※幕内で火器を使用しているシーンがありますが、ほとんどのメーカーが幕内での火器の使用を禁止しています。使用する際は自己責任となりますので、もし使用する際は換気を十分行い、一酸化炭素報知器を必ず使用しましょう。
キャンパーには定番のアルパカ
冬キャンプの暖房は、キャンパーにとって悩みのタネ。理想は薪ストーブですが、幕内への設置に工夫や手間が必要ですし、煙突も含めるとかなりかさばり、キャンプ場に持って行くのも一苦労です。
その点、冬キャンパーが口を揃えて「いちばん手軽」だと言うのが石油ストーブ。電源も必要なく、灯油を入れて好みの場所に設置し、点火するだけでパワー充分の暖かさを得ることができるんです。
なかでも定番となっている石油ストーブが「アルパカ」。リーズナブルさが支持され、多くのキャンパーが愛用しています。
Amazonで旧アルパカを発見!?
アルパカはもともとリーズナブルではありますが、個人輸入しても17,000円弱、プレミア価格で販売されている場合も多く、Amazonでは4万円に迫る価格を見かけることも……。
しかしAmazonを巡回していたところ、妙に安いアルパカを発見しました。旧モデル(TS-231)にそっくりで、価格は送料無料で8,000円台! そう、噂に聞く「偽パカ」です。
イチかバチか購入してみた
もしも問題なく使えるのなら、お得な商品には違いありません。そこで実際に購入、使用してみることに。人柱になって読者の皆さんにレポートをお届けします。
取り扱い説明書がついていました。「ALP-229」という品番が、アルパカへのリスペクトを隠そうともしていません。ひょっとしたらアルパカの生産終了製品に、TS-229という品番のモデルがあったのかも?
取説はすべて英語表記です。日本語はもちろん中国語や韓国語も見当たりません。しかし使い方は昔ながらの石油ストーブと一緒ですし、取説が必要となるのは芯を交換するときぐらい。さしあたって使用に問題はなさそう。
偽パカを実際に使ってみた
灯油は4.5L入ります
灯油を10L持っていきました。使い切ることはないと思いますが、余裕をもって。こちらの偽パカには容量4.5Lと6.0Lの2タイプがあり、購入したのは4.5Lの方です。
メーターがついていて、給油するほどに満タン側に針が寄っていきます。たしかに4L強の灯油を入れることができました。先回りして言うと、一泊のキャンプで1/3ほど残量があったので、容量は充分かと。
ところでお気づきの読者もいると思いますが、外観にはちょいちょい小キズが見受けられます。しかしいちいち気にしていたら激安ギアは使えません。「ハードにガンガン使ってくれ」というメーカーからのメッセージと受け取りました。
フルスクリーンのタープで使用
最高気温は10℃弱、朝方の最低気温は氷点下が予想される環境にサイトを設営しました。冬キャンプの定番、フルスクリーンのタープ内で偽パカを使ってみることにします。
このようなタープ内となっています。幕内で暖房器具を使用する場合は、念には念を入れて一酸化炭素中毒を予防しましょう。このときはアラーム付きの一酸化炭素警報機を用意し、こまめに換気をしました。
昔ながらの点火&火力調節
点火するときはまず、タンク前部の黒いハンドルを回して芯を上げます。見えづらいですが一応「DOWN←→UP」と刻印されていて、ハンドルを時計回りさせれば芯が上がり、逆に回せば芯が下がります。
点火後は芯の上げ下げにより、火力を調節できます(上げるほど強火になる)。消火するときは「DOWN」方向に最後まで回しきればOK。
着火方法は、このように取っ手を持ち上げて燃焼筒を浮かせ、マッチなどで芯に火をつけるだけ。いたってシンプルな使い方ですね。
点火すると、徐々に金網が赤く染まっていきます。金網全体が赤くなり、かつ金網の上に炎が立ち昇らないよう、火力を調節しました。
ちなみに石油ストーブの火力調節は、「燃焼状態をちょうどよくすること」を目的としています。寒いから強火にする、暑いから弱火にする……というのは間違った使い方であり、一酸化炭素中毒の危険が高まるので要注意。
数千円で冬キャンプが快適に!
