栄養満点の料理が作れる「無水鍋」
無水鍋とは“水なしで”調理できる鍋のこと。鍋の素材にもよりますが、「煮る」「焼く」「揚げる」などさまざまな調理ができるのも魅力のひとつです。
圧力鍋との違いは……「調理時間」
無水鍋と聞くと「圧力鍋と違うの?」と思う方もいるのではないでしょうか。いずれも容器内の気密性を高めている点では同じですが、無水鍋は蓋の重みや蒸気の膜を利用する調理法が特徴です。
一方圧力鍋はゴムパッキンで蓋と容器を完全に密閉し、食材の沸点を一気に高めることで短時間で調理をする仕組み。蒸気により弱火で食材にじっくりと熱を伝える無水鍋とは、まったく違う調理法なんです。
基本お鍋に食材を入れてコトコト煮るだけでできあがる無水鍋メニューは、アウトドアにもピッタリ! その理由でもある魅力をチェックしていきましょう。
まずは無水鍋を使うことのメリットからチェック。何となく「欲しいな~」と思っていた方も、しっかり知るほどすぐに欲しくなっちゃうかも? さっそく見ていきましょう。
無水鍋を使いたくなる!3つのメリット
① 食材の旨味が凝縮される
無水鍋での調理は食材の水分だけを使うため食材の栄養素が凝縮され、旨味も逃さず閉じ込めるためとても美味しく仕上がります。そのため余分な調味料は使わず、蒸し野菜など食材本来のおいしさを十堪能できるメニューがおすすめです。
また、自宅のキッチンとは勝手が違うアウトドアでは水を極力使いたくないというシチュエーションも。そんなキャンプにこそ、水が要らず味付けも最小限で済む無水鍋調理が快適なんです!
② 素材によっては時短調理ができる!イチオシはアルミ
無水鍋の素材はアルミ・ステンレス・ホーロー・土など様々ですが、中でもアルミは熱伝導性が高く短時間で火が通るという特徴が。
時短調理ができるのは、手間が減るだけでなく光熱費の節約にも繋がりますね。キャンプでバーナーなどを使う場合も燃料の消費が少なくて済みますよ。
③ 保温性が高い
無水鍋の多くは蓄熱性や保温性も抜群。アルミ製の無水鍋でも、鍋の製法によっては時短調理というメリットを持ちつつ保温性も両立させたものもあります。
気温の低い野外で食べる食事では、なるべく冷めにくい方が良いですよね。先ほどの時短調理に加え、
保温性が高いというのもアウトドアの調理器具におすすめの理由です。
④多機能無水鍋ならいろいろメニューができる!
数千円~数万円と価格帯に幅がある無水鍋ですが、ハイクラスのモデルはより効率的かつ美味しく調理できるよう独自の設計がされているものも。さらに蒸すだけでなく煮たり焼いたり炒めたりもできる万能モデルもあり、値は張るものの汎用性を考えるとコストパフォーマンスが良いと言えるかもしれません。
そして、できるだけ荷物を減らしたいアウトドアでは調理器具も少ない方が快適。多機能な無水鍋なら、1つでいろいろな料理を賄えます。
種類も価格も様々な無水鍋、どれを選ぶ?
種類豊富な無水鍋は、どう選んだら良いのでしょうか? ここからは選び方のポイントとおすすめアイテムをご紹介します。
無水鍋つの選び方
①使い勝手を左右する「素材」に注目!
無水鍋の素材は上記4種類が主流。いずれも素材ごとに特徴があるので、詳しく解説していきます!
