傑作「タフまる」のコンパクトver.知ってますか?
大人気で高い注目を浴びているイワタニの「カセットフー タフまるJr.」(以下略タフまるJr.)。2018年に発売されたオリジナルの「カセットフータフまる」(以下略タフまる)の約60%のサイズに小型化したそうで、アウトドアへの持ち出しやすさが大きく向上しました。
パッと見た印象は完全に「タフまる」ですが、はたしてその実力は……?
手に持ったときのサイズ感はご覧のとおり。このままシェルフコンテナに放り込んでおけそうな大きさです。それではさっそく、じっくりと見ていきましょう。
「タフまる」と「タフまるJr.」を比較してみた
まずは「タフまる」と大きさを比較してみます。専用のハードケースを一緒に置いてみると、なるほど「60%程度の大きさ」という公称スペックに納得できました。カラーにサンドベージュが採用されたことで、クーラーボックス など他のギア との相性がよくなったように思います。
特に違うのが奥行きの長さ
テーブルの上に並べて、まずは前から見比べてみましょう。幅はそれほど違わないようにも見えますが、ロールテーブルの板で確認すると、1枚分の差があります。高さは、ほぼほぼ一緒ですね。
横から見ると、その差は大きく感じられます。ほとんど1/2になったような印象で、テーブル上のスペース負担が、かなり軽減されると期待できます。というかボディがCB缶よりも短いように思えますね。そのへんの構造も、のちほどじっくり見ていきます。
実際にテーブルにセッティングしてみると
筆者がソロキャンプで使っている、メッシュテーブル の上に「タフまる」を載せてみました。テーブルの天板サイズは60×45cmで、余剰スペースにクッカー類を配置しています。実際、こんなふうにギチギチに置くことはありませんが、サイズ感をお伝えするために密集させました。
それが「タフまるJr.」になるとこの通り! ほどよく余裕のあるスペースが生まれました。「タフまるJr.」は約60%に小型化されたとのことですが、テーブルで作業をする上でもその違いを実感できます。
小柄なボディをじっくり観察
風防ゴトクは取り外しOK
「タフまる」の最大の特長といえば、風に強いこと。その強さを生み出すのが、こちらの「ダブル風防ユニット」です。2重構造の風防により、燃焼のための空気は通しますが、燃焼の邪魔になる風は通しません。
風はガスストーブの泣き所ですから、タフまる愛用者が多いのも頷けますよね。ちなみにこちらのユニットは、分解して洗うことが可能です。
握りやすいつまみ
握りやすく回しやすいつまみは、「タフまる」と共通のようです。ゆるく十字形になっており、4つの凸部の1つだけが、山型になっています(写真では真上を向いている凸部)。握った感触で基準点がわかるように配慮されているというわけです。
またボディを支える、アルミダイキャスト製の脚も「タフまる」と共通。これが踏ん張っているように見えて、可愛らしいんですよね。
ガスのセットはマグネット式
CB缶の装填はマグネット式。ねじ込んだり、レバーを下ろしたりする必要はありません。CB缶の首根っこにある切れ目を真上に向けて、接合部に近づけていけば勝手に固定されます。
しっかりねじ込むようなスタイルに比べて、マグネット式には不安が残るという意見も聞きますが、心配は無用です。誤った取り付け方を力まかせに行ってしまうリスクに比べたら、機械におまかせなマグネット式の方が、よほど安心でしょう。
CB缶がはみ出します
CB缶を取り付けると、このように思いっきりはみ出してしまいます。しかしこの余ったCB缶部分は、テーブルの天板からはみ出ても問題ないので、個人的には気になりませんでした。
どうしても気になる場合は、ミニサイズのカセットガス「イワタニカセットガスジュニア」を使えばスマートでしょう。
岩谷産業には「カセットフー プチスリムⅡ」など、ジュニアタイプのラインナップもあり、コンパクトなカセットこんろ開発において一日の長があるんです。
イワタニ カセットガスジュニア(2本セット)
