を発信している、いわばエンタメ媒体だと思っていて。逆に僕らみたいなところが楽しい企画にして発信することで、少しずつでも変化を起こせるんじゃないかと思ったんです
ーーメディアでの発信というところで具体的なヴィジョンを教えてください
これまでメディアを運営していく中で、自分たちは記事なり動画なりとリソースが限られていて、編集だけでなくライターさんや関係者がいいと思った情報も配信していました。ただ、PLAYのコンテンツはしっかりと自分が体験して、本当に必要だと肌で感じたことのみを発信するが大事だと思っています。
先日、取材も兼ねてビール作りをして来たんですが、まさかふだん飲んでいるビールがSDGsに関係しているって知らないじゃないですか。まずはSDGsという言葉のハードルを自分自身も含め下げられたらと思っています。肌で感じて伝えることを意識して、メディアを運営していこうと考えています
ブリュワリー側に声をかけてもらった縁で作ることになったクラフトビール。作るにあたり、工程で廃棄物が出ても、それが肥料に循環するというサイクル。こういった学びは濱松自身もメディアのトピックスとしても面白いと感じたのだそう。
ーー発信の内容はキャンプだけでない、ということでしょうか?
CAMP HACKから派生したメディアなので離れすぎないように、アウトドアというくくりの中でやっていく予定です。
SDGsの取組みというとどうしてもハードルが上がってしまうんですが、自分たちが好きなアウトドアであれば楽しめるかなと。「こういうことをちょっと注意するだけでいいんだよ」みたいな気軽な感じで、まずは認知を高めていきたいですね
クラフトビールに関してもキャンパーの方々にも親和性があるし、SDGsを感じてもらうきっかけ作りとして。今後はビール瓶を活用したグラス作りなど、リサイクルを主軸としたDIYの記事などもやっていけたらと思っています。
そのためにも今回作っているビールはラベルにもこだわっていて、そのまま家に飾れるようなデザインを意識しました。
すでにそういう情報発信をしているメディアはあるんですけど、クラフトビールから作っているからこそ意味があるのかなと思っています
ーー確かに使い終わった物の活用法を求めている人は多いですね
重複してしまうんですが、それぐらいライトに日常に溶け込ませることが大事だと思っています。好きなこと、日頃楽しんでいることが「それって実はSDGsなんだよ!」ということを伝えていきたい。
その想いがあったので「PLAY」と名付けました。PLAYには“遊び”って意味があるのと、そこに“アクション”という意味も付随するので、ちょうどいいなと
自分たちだけじゃなく、色々な人を巻き込んで盛り上げ文化にしていく
ーー今後PLAYを通してやっていくことを教えてください
ワークショップなど、イベントへの出店は機会をもらえたら積極的に行っていきたいと思っています。枠にこだわらず色々な活動を広げていきたいですね
ーー今までのCAMP HACKではなかった動きも生まれそうですね
そうですね、例えばSDGsに取り組んでいる大学もけっこうあって、ぜひ関わっていきたいと思っています。枯れたり、焦げてしまった芝の植え替えなども、自分たち・学生・読者の方たちを巻き込んでみんなで体験する、というようなことっとか面白そうだなと思っています。
あとはSDGsに積極的に取り組んでいる著名人の方ともぜひ絡んでいきたいですね。僕らも積極的に体験していきたいですが、そういった方がPLAYのアイコンとなってくれたら、よりこの輪が広がっていくと信じています
SDGsに真剣に取り組む「PLAY」プロジェクトにご期待ください
ここまで紹介していきましたCAMP HACKの新プロジェクトである「PLAY」。ここからのスタートとなりますが、キャンプを愛する皆さんにとっても自然と上手に付き合っていかないと、楽しめる環境がなくなってしまうのは事実。
ただそれを重く考えすぎるのではなく、あくまでも日常のふとしたことの積み重ねがいつかのためになるはずです。その“遊んで学ぶ場”として、ぜひPLAYを積極的に利用してみてください。
最後に余談ですが、今回濱松のインタビューで利用させてもらったカフェ,デリ&バー「uni」はフロアコンセプトを「循環」とする表参道の施設「GYRE.FOOD(ジャイル フード)」に位置し、系列の他店舗とキッチンやスタッフを共有することで食材の無駄を無くすといったフードロスを軽減させる取り組みを積極的に行っている場所なんです。
このように、ふと目線を変えるだけで、SDGsのゴールに向けた活動を色々な場所で知ることができます。食文化も自分たちにとっては切っても切れないもの。このちょっとした意識変化も自分のためだけでなく、次世代の子たち未来を繋いでくれるはずです。