もっと知りたい!水没を避けるためのQ&A
ここからはいよいよ、Xのポストに寄せられたアドバイスを渡辺さんに検証してもらいます!
【Q1.】 草が生い茂っていれば安心?
【A.】 NO!指標植物を確認すべし
渡辺さん:これはさっきの指標植物の話で、いくら草が生い茂っていても、その草が水没する場所を好む種類の植物だとNGですね。
まさにキャンプたけしさんの投稿画像でも、イネ科の雑草が生えていました。なので必然的に水が溜まる訳です
キャンプたけしさん:僕のあのサイトは本当に田んぼだった。もう、イネ科だもん。笑。 草というだけで一概には言えないってことなんですね
渡辺さん:基本、田んぼの中に生えてる植物ですからね。水に強いからこそ。
そういう指標植物を自分で調べてみるのが大切だし、ファミリーキャンプなら、子どもと一緒に「Googleレンズ」とか使って、楽しみながら探すのもおすすめですよ
【Q2.】草の根本の“泥”で判断できる?
【A.】YES!サイト全体を見渡すべし
渡辺さん:これはその通りだと思います。白っぽくなってるところですかね。
ただ、単に泥が飛んで付着しただけなのかなど、全体的に見渡して、ある程度同じ高さのところに泥がば〜っと付いてるのかというのも1つポイントだと思います
出典:PIXTA
【Q3.】「石クラゲ」の近辺は危ない?
【A.】YES!苔もチェックすべし
渡辺さん:これも○です。「石クラゲ」は指標植物の1つなので。
出典:PIXTA
渡辺さん:あと、草がまばらに生えて土が露出した場所で、苔が生えてるところも目印になります。うっすら緑がかってるところ。あれは水没しやすいエリアですね
【Q4. 】「蛇イチゴ」のある場所は?
A. ケースバイケース!土壌の目安にすべし
渡辺さん:蛇イチゴは湿った場所を好むんですが、その場所=水没しやすいとは言い切れません。
水はけがあまりよくない場所とは言えるんですが、常に日陰なために、雨が降ったあとに乾かず湿っていたり、保水力の強い土壌だという指標にはなりますね
出典:PIXTA
【Q5.】落ち葉溜まりは危険?
A. ケースバイケース!腐葉土なら注意すべし
渡辺さん:落ち葉溜まりにも種類があるんです。枯れ葉をどかして、その下がすぐ乾いた土の層なら、ただ風などで集まった可能性も。水の流れ道ではないと断定はできないんですが
渡辺さん:枯れ葉をどかしても、その下の枯れ葉が腐って腐葉土に近い状態のものが堆積しているとしたら、そこはアウト。水が溜まる場所ということです
【Q6.】溝を掘るのは効果的?
A. YES!キャンプ場に確認すべし
渡辺さん:正解です。ぜひ掘って欲しい! 本来、掘るのは大前提で、できれば常に掘った方がいいくらい。
ただ、芝生サイトやウッドチップなど、キャンプ場側が丁寧に管理している場合もあるので、応相談するのがおすすめです。
ライジング・フィールドではスコップの貸し出しもしていますよ
※溝を掘ることを禁止しているキャンプ場もあるので、事前に確認するようにしましょう。
テントの設営で意識すべきこと
ここまでの留意点以外に、さらにできる水没対策があるのかも聞いてみましたよ!
──他にもできることがある?
キャンプたけしさん:これまでに伺った点に留意しながらキャンプ場やサイトを選べたとして、その上でさらにできる対策ってあるんでしょうか?
渡辺さん:今度は、サイトの中での勾配のチェックですね。
自分で歩いて確かめれば、サイト内にもちょっと凹んだり、盛り上がったりと勾配があるのが分かります。
その勾配に合わせてテントなどのレイアウトを決めていきます
渡辺さん:あとやはり、サイトの中にも水が流れたり溜まっていた跡があるので、それも確認を。水みちのチェックです。
ここなんかは砂利が溜まってて、水が流れた跡ですね
キャンプたけしさん:なるほど〜! サイトを選んだ上で、さらにそのサイト内の勾配や水みちもチェックするべきなんですね。
やはり「勾配」と「水みち」がキーワードか!
渡辺さん:水みちや勾配がなければ、次のステップは自分で溝を掘ることですね
──溝はどんな風に掘ればいい?
キャンプたけしさん:溝を掘るという話が何度か出ましたけど、実際、どんな風に掘ればいいんですか?