アルミ
アルミ製は温まりやすく軽いのが特徴で、価格もリーズナブルなものが多く初めての購入にもおすすめの素材です。
その反面アルミ本来の特徴から焦げつきやすいため、炒め物の場合はしっかりと油を敷くなど注意が必要。他の素材より保温性も低いため、アウトドアでは料理が冷めるのが早いというのがデメリットのひとつでもあります。
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KING 無水鍋 18
「蒸す」「煮る」「茹でる」「炊く」などさまざまな調理に対応できるモデル。オーブン調理など多彩な熱源に対応できるのも魅力です。サイズも小さめであり、アウトドアにもピッタリ! 無水鍋という言葉を日本に広めた老舗メーカーです(登録商標取得)。
北陸アルミニウム マイスター あわせ蓋 24cm
1台8役の万能無水鍋!蓋も浅型のフライパンとして使えます。厚手のつくりであるものの使い心地も軽やかです。内部はセラミックコーティングでお手入れも簡単。
特深鍋 ガス火専用 22cm
ガス火専用のモデルです。肉厚な構造で、均一な熱回りが魅力。熟練工が手間を惜しまず丁寧に作り上げており、お手入れをして使えば親子2世代に渡り長く使えます。
ステンレス
ステンレスは耐久性が高くアウトドアでも気軽に使える素材。酸やアルカリに強いため長時間の煮込み料理もしやすく、調理後残ったらそのまま保存ができるのも便利です。
ただし、熱伝導率の低さから調理に時間がかかる点も要チェック。時短要素は外せないという方は、アルミ素材と組み合わせたモデルを選ぶと良いでしょう。
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宮崎製作所 ジオプロダクト 両手鍋 GEO-22T
多層構造で少ない熱量でも素早く加熱ができるモデル。オールステンレス製であり、鍋ごとオーブンに入れてもOK!熱源を問わないため、アウトドアにも対応できます。親子3代で使える品質の高さも魅力。
浅型 両手鍋 24cm simo-4-10
無水調理専用ではありませんが、蓋の構造により無水調理が可能なモデルです。浅型で軽量な特徴からキャンプに持って行ってもOK。保温性や耐久性が高い3層構造も嬉しいポイントです。
フィスラー シチューポーット 24cm
スタイリッシュなデザインの無水鍋。フィスラー独自構造により、熱が伝わりやすく保温性の高さも魅力です。液垂れしない設計や熱が伝わりにくいハンド部分など細かい気遣いもバッチリです!
ホーロー
厚みのあるホーロー素材は一度温まると冷めにくいことが特徴で、じっくり加熱が必要な煮込み料理に向いています。その反面分厚いつくりから温まるまでに時間がかかることや、落下などの衝撃には弱くヒビ割れがあるとそこから錆びが発生しやすいため、注意が必要です。
扱いには多少気を使いますが、直火OKでアウトドアとの相性も抜群。また、ホーロー製の無水鍋は鉄とガラスがあわさった鋳鉄が主流。鉄の耐久性や保温性にガラスの防湿性や安全性など両素材のメリットを兼ね備えています。
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アイリスオーヤマ 両手鍋 20cm
「焼く」「煮込む」「炊飯」など多彩な調理方法に対応している無水鍋。鍋ごとオーブンに入れることもOK!調理後はそのままテーブルに置いても馴染むシンプルなデザインも魅力です。
バイディーム ホーロー鍋 22cm
見た目の鮮やかさが特徴的なモデルです。カップケーキをイメージしたこともあり、可愛らしさがあります。さまざまな熱源に対応していたり、焦げつき防止のエナメル加工がされていたり機能面も抜群!
ストウブ ワナベ 20cm
ラウンド型の無水鍋であり、丸みに沿って鍋底から対流が促されるため、食事に出汁が染み込みます。鍋内部のシステラと呼ばれる突起によって、効率よく食材に水分を回します。数人分の調理ができるサイズ感から食卓やキャンプでも重宝します。
土
土素材は萬古焼や伊賀焼などで有名ないわゆる「土鍋」。見た目も土の特徴が色濃く塩分にも強く、陶器の風合いを楽しみながら調理ができることも魅力です。
性能面の特徴としては緩やかに加熱され蓄熱性も高いため、長時間の煮込み料理はもちろん余熱調理も可能。一方で温度差や衝撃に弱く、ホーローと同様で取り扱いには注意が必要です。
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ブリシオ 高気密無水土鍋 22cm
優れた蓄熱製、高気密、保温性により余熱での調理ができるモデル。カラーバリエーションもあるため、キッチンや食卓、アウトドア用品との相性から選べます。食洗機もOKでお手入れも簡単!
リロ 22cm ダッチオーブン
同サイズの鋳物無水鍋よりも半分以下の重量で、持ち運びに便利なモデル。キャンプにも最適なダッチオーブンであり、お手入れも簡単で助かります。蓋を使った食材の加熱もでき、使い方が多彩!
