アルミ、ステンレス、チタン、鉄。長所と短所まとめ
金属製キャンプギアの主要な素材といえばアルミ、ステンレス、チタン、鉄。
ではこのキャンパーに身近な4つの金属の違い、みなさんは把握しています?
なぜあえて4種の金属が使い分けられているのか? それぞれどのような特徴があるのか?
これ実は、シーンにマッチした一歩踏み込んだ道具選びをするためには知っておきたいポイントなんです。
一度覚えてしまえばキャンプライフに役立つこと間違いなし! まずはそれぞれの金属の特徴をチェックしましょう。
アルミの長所・短所
アルミは軽くて、穴を開けたりもしやすく、とても扱いやすい金属です。
一方で強度はあまり高くないというマイナス部分もあります。
【長所】
・ムラなく熱が伝わる
・軽い、加工しやすい
・熱伝導がとてもいい
【短所】
・剛性が弱い、傷がつきやすい
・マグなどでは飲み口が熱くなる
・ある程度の厚さが必要
ステンレスの長所・短所
ステンレスはピッカピカの見た目どおり、とても錆びにくいです。
しかし重量があり、硬いぶん加工しにくいという側面も。
【長所】
・硬くてタフ!
・錆びない
・冷めにくい
【短所】
・焦げつきやすい
・重い
・加工しにくい
チタンの長所・短所
チタンには“ワンランク上の金属”というイメージがありますね。
確かに欠点の少ない素材ですが、割高になる傾向があります。
【長所】
・とても軽い
・口をつけても熱くならない
・薄く加工できる
【短所】
・値段が高い
・熱伝導が悪い
鉄の長所・短所
鉄はクラシックな金属ですね。いちばんメジャーな素材でしょう。
重厚で丈夫ですが、重いので持ち運びにはあまり向かないですね。
【長所】
・強度を出せる
・蓄熱性が高い
・価格が安い!
【短所】
・重い
・錆びやすい
アルミ、これは知っとこう!
キャンプギアとしても馴染み深い素材のアルミ。メスティンからシェラカップと幅広く使われているのはやはりその軽さが強み。
とはいえベコベコに凹むのも周知の事実ですよね。アルミはどんな特徴があってどんなシーンにマッチするのでしょう?
アルミの長所①「ムラなく熱が伝わる」
アルミの鍋というとキッチンではややニッチですが、例えばイタリアンではメジャーな選択。イタリアのパスタ屋ではアルミ鍋が主流です。
その理由は熱がまんべんなくいきわたりやすいため。
“焼く”ではなく“炒める”や“炊く”に適した素材なのでシーンにさえマッチしていれば使い勝手のいい道具になります。
ムラコ 飯盒 4号炊き
アルミの長所②「軽い、加工しやすい」
アルミの大きな魅力が軽さと加工のしやすさ。それゆえDIYでも人気の素材です。切るのも削るのもカンタン。
アルミのキャンプギアでサイズに満足がいかなければ木と大差ない感覚でカットできるので挑戦してみては?
キャプテンスタッグ アルミロールテーブル
アルミの長所③「熱伝導がとてもいい」
https://www.instagram.com/p/BkM9NcHluv5/アルミの大きな特徴の一つが「熱伝導率の高さ」です。
火にかける道具の場合、他の金属素材よりも熱が伝わりやすいのです。
その特徴を利用した調理法なども把握しておくとキャンプ飯がはかどりますよ。
トランギア メスティン
アルミの短所
アルミの大きな特徴である柔らかさはシーンによってはマイナスに。
食器の場合、メスティンで経験者も多いと思いますがとにかく凹みやすい。
また傷もつきやすく、マグでは飲み口が非常に熱くなるというデメリットも。
ステンレス、これは知っとこう!
ステンレスといえば魔法瓶や鍋、安定した金属のイメージがありますよね。
キャンプ道具でも以前よりステンレス製品が増えているようです。
ステンレスはどんな特徴があって、どんなシーンにマッチするのでしょう?
ステンレスの長所①「硬い、タフ」
ステンレスの魅力はなんといってもそのタフさ。
ステンレスの構成は50%以上の鉄とクロムからなります。
鉄の硬さと強さを受け継ぎならが、クロムを混ぜることによって耐食性も兼ね備えているのがステンの強みです。
テントファクトリー メタルクーラー ステンレスボックス
ステンレスの長所②「錆びない」
ステンレスの大きな強みの一つは”錆びない”ところ。
厳密に言うなら「錆びない」ではなく「錆にくい」というのが正しいですが、やはり鉄などに比べれば断然錆びません。
ステンは鉄にクロムを添加し、表面に酸化皮膜をつくることで周辺環境に対して反応しにくく作られています。
プリムス ステンレスプレート
ステンレスの長所③「冷めにくい」
熱伝導率が低いのは、何も悪いことばかりじゃありません。その低さを逆に利用すれば有能になります。
温まりにくいという短所は、つまり一度温まってしまえば、今度は冷めにくいという長所に変わります。
ケトルで沸かしたお湯が持続するのでコーヒーやスープに重宝しそうですね。
ユニフレーム キャンプケトル
ステンレスの短所
火にかける場合、火が当たる部分に局所的に熱が伝わってしまうので、どうしても焦げ付きやすくなります。
また、炒めものならいいですが煮炊きにはイマイチ。
比較的重く、加工しにくいので凝った造形が難しいという側面も。
チタン、これは知っとこう!