火力は最大2,000kcal/h
実際に火を点けてみましょう。最大火力は2,000kcal/hと、ガスコンロとして何ら不足はありません。ちなみに「タフまる」は2,800kcal/hなので、火力は約71%ということに。
60%のサイズで70%超えの火力……筆者だけかもしれませんが、なんだかお得な気がしました。
ぎりぎり消えない程度の弱火にしてみました。じっくり煮込む系の調理も無難にこなしてくれそうです。ちなみに多孔式というバーナーの形状も、風に強い一因となっています。
実際にキャンプで使ってみた
ここからは、フィールドで実際使ってみて気づいたことをご紹介します。
スキレット、クッカーともに使い勝手は上々
スキレットで軽くウインナーを焼いてみました。10kgというゴトクの耐荷重が頼もしく、また安定感もすばらしいと感じました。アウトドアにおいて、家庭用のガスコンロと同じ感覚で調理できてしまうのは、イワタニ製アウトドアコンロならではの魅力です。
クッカーの使用もまったく問題なし。シングルバーナーにクッカーを載せるとき、「倒れないように……」と注意を払うのはキャンパーの習性ですが、「タフまるJr.」ならそういった心労とは無縁です。
あとは火力調整つまみが大きく扱いやすいので、火力の調整が簡単なのも大きな魅力だと思いました。
使用可能な鍋サイズ、上限と下限
本体がコンパクトなので、使用できる鍋のサイズには上限があります。公式サイトには「上面の内径が20cm以下」と記載されており、たとえばダッチオーブンなら8インチが上限のサイズとなります。
そしてお伝えしたいのが、使用可能な鍋のサイズには下限もあるということ。これまた公式サイトによると「鍋底が11cm以上」とのことで、筆者のギアではキャプテンスタッグのラーメンクッカー(570ml/直径105mm)が、限界の限界でした。
数ミリほど公式サイトの注意書きを突破してしまいましたが、本当にギリギリだったと人柱報告をする次第です。
家でも「タフまるJr.」って普通に使える……?
「タフまる 」や「マーベラスⅡ 」が人気を博している理由として、家でも使えるというお得感が挙げられると思います。しかし「タフまるJr.」の場合は注意が必要。家族でつつくような土鍋は、使用可能な鍋のサイズを超えてしまいます。
こちらは焼き肉好きに絶賛されている「焼肉プレート (Y3)」ですが、「タフまるJr.」で使うのはNG。ひと回り小さな「焼肉プレート (Y2)」も、使用できないと正式にアナウンスされています。
こういった1~2人用の鍋なら問題ないので、家で使うときも鍋のサイズに気をつけたいですね。
CB缶は夏場の車中に放置することも許されない、熱に注意が必要な燃料。オーバーサイズの鍋やプレートは、CB缶を加熱してしまうので大変に危険です。どうか皆さん、くれぐれもご注意を!
さすが傑作のJr版
さてキャンプ中に時間を戻しましょう。写真は、筆者が「タフまるJr.」の使い勝手に気をよくし、夜更けまで酒のアテをつくり続けている様子です。ゴトクの安定感とクッカーの置きやすさは、キャンプ場の暗い環境でこそ重宝しました。
つまみの持ちやすさ、回しやすさも特筆したいところです。コンパクト収納できるシングルバーナー は、火力調整が少々面倒だったりするものですが、目の前に大きめのつまみがあると気が楽でした。また消火~強火の間で、90度しか回転させなくていいのも助かりましたね。
というわけで「タフまるJr.」の実力と使い勝手は上々でした。小型化によって犠牲になっているのは、使える鍋の大きさ制限ぐらいでしょうか。しかしコンパクト性を求めておきながら、「大きな鍋を使いたい」というのも矛盾していますので、デメリットとして挙げることはできません。
話題沸騰の「タフまるJr.」、人気もまた沸騰するのではないかと思います。
イワタニ カセットフー タフまるJr.
動画で火力の比較検証も!
CAMP HACK YouTubeチャンネルでは、タフまると実際の火力の比較検証も行っています。こちらもあわせてチェックを!