お湯も沸かせる!
アルパカのメーカー公式サイトによると、TS-231の火力は2,500Kcal/h。これは偽パカなのであくまで参考値となりますが、いわゆる「ストーブを囲む」距離に座っていれば、タープのフロントパネルを開け放していても足元から膝がポカポカ。
やかんを上に載せればお湯まで沸かせます。お湯がすぐにボコボコ沸騰するような、揚げ物もイケるような熱源ではありませんが、お茶やコーヒーを淹れるには充分です。
温め系の調理にも
ワンカップをお燗しつつ、スルメを炙って愉しみました。夏キャンプのビールもいいものですが、冬キャンプでいただく熱燗はまた格別! 一口飲んだらクッカーのお湯に戻し、スルメをかじってもう一口……と、ホカホカの燗酒を長らく堪能できました。
おでんをじっくりと煮込むのにも、ほどよい火力でした(気温にも左右されると思いますが)。話は完全に脱線しますが、半分ぐらい飲んだワンカップにおでんのツユを注ぐと最高です。
暖房性能は充分!
冬の夜が更けていきます。角度的に写っていませんが、周囲にはそこそこ幕が張られていました。皆さん、どんな方法で暖を取っているのか……?
ここで気温を測ってみましょう。時刻は21時、結果は……3℃弱でした。まだ21時なので、寒さが厳しくなるのはこれからです。
一方、偽パカが活躍するタープ内はポカポカ! フロントパネルを下ろすと暑いぐらいで、もっともっと寒くなってもらって構いません。常にお湯は沸いているし、快適そのものの冬キャンプです。
もちろん一酸化炭素報知器を稼働させるだけでなく、適度に換気も行ってますよ!
フルスクリーン状態にしたタープ内の温度は22℃! これは2018年6月の東京の平均気温と同じぐらいの温度です。半袖で過ごせます!
偽パカの価格は8,000円ちょっとでした。ほんの数千円で冬キャンプが快適になるとは、なんというコスパでしょうか!
やっぱりいくつかある…気になった点
たった一泊ではありますが、偽パカを使ってみて気になったところを挙げてみます。
最初に断っておくと「もう二度と使いたくない」ということはまったくありません。今後も冬キャンプの力強い仲間として活躍してもらおうとは思っていますが、購入を検討している人の参考になればと。
やっぱりススが多い……
金網に付着している黒い物体は、「スス」です。一度使ったら、取り外してきれいにメンテする必要がありそうですね。灯油を使う以上は仕方のないことですし、洗えば済むことですが、気になる人にとっては大敵となりそうです。
やかんにもこの通りススが……。現ラインの正規アルパカ(TS-77A)も使用したことがありますが、ここまでやかんが汚れることはありませんでした。
火が安定してもススが出てしまうので、たとえばお餅やパンをそのまま焼くことはちょっと難しいかもしれませんね。
安全装置はありません
アルパカの旧モデルTS-231と同じく安全装置を搭載していないので、倒れても灯油は燃え続けてしまいます。何かの拍子で倒れてしまい、炎がスクリーンタープに燃え移ったら、想像したくもない大惨事になることでしょう。
くれぐれも気をつけて使用したいところですが、どうしても不安が残るのなら、安全装置の付いた最新のアルパカTS-77Aを無難に購入することをオススメします。
個体差がある
Amazonレビューを覗いてみると、やはり「一部のネジがバカになっていた」、「擦り傷や、ぶつけて凹んだ傷が付いていた」などの声が多数。こういった品質が気になる方は避けた方がよさそうです。灯油漏れや、火が付かないなどの声は見当たらないので、シンプルなストーブとしては問題ないようですね。
【結論】偽パカ、アリかも
最後にサイズ感を確認してください。パワフルながら非常にコンパクトで、荷物としてそれほど負担になりません。ジャグを持って行かないようにするなど、何かを犠牲にして暖かさを優先すれば、夏キャンプと同じぐらいの荷物で快適な冬キャンプが可能になります。
何よりも8,000円台で「ほぼアルパカ」を手にできるのだから、コストパフォーマンスは揺るぎなく優秀。偽パカ、アリではないでしょうか。
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