チタンといえば山岳のハイエンドアイテムによく使用されています。
UL系のギアを筆頭に、最近では焚火周辺のチタンギアも続々リリースされています。
チタンはどんな特徴があってどんなシーンにマッチするのでしょう?
チタンの長所①「軽い」
チタンの強みはなんと言ってもその軽さ。
金属の中ではとにかく軽量な素材なので登山やウルトラライト系キャンパーにとっては欠かせない素材です。
また軽いだけではなく強度もしっかりあるという点からもアウトドアではニーズの高い金属です。
バーゴ チタニウム ヘキサゴンウッドストーブ
チタンの長所②「口をつけても熱くならない」
チタンはとても熱伝導率の低い金属です。
マグやシェラカップのように直接口に触れるギアの場合、熱伝導率が低いため、容器が熱を加えられていても口部分は熱くなりにくいという利点があります。
熱伝導率は鉄やステンレスの4分の1程度。
ベルモント チタンダブルマグ
チタンの長所③「薄く作れる」
強度があるため部材が薄いギアを作れます。
そのため熱伝導率は低いものの、チタン鍋などでは火にかければ温まりやすくお湯をはやく沸かすことが可能です。
薄いことでより軽量にもなります。
スノーピーク チタントレック
チタンの短所
軽量かつ丈夫という一見最強に思えるチタンですが、やはりウィークポイントもあります。
まずはコストの高さ。素材そのものの価格が高く、さらに加工しづらいためその結果、値が張ります。
そのため素材使用量の多いサイズの大きなギアには向きません。
また熱伝導が低いため、ステンレス同様火の当たる部分だけが焦げやすいというデメリットも。
鉄、これは知っとこう!
鉄といえば最近ではおしゃれキャンプで人気のアイアン系アイテムがよく知られています。
かつてはアウトドアや登山ではあまりお目にかからなかった金属ですが、鉄はどんな特徴があってどんなシーンにマッチするのでしょう?
鉄の長所①「強度を出せる」
鉄の魅力はなんといっても強度。
そのままでも強い上に、鉄を叩いて中の空気を抜くことで分子配列を整えた「鍛造(たんぞう)された鉄」はさらに高耐久。
ソリステはその代表的なアイテムです。
また炭素量を増やせば硬くなり、減らすことで柔らかくすることもできます。
炭素量が2.14%を超えるものを「鋳鉄」(ちゅうてつ)といい、非常に硬くなります。
スノーピーク ソリッドステーク
鉄の長所②「蓄熱性が高い」
鉄のキャンプギアと言えば代表的なのがダッチオーブンやスキレット。
どちらも鉄の蓄熱性の高さ、熱伝導率の良さを利用した鉄ならではの道具です。
食材をじっくり内側からじわじわムラなく焼き上げることができるのはやっぱり鉄の強み!
野外での豪快肉料理なら鉄は外せません。
コールマン ダッチオーブン 10インチ
鉄の長所③「安い」
“ローコスト”という点も鉄という素材の大きな強みの一つ。まずは世界中に大量に存在する鉄は材料として安価です。
そして強度がでるものの粘りがあって曲がるため、加工がしやすいという点から総合コストが低く抑えられる素材です。
キャプテンスタッグ スキレット
鉄の短所
鉄の2大デメリットは重いことと錆びること。
どちらも野外で使用するキャンプギアと考えると無視できないウィークポイントです。
この点から登山や軽量重視のアウトドアギアとしてはまず素材として除外せざるを得ないのが鉄。
必然的にオートキャンプ&定期メンテが鉄ギアを使用する際の必須条件といえます。
金属を知ればレベルアップ!
キャンパーにとって身近な金属の性質。これを抑えておけば一歩踏み込んだギア選びができるようになります。
さまざまな道具に触れることの多いキャンプ。
しっかりギアの特性を知れば、よりいっそうアウトドアライフの幅が広がりますよ。
The selection of tool is improved if I keep metal under control!
金属を把握すれば道具選びもレベルアップ!