尾上製作所のお手軽BBQコンロ
尾上製作所といえば、キャンプ界ではコンロをはじめとしたBBQ関連のアイテムで知られています。近ごろはテーブルやラックといった、スタイリッシュなアイアンギアも手がけていますね。
同社の豊富なラインナップにおいて、手軽さと低価格でひときわ存在感があるのが今回ご紹介する「バーベキューコンロ Light」シリーズ。最低限の機能をスマートにまとめた、潔いBBQコンロです。
パーツも少なく、これは扱いやすそう!
価格は1,700円+税。炎を扱い、繰り返し使える製品としては驚きの安さです。サイズはSとMの2種類で、写真はSサイズ。のちほどMサイズもちらっと紹介します。
網、脚×2、炭受け、炭受けを吊るすフック×2……合計6つのパーツで構成されます。折りたたむ部分などは見当たらず、全パーツがいたってシンプル。組み立てが簡単であることが瞬時に予想されました。
収納サイズは37.5×29×6cm、重量は約1.3kg。ダイソーで購入した「べんりベルト」で網を固定し、持ち運びやすくしてみました。
Amazonのレビューに、B4サイズぐらいのジッパー付き袋に収納できたとの情報がありますが、B4は25.7×36.4cmと当製品よりも小さく、「B4」と記載されている袋やケースには入らないのでご注意を。収納袋を用意する場合は製品サイズを確認の上、6cmの厚さも考慮する必要があります。
組み立ては簡単!
脚を取り付ける
脚の取り付け方は、網のフレームに引っかけるだけ。端から3番目の網目をくぐらせ、フレームにフックをかけます。
このように引っかかり、網が脚付きの状態となります。荷重がかかることで固定される構造なので、網をつかんで持ち上げると脚は外れてしまいがちでした。
炭受けを吊るす
フックを上から網目に通します。握り込んで幅を調整してやることで、網目を通過できるという仕組みです。
炭受けには丸い穴と長方形の穴が。先に丸い方の穴に先端を通しておきます。
握り込んで幅を調整し、もう一方の先端を長方形の穴に。握りを弱めるとフックが元の形に戻り、炭受けがしっかりと引っかかります。脚もそうでしたが、とにかく「引っかかることで成立しているギア」なんです。
あっという間に完成!
5分もかからずに完成しました。ちなみにパッケージに記載されている組み立て方法は、炭受けを先に吊るしてから脚を取り付けるんですが、撮影の都合上、逆に行いました。それでもまったく不都合は感じませんでしたので、組み立て順がわりとどうでもいいレベルの非常にシンプルな構造だと言えます。
サイズは2種類の展開
「バーベキューコンロ Light」シリーズには2種類のサイズが。手前がいま組み立てたSサイズ、奥がMサイズです。
対応人数はSサイズが4~5人、Mサイズが6~7人とされていますが、そのへんはBBQメンバーの食べるスピードや量、何をメインの食材とするかで判断すべきでしょうね。
細部をチェック!
網が主役のアイテム
当製品は網が主役。脚は網に直接取り付けますし、炭受けは網に吊るすという構造です。なるほど、百均で買えるような網ではなく、しっかりとした剛性の感じられる網でした。
網が汚れ過ぎたり老朽化した場合は、網だけを新調すればOK。尾上製作所の「バーベキューネット2937」が推奨されます。
尾上製作所 コンロ替え網 2937
脚の下部は中央が盛り上がっていて、地面の凸凹に対応。当製品を持ち上げるときは網ではなく、この盛り上がっている中央部分をつかみましょう。もちろん炭火を使用しているときは、持ち上げ厳禁です。
炭受けはロストル不要
炭受けにロストルはありません。代わりに凸凹が波打っており、この形状により炭が浮き空気の流れが確保されるようです。
ロストルのあるBBQコンロよりも後片付けが簡単ですし、厚手のアルミホイルを敷いておいて片付けをラクにする、というテクニックも使えますね。
空気を採り入れる横穴。内部の凹凸と呼応するように、等間隔で空けられています。
さて炭火の燃えっぷりはどのようなものでしょうか。実際にBBQをして使ってみました。
実際にBBQしてみた
成形炭を使用して食材を焼いてみました。エビが特に美味しかったですね……じゃなくて使用感はというと、あっけないほど快適でした。炭受けにロストルがなくとも、凸凹が効いていて炭火の勢いには申し分ありません。
構造上、多少のグラつきはどうしても発生しますが「この製品はそういうもの」と感じられ、気にはなりませんでした。
気になった点を強いて言えば、網を外せるタイプのコンロと違って炭の追加がちょっと窮屈かな、といったところ。あとは製品自体が軽いので、網に引っ付いた肉をはがすときに注意が必要……ぐらいでしょうか。
BBQ以外の使い方
焚き火の架台として
直火で焚き火をした場合の架台としても活躍しそうです。しかし強度的にダッチオーブンなど、重いものを載せるのはやめた方が無難。小ぶりなスキレットやクッカーを2~3個なら問題ないと思われます。
小型の焚き火台にかぶせるという手も。写真の焚き火台は「ピコグリル398」です。ピコグリル自体の調理能力が高いので、写真の状況は考えにくいものがありますが、もし焚き火台用の架台を探しているなら当製品は一考の価値ありです。
筆者はユニフレーム「ファイアスタンド2」用の架台を常に考案しており、当製品の下に収まれば最高だったんですが、いずれも高さが30cmなんですよね。残念!
テーブルとしてもイケる!?
炭受けのかわりにバスケットを吊るし、板を用意しました。テーブルとしてもイケるのではないかと。
仕上がりは……うーん、いまいちだったかも。ステンレス天板を用意して、バスケットもステンレスの食器ラックのようなものにすればサマになったと思いますが、1,700円のアイテムを活用するのにお金を注ぎ込むのは、本末転倒という気がします。
あとはBBQコンロとしては気にならなかったグラつきが、ドリンク類を載せるテーブルだと途端に気になるように……。というわけでテーブル化は断念!
シングルバーナーの調理台に
シングルバーナーの高さを調整し、調理台として使用してみることに。これはうまく行きそうな予感がします……!
シングルバーナーはSOTOの「ST-310」。ノーマルのゴトクに強度的な問題はないんですが、ラージメスティンなど大きなクッカーを使う場合、バランスを崩しはしないかと不安がありました。しかしクッカーとの間に当製品を挟むことで、安心感が違います。
クッカーやメスティンをスムーズに移動させ、次々と加熱! 温めたものの一時的な置き場所、これから温めるものの待機場所としてフラットな調理台は非常に優秀でした。
網の温度に気をつければ、鍋やしゃぶしゃぶなど加熱しながら食べる料理のテーブルとしても活躍しそう。この使い方はいいかも!
無理は禁物のアイテム
BBQコンロとしての実力は申し分なし。その上で焚き火の架台としても、バーナーの調理台としても活躍する「バーベキューコンロ Light」ですが、無理をさせるのは禁物。耐荷重性能は発表されていませんが、2Lのペットボトルでもそこそこ苦しそうな状態になります。
そもそも当製品は網にオプション品が付いたような構造であり、だからこそリーズナブルな価格を実現できたアイテム。BBQコンロとして純粋にコスパが高いのですから、過度に期待することなく、創意と工夫で付き合っていきたいものです。
ちなみにしっかりとした強度の架台や調理台が欲しいなら、尾上製作所には「マルチスタンド」というラインナップが用意されているのでチェックを!
尾上製作所 マルチスタンドS