カラフル無水鍋 22cm
蓄熱製が高いタジン鍋。使い方はほかの無水鍋と変わりません。インパクトのあるデザインからテーブルにそのまま置いてもいいでしょう。
②IHコンロで使うなら、電磁調理器対応モデルを選ぼう
無水鍋は直火だけでなく電磁調理器に対応しているモデルも豊富。キャンプでは直火調理をしつつ自宅のIHコンロでも利用したい場合は、多くの熱源に対応しているモデルを選びましょう。
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アイリスオーヤマ 無水鍋 24cm MKS-P24D
深めのモデルであり、カレーやシチューなどに最適。セラミックコーティング、アルミダイキャスト製という丈夫なつくりも魅力です。
クックシェア 無加水鍋 20cm
IHだけではなくオーブンなどさまざまな熱源に対応しているモデル。深さがあり、パンやカレーなど調理できるレシピも豊富です。セラミック加工によって傷がつきにくい点も◎
ストウブ ピコ・ココット・ラウンド 26cm
鋳鉄製のため熱源を選ばない点が魅力。家庭やアウトドア、お好きな場所で使えます。シーズニングも不要であり、手軽に使えるでしょう。油が馴染みやすく、焦げ付きもないためお手入れも簡単。
③料理のしやすさに関わる!サイズや形状
無水鍋でより快適に調理したいなら、こだわっておきたいのがサイズや形。上記のようにレシピによって適する形状があります。ちなみに初めて無水鍋を買うにあたりサイズで迷ったら、定番の20~24㎝サイズがおすすめ。20cmサイズは2~4人ほど、24cmサイズは6人分くらいまでの調理が可能です。
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ストウブ ピギーココット 17cm
コンパクトなサイズが特徴的な無水鍋。1人用や初めて購入する方にもおすすめです。さまざまな熱源に対応、食洗機もOKです。蓋には犬が型どられていて可愛いさ満点!
和平フレイズ 無水鍋 20cm
鍋と蓋がそれぞれ単品でも使える無水鍋。よりさまざまな使い方をしたい方にはおすすめです。一定の深さがあるため、汁物の調理もできます。アウトドアにも持っていきやすい重量もポイント。
グッドプラス キャストポット 26cm 浅型
鉄鋳とホーローのいいとこ取りをしたモデルです。蓄熱性が高くお手入れもしやすいです。職人がひとつひとつ手作りをしているため、品質の高さも魅力。両側に取っ手がついていることから、持ち運びも便利です。
アイリスオーヤマ 無水鍋 24cm MKS-P24D
浅型の無水鍋ですが汁物の調理も可能です。セラミック加工により、汚れも落ちやすくお手入れも簡単!お好きなカラーを選んで食卓やアウトドアシーンのインテリアとしても使えます。
④ズボラさんなら焦げ付き防止加工タイプが快適!
手軽さを最大の理由に無水鍋を使いたい方にとっては、洗う手間やお手入れも楽な方が良いですよね。それなら焦げつきやこびりつきを防ぐ加工が施されたモデルがおすすめ。<strongテフロンやフッ素樹脂などの特殊加工があるかどうかもチェックしてみましょう。
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アイリスオーヤマ 無加水鍋 片手 18cm KMKS-18
軽くて扱いやすい無水鍋。片手で扱える重量と取っ手により、女性でも楽に調理ができます。カッティングボードなどを台座にして、そのままテーブルに置いても目立つデザインです。
share with Kurihara harumi 栗原はるみ うまみ鍋 22cm
置くだけでキッチンが明るくなる色合いが特徴。蓋の置き方を調節すると、無水調理ができます。内側はフッ素樹脂加工により、焦げつきにくいです。重さが1.5kgくらいのため、キャンプに持って行ってもかさばりません。
アウトドアに向いてる無水鍋は?
ここまで家庭だけでなくアウトドアでも利用できるモデルをご紹介して来ましたが、「使うのはアウトドアがメインになりそうという」方におすすめのモデルがこちら!
アウトドアでの無水調理におすすめのアイテム
重さがある分オートキャンプ前提になりますが、アウトドアユースなら直火OKで頑丈な鋳鉄製がおすすめです。ちなみにダッチオーブンでも無水調理はできるので、家では使わないならダッチオーブンを選ぶのもアリ。兼用したいならステンレス製がおすすめですが、自宅のキッチンによっては使えない場合もあるので相性をきちんとチェックしましょう!
