ゼインアーツファンの皆さんお待たせしました
2019年、キャンプ業界に彗星の如くあらわれた「ゼインアーツ」。機能美とデザイン性を兼ね備えた同社のプロダクトはもはや芸術。常識を覆すアイディア満載のテントに心奪われた人も多いはずです。
2022年春、新作テントの情報をいち早くキャッチしたCAMP HACK編集部は、長野県松本市にあるゼインアーツ本社へ突撃取材を敢行。
開発者である代表の小杉敬(こすぎ・けい)さんにインタビューを実施するとともに、新作テントを細かくチェックしてきました!
ファンの皆さん、お待たせしました。今回のテントも度肝を抜かれますよ。
新作テント、その名も「ロロ」
新作テントの名前は「ロロ(LOLO)」。大型のツールームテントです。
「ギギ」や「ゼクー」など、これまでの大型テントとは明らかに一線を画すデザインで、なによりその迫力に圧倒されます。
ゼインアーツ初となるこの大型ツールームテント。倉庫の中にあっても、不思議と自然美を感じさせる佇まいに、編集部一同「すごっ」と感動の声が漏れました。
どんな機能が隠されていのか……詳しくチェックしていきましょう。
どんなテント?新作テント「ロロ」を観察
基盤はワンポール。新発想のテント構造
新作テント「ロロ」の最大の特徴は、ワンポールをテント中心においた構造。テントの大黒柱となる部分に大きなポールを建て、そこからフレームを追加していくことで、空間を広げていく設計となっています。
これは他のシリーズにも共通したポイントで、ゼインアーツらしさを踏襲しているといえます。
ただ、そこで類似品ではなく、今まで見たこともないテントを作り上げるところに、“機能と藝術の融合”というブランドの想いがひしひしと伝わってきます。
インナーテントが付属で4シーズン対応。値段も適正価格を維持
広々と広がっている前室空間には計5箇所の出入り口があります。さらに側部にメッシュ窓をつけることで、夏でも風抜けがよく快適に過ごすことが可能に。
逆に全ての窓を閉じれば風が入ることもありません。スカートが付いているので、季節にとらわれずいつでも活躍してくれそうです。
ツールームテントのため、インナーテントも付属。大人4がゆったりと就寝できる申し分ないサイズ感です。
両サイドのパネルを開けることもできるので、インナーからの荷物の出し入れは簡単。キャンパーの“あったらいいな”の機能がふんだんに盛り込まれた設計になっています。
気になるお値段は約15万円。もちろん格安ではないですが、これだけの機能であれば十分適正価格でしょう。
組み立て簡単。一人でも大丈夫
「ロロ」はワンポールが構造の中心にあるため、他のツールームと比べて設営手順が簡略化されています。
四隅のペグダウンをして、ポールを差し込めばほぼ自立。力も必要ないので、一度慣れてしまえば、1人でも20分〜25分で設営が完了するとのこと。
【代表に聞く】新作テント「ロロ」の開発に込めた想いとは
今までにない見どころ満載の新作テント「ロロ」。ここからは、ゼインアーツの代表でありプロダクト開発者である小杉さんにこだわりポイントを語っていただきます。皆さんが気になる疑問もぶつけてみましたよ。
──ズバリ、今作の一番の魅力は?
小杉:ツールームテントだけど設営が簡単という点です。一般的なツールームではフレームだけでテントを立ち上げますよね。そのとき、大きな力が必要になり、どうしても1人では設営できませんでした。
一方、今回の「ロロ」はワンポールにフレームをプラスすることでツールーム化させています。そうすることで、重量のあるテントを簡単に立ち上げることが可能になるんです。
これなら誰でも設営できますし、一度テントが自立すればあとはフレームを追加するだけ。ワンポールの簡単さとフレームの居住性を両立させることができました。
──なるほど。大きさもかなりの迫力がありますよね
小杉:はい。でも実はこのテント、大きく見えても設置面積は幅435cm×長さ530cmとツールームにしては小さいんです。
なぜ大きく感じるかというと、フレームワークで空間効率をあげているからなんです。
設置面積を小さくするための工夫としては、テントの入り口付近を外側に傾斜させているのもポイントです。
これは、一般的なテントとは逆の構造で、屋根部分を伸ばすことで空間のデッドスペースを極限まで少なくしています。
家で例えると軒(のき)の構造と同じです。軒には、雨が降っても、内側に水が入ってこないという利点がありますよね。
──初の大型ツールームです。なぜ今、このテントなのでしょうか?
小杉:「ロロ」の構造自体は、一番初めに発表したテント「ゼクーM」を思いついたときには、イメージできていました。
そもそも、ゼインアーツの多くのテントには考え方が共通しています。まずワンポールを建てて、そこから空間をフレームで広げていく。あとは伸ばしていく方向が、サークル状なのか2方向なのかという違いしかありません。
「ゼクー」シリーズのような円形のティピー型は、テント内で輪になることができるので、コミュケーションをとりやすいですよね。
それに対して「ロロ」のようなツールームは長方形の形状なので、対角線が長くて距離が空いてしまいます。
しかしその分、寝室とリビングスペースを区切りやすく、居住性という意味では利便性が高いです。ファミリーキャンプでより使いやすい、そういうテントを開発したかったという想いがありました。
──ゼインアーツのギアはどれもユニークな名前です。新作「ロロ」の由来は?
小杉:テントの形が“タンカー船”みたいに見えませんか? そういう大きい船のことを「RO-RO船」って言うんですよ。
あと長野に「荒船山(あらふねやま)」っていう重厚な見た目の山があるんですけど、そこの近くでキャンプをしたときに雲海がすごくてですね。
まさに山そのものが海を渡るタンカー船に見たんです。波の道という意味で「浪路(ろうろ)」という言葉があるので、2つの言葉を掛け合わせて「ロロ」という名前にしました。
──キャンプ業界では値上げが続いています。“適正価格”を実現した工夫を教えてください
小杉:まず、ゼインアーツはキャンプ初心者でも玄人でも、長く使えるプロダクトを常に目指しています。
もちろん、それなりに良いものを作ろうとすればコストがかかります。ただし価格が高すぎても初心者はなかなか手を伸ばしにくいですよね。
僕にとって、プロの仕事とはしっかりとバランスを取ることです。「良いものだけど高い」なら誰でもできます。そこを「良いものだけど手頃な価格にする」ために、これまでの自分の知識や経験を注ぎ込んでいます。
「ロロ」でいえば、空間効率を割り切った設計にしています。寝室であるインナーテント部分にはコストをかけていません。なぜなら、そこは“寝る”場所だからです。
人は寝るときは横になるだけなので、わざわざ大きなフレームを入れる必要はないですよね。そうすれば、多くの時間を過ごすリビングスペースにお金をかけることができますから。
──ゼインアーツが目指すプロダクトとは?
小杉:美しいプロダクトを作りたいです。「美しい景色を見たい」、これはアウトドア好きな人には共通していることだと思います。
その景色の中で、機能の塊のようなプロダクトがポンと置いてあると冷めちゃうんです。だから、きれいな風景に佇む美しいテントでありたいなと思っています。
ネーミングもデザインも、使っていただく皆さんが自然の中に入って、自然を楽しめるものを目指しています。
今後もゼインアーツの挑戦に期待!
2022年、ゼインアーツの新作テントはいかがでしたか? 開発者の小杉さんの思いが目一杯詰まったテントに、取材に行った編集部員も終始感動しっぱなしでした。
また、今回は新作テント以外にも、大注目の小物ギアも発表されています。そちらも合わせてチェックしてみてくださいね。
ゼインアーツの公式HPはこちら。