車中泊での料理、どんな調理器具を使えばいいの?
車中泊では、車内で簡単に食事を済ませたいときも多いですよね。そんなときに、パパっと温かいものを作れたら最高です。とはいえ、車内でガスコンロなどを使うのは、一酸化炭素中毒や火災の危険性もあるので避けたいところ……。
そんなときに一つあると便利なのが、トラベルクッカーやIHクッカーです。ポータブル電源の種類も増えている今、車内で使える製品の幅もどんどん広がっています。今回はそのなかでも人気の5製品を、実際に使ってみて徹底レビューします。
トラベルクッカー&IHクッカーは、電源とセットで選びたい!
トラベルクッカーと一口にいっても、消費電力はさまざま。消費電力が大きいものは、早くお湯が湧いたり焼き物ができたりといったメリットもありますが、その分容量の大きな電源を用意する必要があります。
既に手持ちの電源がある人や、高価なバッテリーは買えないという人は、まず用意できるバッテリーの容量をチェックし、その電源で使えるものの中からクッカーを選ぶのがおすすめです。
人気のトラベルクッカー&IHクッカー5つを、車内で使って比較してみた
さっそく、人気のトラベルクッカー&IHクッカーを実際に使ってみました。ライターが実測した消費電力や沸騰までの所要時間、使用してみた感想など、トラベルクッカー選びの参考にしてみてください!
※今回の電源は我が家のキャンピングカーのサブバッテリーを使用。計測値などはライター自身による簡易的なものです。
①シガー電源で使える!タケル君(JPN)
こちらのタケル君は、なんとシガーソケットから電源を取れる炊飯器です。ポータブル電源などを用意しなくても、エンジンをかけた状態で付属のコードをシガーソケットに差し込むだけで、簡単にご飯が炊けちゃいます。
まずは、付属の計量カップ(1杯0.5合)でお米を計ります。お釜は本体から外せないので、お米を研ぐ際などは電源コード口のカバーを閉めて、濡らさないように要注意。無洗米を使うと簡単です。
蓋を閉めて本体を安定した場所に置いたら、コードをシガーソケットに差し込みます。炊飯ボタンを押したら、早速炊飯スタート! 操作は実に簡単です。
今回は上限の1.5合を炊いてみましたが、炊き上がりまでは約40分。炊く量によって所要時間は変わるようです。保温ランプが点灯したら蓋を開けずに約10分蒸らします。炊き上がりは見てのとおり完璧! 家で炊いたご飯にも劣りません。
ちなみに長時間保温には向かないようなので、食べる直前に炊くのがベスト。シガーから電源を取れるので、他のトラベルクッカーと併用するのも良さそう。別売の専用蒸し器「ムスヨ婆さん」を併用すれば、炊飯以外の調理も可能です。
直流家 アウトドア炊飯器 タケルくん
本体サイズ | W160×D150×H145mm |
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本体重量 | 592g |
入力電圧 | DC12V |
使用電流 | 8.5A |
消費電力 | 110W |
直流家 タケルくん専用 多機能蒸器 ムスヨ婆さん
サイズ | 大きさ:ドーム型蒸フタ/W116×D142×H116mm フードポット 小/W94×D94×H67mm) フードポット 大/W116×D116×H84mm ガラス鍋フタ/W135×D135×H52mm) ステンレストレイ/W116×D123×H27mm 蒸しスノコ/W110×D110×H25mm |
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②消費電力200W以下!ワールドクッカー3(カシムラ)
カシムラのワールドクッカー3は、トラベルクッカーのなかでも消費電力が低いので、電源の容量が少なめでも使えるのが利点です。電圧自動調整式で海外旅行でも使いやすいのと、クッカー内に本体や付属品がすべて収まるコンパクトさも魅力。
使用方法は、コンセントにコードを差し込み、スイッチを押すだけと簡単。消費電力が低い分、500mlの水(常温)を沸かすのに、蓋をして約30分かかりました。お腹が空いてからお湯を沸かし始めると、ちょっとイライラしてしまうかもしれません……。
クッカーのサイズは十分で、インスタントラーメンもそのまま余裕で入ります。が、ふたを開けて麵を入れるとお湯の温度が下がり、再び沸騰するまでに2分くらいかかりました。やはり火力不足は否めません。
お湯を沸かし始めてから約36分で、インスタントラーメンが何とか完成しました。蓋さえ閉めれば時間はかかるもののちゃんと沸騰・調理できます。気長にお湯を沸かしながら仕事や読書などを楽しめる人向けですね。