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南部鉄器 BSポット
蓄熱製の高さから食材の芯まで熱を通します。非常に丈夫であり、お手入れをすれば長く愛用できます。鉄製の鉄分が食材にも染み込んで摂取も可能。重量があるため、持ち運びには注意してください。
ユニフレーム UFダッチオーブン 8インチ
取り扱いしやすいダッチオーブン。蓋を閉めて無水調理もできます。キャンプやBBQの時にありがたい取手付きです。
SOTO ステンレスダッチオーブン 10インチ
こちらもアウトドアで使いやすいダッチオーブン。複数人のキャンプなどでも対応できるサイズです。シーズニング不要、サビ防止用油も不要でお手入れが簡単。保温性があるため、食べるまで時間が空いてもテーブルに置いておけます。
買う前に知っておこう!無水鍋の注意点
時短調理に多機能などメリットがあるからこそ、一方でデメリットもある無水鍋。普通の鍋と素材も違うため、正しいお手入れ方法についてもチェックしておきましょう。
デメリットは?使う上での注意点
① 鋳物素材が多いため、重い
鋳物素材が多い無水鍋は鍋自体に重量があり、通常の鍋に比べてズッシリとした重さを感じるものも多くあります。中には片手持ちが難しい重量4〜5kg程になるモデルもあるため、軽さを重視するならアルミやステンレス製がおすすめです。
② 焦げつけやすい
無水鍋は熱伝導率が高いモデルが多い反面、水分が少ないため焦げ付きには注意が必要です。焦げ付きを防ぐコツは、火を弱火や中火からスタートすること。急激な温度差も焦げ付きの原因になるので、予熱してから調理すると軽減できますよ。
予熱ができているかどうかは、鍋に水滴を垂らして玉になるかで判断を。焦げ付きをできるだけ抑えられるよう、鍋底が分厚いモデルを選ぶのもひとつです。
③ 上手く無水調理するにはコツが要る
無水調理は火力が弱すぎると時間がかかってしまい、温度が高すぎる場合は上手くいかないことも。上手に調理するには水分の出やすい食材を下の方に入れることがポイントです。
また、鍋に入れる食材が多いと加熱にムラが出てしまうため食材同士が重ならないようにするか、根菜など火の通りにくいものを下の方に入れると◎。そのほかカレーやシチューなど仕上がりの好みによっては水を足した方が良い場合もあります。
④ 定期的なお手入れが必要
長く快適に使うには、正しいお手入れを適切なタイミングですることが重要です。また、初めて使うときや長期的な保管する場合はシーズニングという作業が必要に。ここからはお手入れ方法を解説していきます。
無水鍋のお手入れ方法
余熱のあるうちに洗う
無水鍋に汚れがこびりついてしまったら、落としやすいよう余熱があるうちに洗うのがポイント。鍋が冷めないうちに、水かお湯を入れて洗剤などで洗います。
洗った後は乾いた布で水気を拭き取って乾かし、しばらく使わない場合は湿気が少なく風通しの良い場所に保管しておきましょう。
焦げつきがあるときはクレンザーなどを使う
同じく焦げつきを落とす際も、余熱があるうちに水を入れることがポイント。すぐに手入れができないときは、鍋が熱いうちに水を入れて蓋をしておくと後々楽に落とせます。頑固な焦げつきは鍋に水を入れて再加熱すると、焦げ付きが浮きやすいですよ。
それでも落ちない場合は、クレンザーを使ってナイロンたわしかスチールウールで擦ってみましょう。すべて試しても焦げつきが残る場合は金ブラシを使う方法もありますが、フッ素やテフロンなど特殊加工がされている鍋の場合ははがれてしまうのでNGです。
無水鍋のお手入れについて詳しくはこちら
無水鍋で何を作る?
無水鍋のお手入れ方法までマスターしたら、どんなメニューができるのかをさっそくチェックしてみましょう。家でもアウトドアでも気軽に挑戦できるレシピがこちら!
材料・レシピ付き!無水鍋で作るおすすめメニュー
ストウブのココットラウンド(20㎝サイズ)で無水カレー
野菜の水分が素材の旨味や甘みと一緒に溶け出して、無水でもとろみのあるカレーに。野菜の甘みでマイルドな味に仕上がるので、辛めが好きな方はスパイスを足すと良いですよ。
ルクーゼのキャッセルロール(24cmサイズ)で蒸し豚
大根はホクホクで形も崩れず、野菜のうまみと豚肉の甘みがそのまま味わえます。ボリューム感がありながらもローカロリーなので、ヘルシー志向の方におすすめですよ。
スノーピークのコロダッチでスチームロースト
強火で熱するとパサつきがちなサーモンも、無水鍋ならふっくら。塩コショウだけでも美味しいですが、アクセントを加えたければシーズニングスパイスをプラスしても◎!
▼おすすめの調味料はこちら!
スペアリブ
スペアリブと聞くと難しく思われるかもしれませんが、無水鍋を使えば簡単! 煮込む前に骨の後ろの薄皮に切り目を入れると、骨付き肉でも食べやすいですよ。
ふわふわちぎりパン
オーブンが無くても無水鍋があればパンも焼けますよ。ふんわりと焼き上げるコツは、とにかく生地がツルツルになるまで手でこねること。生地が完成すればあとは焼くだけと、アウトドアでも家でもおすすめのお手軽パンレシピです。
無水鍋で手軽に美味しい料理を楽しもう
具材を入れて加熱するだけで手軽に美味しい料理が楽しめる無水鍋は、家でもアウトドアにも重宝するアイテム。デザイン性が高いものも多く、調理後そのままテーブルに出しても様になりますよ。
多機能な無水鍋ならば、1つ持っているといろんな調理が楽しめます。ぜひお気に入りの無水鍋を見つけてみましょう!