プロが教えるアウトドアの必携ギア
数あるアウトドアアイテムの中から納得の行く逸品を手に入れるには、詳しい人に聞くのが一番! というわけで始まったこの企画。毎回、キャンプの知識と経験が豊富なアウトドアのプロたちに、キャンプの“必携ギア”を聞いていきます。
第四回目は、ネイチャークラフト作家であり、焚火・野外料理人としても活動する長野修平さんに直撃!
アウトドアが日常。田舎暮らしを実践する長野修平さん
北海道苫小牧の山菜料理店に生まれ、幼い頃から山菜採りを手伝い、調理場では刃物を握って遊んでいたという長野修平さん。その原体験を辿るように、現在では自然と刃物と共にあるアウトドアライフを実践されています。
自然素材を材料にしたクラフトワークショップは好評を博し、毎週末日本各地へ出向いてプログラム講師を担っているとか。そんな長野さんが日頃から愛用しているギアを紹介していきましょう。
長野修平さんの必携ギア1:モーラナイフのカンスボル
最初にご紹介いただいたのが、長野さんがアンバサダーを務めているモーラナイフのカンスボル(購入時価格:5000円前後)。このオレンジカラーは2019年モデルの新色で、数あるモーラナイフのラインナップの中でも「これが一番使いやすい」とのこと。
料理・クラフト・ブッシュワークのすべてがこれ一本でいけます。カンスボルの刃は手前が厚く先端が薄くなっているので、作業に合わせて刃先を変えれば、細かい作業から力仕事までこなしてくれるんです。アウトドアナイフの最初の一本としてもおすすめですよ。
刃はスウェーデン製ステンレススチールを使用。強度と耐久性を高める熱処理が施されていて、刃先はご覧の通り薄く加工されています。しっかりしたグリップのハンドルと軽くて優れた操作性のため、初心者にも扱いやすいと人気の一本です。
刃の背の部分でファイヤースターターを擦って着火することもできるので、ブッシュクラフトを楽しむ人にもうってつけですね。
モーラナイフ カンスボル スタンダード バーントオレンジ
長野修平さんの必携ギア2:フェールラーベンのG-1000素材のパンツ
化繊が嫌いで、洋服はブッシュに入っても破けないという条件を大前提に選んでいます。
という長野さんが愛用しているのが、フェールラーベンのG-1000素材を使ったパンツ(購入時価格:2万5000円前後)。
G-1000とはポリエステル65%と高品質コットン35%を高密度に織り上げた耐久性の高い素材で、この生地に専用のワックスを塗り込むことで撥水・保温性が上がるというものです。
以前はブラウンジーンズを履き回していたのですが、このパンツと出会ってからはこれしか履いていません。マイナス環境下の北海道キャンプでも、割と平気でした。
動きやすくて温かいのがメリットですね。膝をついた作業を繰り返しても、穴がなかなか空かない耐久性の高さはさすがです。
目的別のポケットやループが豊富に備わっていて、ナイフやアックス(斧)を収納するにも重宝すると長野さん。日頃から山仕事でブッシュに入ることが多い長野さんのライフスタイルには、ぴったりの一本のようです。
フェールラーベン Vidda Pro Ventilated Trousers
長野修平さんの必携ギア3:ダルースパックのログキャリア
1882年に創業、世界でも最古と言われているバッグブランド・ダルースパック。今なおアメリカの工場でハンドメイド生産を続けている同ブランドのログキャリア(購入時価格:2万円前後)も、長野さんのキャンプには欠かせないアイテムのひとつ。
キャンプの時、薪は買わずに必ず拾います。以前はもう少し小さなものを使っていたのですが、ダルースパックのログキャリアは量も入るし、重い薪もOKなので重宝しています。
実際に薪を集めて運んでいる状態がこちら。オートキャンプが専門の筆者だと絶対に拾わないような大ぶりの枝をどんどん詰め込んでいく長野さんですが、「これが普通」とのこと。
家族でキャンプに行くときは娘さんたちがこのキャリアを持って山に入り、薪を大量に運んできてくれるそうです。
厚手のキャンバス素材なので、とても頑丈。ログキャリアとしてはやや値が張りますが、やっぱりいいものはいいし、長持ちします。
ダルースパック ログキャリア
長野修平さんの必携ギア4:エスノテックのバックパック
ワークショップやプログラムの講師として、日本各地を飛び回っている長野さん。アックスやナイフなどかさばる荷物は大きなトローリーバッグに入れ、パソコンや身の回りのものを運ぶために愛用しているのがエスノテックのラージャパック46だそうです(購入時価格:2万7000円)。
僕がやっているクラフトは少数民族から影響を受けている部分が多い。このバッグのテキスタイルもインドの少数民族が手仕事で作っているというストーリーに共感して、愛用しています。
見た目のクラシカルな雰囲気とは裏腹に、素材には840デニールの耐水性バリスティックナイロンを使用。人間工学に基づいたエアメッシュバックパネルや3ポイントのショルダーストラップなど、機能性はとことん現代的。
豊富なポケットやパソコン専用のスリーブをはじめ、使い勝手も抜群だそう。
最初は派手なデザインが少し恥ずかしかったんですが、いまは慣れました(笑)。遠目からでも自分のバッグがすぐに分かりますし、街からフィールドまでいろんなシーンで活躍しています。
エスノテック ラージャパック 46L
長野修平さんの必携ギア5:ユニフレームのキャンプケトル
ススで汚れて年季が漂うこちらは、ユニフレームのキャンプケトル(購入時価格:8000円前後)。中央のみが限定発売されたジャンボで、左右の2つがノーマルサイズ。ケトルを複数所有する長野さんですが、ステンレス製はユニフレームのみだそう。
ずっとホーローのケトルを愛用していたのですが、焚き火に直に置いてしまうと穴が空いてしまうんです。それでステンレスのケトルを探していたのですが、当時はどこのメーカーも出していなくて。
僕の記憶ではユニフレームが一番最初。発売した時にまず一台買ってみて、容量が小さかったのでもう一台を買い足しました。
その後、長野さんの要望もあってジャンボサイズ(2.5L)が期間限定で発売。それを買い足したことで、計3台になったとのこと。
大量のお湯を沸かす時は別の大型ケトルで沸かして、このキャンプケトルはコーヒーを飲む時に使っています。最初の購入は10年前ですが、いまでも現役。まったく壊れないから頼もしいですよ。
ユニフレーム「キャンプケトル」について詳細はこちら
ギアはスペックよりも、使い勝手が大切
流行に左右されることなく、自分のスタイルに合ったものを長く使い続ける長野さん。ご本人も「スペックはあまり気にしません。とにかく使ってみて、使い心地が良いものが好き」というだけあって、ご紹介いただいたギアはどれも彼のキャンプスタイルにフィットしたものばかり。
ハードな使用にも耐えられる質実剛健なモノ選びは、ぜひとも参考にしたいものです。