消費電力は、実測値183Wとかなり低め。出力200W以上のポータブル電源があれば使用できそうです。4万円以下で購入できる、Anker PowerHouse II 400(定格出力300W、容量 388.8Wh)などと組み合わせるのがおすすめです。
カシムラ マルチボルテージ調理器 ワールドクッカー3
サイズ | 鍋サイズ:W15.5xH7.5xD15.5cm 本体サイズ:W13.2xH6.8xD13.6cm コード長:1m |
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重量 | 鍋重量:0.26kg(フタ込み) 本体重量:0.7kg |
付属品 | どんぶり、電源コード、収納袋 |
消費電力 | AC110V/190W AC240V/380W 周波数:50Hz/60Hz |
Anker PowerHouse II 400
サイズ | 約 255 × 148 × 139 mm |
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重量 | 約 4.62 kg |
バッテリー容量 | 108,000mAh / 388.8Wh |
③定番!トラベルマルチクッカー(YAZAWA)
次に紹介するのは、トラベルクッカーのなかではよく知られた存在であるYAZAWAのトラベルマルチクッカー。クッカー内に本体などがすべて収納できるのはワールドクッカーと同じですが、消費電力はやや高めで、電圧調整は手動です。
※写真には写っていませんが、収納袋も付属しています。
まずは本体裏面の電圧切り替えスイッチをチェック。国内で使う場合はコインなどを使って100-110Vに合わせます。これを忘れると故障の原因になるので注意が必要です。
500mlの水を沸騰させてみます。スイッチはなく、本体に繋がっているコードをコンセントに差すと電源ランプが灯り、加熱が始まります。やや焦げ臭いのはワールドクッカーもトラベルマルチクッカーも同じ。蓋をして、沸騰するまで約19分でした。
麺を入れてから再沸騰するまでもさっきよりは早い印象。電源を入れてから約23分でインスタントラーメンが完成しました! やはり家庭のコンロと比べると時間がかかりますが、待てなくはないスピード感です。クッカーの大きさも充分。
消費電力は実測値で255Wでした。ワールドクッカーと比べると少し高くなりますが、中容量のポータブル電源でなんとか対応できそうです。LACITAのエナーボックス(定格出力400W、容量444Wh)などと一緒に使ってみてはいかがでしょうか。
ヤザワ トラベルマルチクッカー
サイズ | 鍋サイズ(約):幅155×高さ78×奥行148mm 本体サイズ(約):幅128×高さ68×奥行128mm |
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重量(約) | 1Kg |
周波数 | 50Hz/60Hz |
消費電力 | 100〜130V/250W、220〜240V/360W |
付属品 | どんぶり、ふた、スプーン&フォーク、不織布収納袋 |
コード長 | 約1m(取り外し不可) 材質:鍋/アルミ、ヒーター/ステンレス、どんぶり/PP |
鍋サイズ(約):幅155×高さ78×奥行148mm 本体サイズ(約):幅128×高さ68×奥行128mm 重量(約):1Kg 周波数:50Hz/60Hz 消費電力:100〜130V/250W、220〜240V/360W 付属品:どんぶり、ふた、スプーン&フォーク、不織布収納袋 コード長:約1m(取り外し不可) 材質:鍋/アルミ、ヒーター/ステンレス、どんぶり/PP
LACITA ポータブル電源エナーボックス
バッテリー容量 | 444Wh( 120000mAh ) |
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バッテリー種類 | 三元系リチウム電池 |
入力 | 14.5V~24V / 6.2A |
AC出力 | 100V-60Hz / 400W |
USB出力 | 5V / 2.1A(×3ポート) |
④焼き物もOK!クッキングポット&プレート (山善)
続いては、山善のクッキングポット&プレートです。まず、パッと見がおしゃれ! ポイントとしては、消費電力がやや高めで火力が強く、フライパンも付属しているので焼き物なども楽しめるということ。これは期待大です。
まずは鍋の方で500mlのお湯を沸かします。使用方法はコードをコンセントに差して、ツマミで火力を調節するだけ。保温・低温・中温・高温が選べます。沸騰までの所要時間は蓋をして高温で約12分とかなり早く、鍋の大きさも充分です。