渡辺さん:掘り方は、テントの周りをぐるっと囲むような感じで掘ります。かつ、ちゃんと勾配に対して、水を流す道を作ってやるんです
キャンプたけしさん:テントの周りに「お堀」を作るみたいなイメージで合ってます? 笑
渡辺さん:まさにそう。ただ「お堀」と違うのは、そこから水が流れ出ていくルートを作る点です。
勾配が低い方へ向けてルートを出さないと、本当に「お堀」で水が溜まってしまうので
渡辺さん:そして、溝を掘ったなら、今度は帰る時に埋めるのも忘れないでほしいです。
やっぱり来た時よりも美しくというのが大前提。あくまでも、我々は自然の中でこの場所をお借りしてるという感覚の有無は、今後一層問われていくと思います
キャンプたけしさん:人として、キャンパーとして、絶対に忘れてはいけないマナーですね!
モノは試しということで、渡辺さんのアドバイスを元に、キャンプたけしさんのサイトで実際にテントの周りに溝を掘ってもらいましたよ。
ちゃんと自前のショベルを持参していたたけしさん、流石です! テント周りの勾配を確認しつつ、まずはテントの周りを一周ぐるりと掘っていきます。
一周掘り終わったら、勾配が低い方へ向かって水が流れるルートを出していきます。これで完成!
もはや鉄壁の布陣が敷かれたような、絶大な安心感……。 ぜひ、皆さんもお試しあれ!
対策しても水没してしまったら…?
ここまでに教わった点に留意しつつ対策を講じ……、それでもサイトが水没してしまった時に、知っておくべきノウハウにも聞いてみました!
──撤収時のコツは?
キャンプたけしさん:サイトが水没してしまった場合、撤収時の注意点や、スムーズな撤収方法、おすすめのアイテムなどがあれば教えてください
渡辺さん:ポリエチレン製の厚手のビニール袋で、テントなんかも入る特大サイズのものを常に携行しておくといいですね。
水没した時は何もかも、ポリ袋に素早く突っ込んでしまうのが一番。
ただ、普通のゴミ袋は薄くて破れやすいので、できるだけ厚手の丈夫なものを選ぶのがポイントです
キャンプたけしさん:もう、そこでテントを畳むとかじゃなく。笑
渡辺さん:はい。もうとにかく突っ込んで入れるしかない。笑
──メンテナンスはどうしたらいい?
キャンプたけしさん:サイトが水没した際に、撤収したテントやペグなどの、その後のメンテナンスについて、注意すべき点を教えてください
渡辺さん:やはり泥を落とすという意味で水洗いした方がいいですね。その場では難しいと思うので、ご自宅に帰られてから。ただ、マンションの方とか大変ですよね
キャンプたけしさん:ウチ、まさにマンションなので結構ツライです。洗ったはいいけど、ベランダに干すか、お風呂で換気扇フルに回して干したり。でももっと大きいテントだと入らない
出典:PIXTA
渡辺さん:そうなると、テントクリーニングがおすすめです。濡れたままだと加水分解が早まるので、そのまま現地から送っちゃうのもアリですね。
あと、泥には栄養素があるので、泥が付着した状態ではさらにカビが発生しやすくなる点も注意が必要です
加水分解とは?
テント生地にコーティングされたPU(ポリウレタン)が、水分と反応して劣化する現象。ベタ付きや匂いが発生し、ポロポロ剥がれてしまう。
出典:ソトリスト
渡辺さん:また、ペグなど金属製のギアはちゃんと拭いて乾燥させる。ちゃんと錆止めスプレーすると尚いいですね。
今は安いキャンプギアが増えて、100均でも揃う時代。物を大切にする意識が希薄になっている気がします。
きちんとメンテナンスすることは、道具にしっかり愛着を持って大切に扱うことにもつながると思います
キャンプたけしさん:100均のアイテムだとしても、大切に使い切ればいいんですよね。
自分も何回かテントクリーニングを利用したことがあるので、やはり、プロに任せるのは簡単だし安心ですね
──キャンパーや読者へのメッセージがあればお願いします
渡辺さん:キャンプって、本来不便なもの・快適ではないものですよね。
その不便さを楽しんだり快適にするには、能動的な情報収集や、自ら考えて行動することが非常に重要だと思います。
また、サイトの水没などのハプニングが起きても、今の状況や事実情報を自分で分析・確認して、さらにどうなっていくのか想像することが大切です。
だから、キャンプを含む野外での体験活動は、レジャーではありながらも、全て学びの要素を内包しているんです。それは、キャンプの楽しみの1つでもあります。
キャンプを通して、本来の人間の生きる力というものを考え直す、そんないい機会にしていただけたらと思います
創意工夫を楽しみながら、「田んぼキャンプ」を回避しよう!
キャンプとは本来不便なもの、快適ではないもの……。
レジャーでありつつも、安全・快適なキャンプのためには、知識や経験に基づく創意工夫が不可欠なことを、渡辺さんのアドバイスであらためて実感できましたね。
あなたもぜひこの記事を参考に、トライ&エラーを楽しみながら、「田んぼキャンプ」を回避して下さいね!