蓋を開けても麺を入れてもすぐに沸騰し、湯気でレンズが曇ります! これだけ火力があれば、ストレスなく調理できますね。調理開始から約15分でインスタントラーメンが完成しました。心なしか、火力が強いとラーメンもおいしい気が……。
せっかくなのでフライパンのほうも使ってみました。テフロン加工が施されているので油を引かずにソーセージを焼いてみます。加熱を始めるとすぐにジュージューと音がし始め、きれいな焼き色が付きました。これなら大抵の料理はできそうです。
消費電力は、高温に設定した状態の実測値で579Wと、これまでのものよりだいぶ高いです。火力が強い分、電源も出力高めのものを用意する必要があります。EcoFlow RIVER Maxポータブル電源(定格出力600W、容量576Wh )なら、高温でも約1時間使用できる計算になります。
山善 クッキングポット&プレート acorde
サイズ | 鍋サイズ:直径18.5×高さ9cm 焼きプレートサイズ:直径18.5×高さ4cm 本体サイズ:幅15.5×奥行15×高さ7cm |
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重量 | 515g(鍋・コード含まず) |
電源 | AC100V(50/60Hz) |
消費電力 | 600W |
温度設定 | 80-250℃ |
EcoFlow ポータブル電源 RIVER Max
サイズ | 28.9 x 18.4 x 23.5 cm |
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重量 | 7.8kg |
色 | サイバーブラック |
容量 | 576Wh (28.8V) |
電池素材 | リチウムイオン |
AC充電入力電力 | 最大500W(X-Steamテクノロジー) |
AC充電入力電圧 | 100-120V AC(50Hz/60Hz) のみ |
⑤火力抜群!IHクッカー「ミニチュラ」(dretec)
最後に使ってみるのは、dretecのコンパクトなIH調理器、ミニチュラです。IH調理器は消費電力1000Wを超えるものが多いなか、こちらは800Wと省エネ。持ち運びも収納も楽にできるサイズ感です。
コードを接続し、電源スイッチを入れ、ツマミで火力を調整します。鍋はIH対応鍋のほか、ホーロー鍋や鉄鍋も底が平らなら使用可能。ただし、鍋底の直径が14㎝までしか使えません。インスタントラーメンがピッタリ入るくらいのサイズ感です。
※我が家のキャンピングカーのサブバッテリーでは出力が安定しなかったため、お湯を沸かすのに時間が掛かりました。自宅のコンセントを使って再計測したところ、500mlのお湯を沸かすのにかかった時間は約6分でした。
インスタントラーメンがあっという間に完成しました! やはり小さくてもIHクッカー、家庭のキッチンに引けを取らない火力が魅力です。
鉄鍋も使えるので、試しにミニスキレットでソーセージを焼いてみると、これまたあっという間に綺麗な焼き色が付きました。800wでは火力が強すぎて油煙がもうもう上がり、空焚き防止機能が作動しました。適切な温度調節がポイントです。
消費電力は最高火力で710W前後。大容量バッテリーを用意できるなら、ぜひ火力の強いIHクッカーを使ってみてくださいね。Jackery ポータブル電源 1000(定格出力1000w、1002Wh)などがおすすめです。
ドリテック IHクッカー ミニチュラ
サイズ | 約 W18.5×D19.5×H5.5cm |
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重量 | 約 1.3kg(付属の電源コードを含む) |
電源 | AC100V 50/60Hz |
定格消費電力 | 800W |
電源コード長 | 約 180cm |
Jackery ポータブル電源 1000
サイズ | 33.2×23.3×24.3cm |
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重量 | 約10.6㎏ |
カラー | ブラック |
容量 | 1002Wh |
定格出力 | 1000W |
瞬間最大出力 | 2000W |
トラベルクッカー&IHクッカーは、〝一車″に一台欲しい便利アイテムだった
火器が使えない所でも、電源さえあれば調理ができるトラベルクッカー&IHクッカー。実際に使ってみると非常に便利で、車中泊はもちろんのこと、キャンプ場の電源サイトで使用したり、災害時にポータブル電源と組み合わせて使ったりと、様々な場面で活躍しそうです。
その火力と消費電力は比例しているので、用意できる電源の出力や容量と、どのようなシーンで使いたいかをよく考えて、自分にぴったりのクッカーを見つけてくださいね!