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「田んぼキャンプ」を避けるために。水没しないサイトの見分け方を専門家に聞いてきた!(2ページ目)

水没を避けるために、キャンプ場選びでできることは?

事前の情報収集が重要

ライジングフィールド渡辺さんとキャンプたけしさんインタビューシーン

渡辺さんキャンプでは、自分でその快適性を担保したり安全性を作り出すために、情報収集が重要です。今はSNS時代なので、まずは口コミのチェックが大切ですね。

直接キャンプ場に「雨降ったときってどうですか」とか、土なのか砂利なのかなど、サイトがどんな土壌なのかを聞くのもポイントですね。

キーワードは「勾配」と「水路」

ライジングフィールド渡辺さん_地面に手を広げて

渡辺さんあと、これは実際行かないと確認できないのですが、実は「勾配(こうばい)」が最も肝となるポイント。

サイトに水が溜まらないように、ライジング・フィールドでは全てのサイトに少しずつ勾配をつけて造成しています。

キャンプたけしさん人が過ごしたり寝たりするのには平坦な方が快適だけど、やっぱりあえて、ちょっと勾配をつけるのが、キャンプ場の建築土木のノウハウとしては大事なんですね

ライジングフィールド軽井沢の「水みち」

画像は通路とは別に、場内にいく筋も走る「水路」の様子

渡辺さんそしてもう1つ肝になるのが、勾配に加えてしっかりと水が流れる「水路」をつくることです。

ライジングフィールドでは「水路」の他に、排水を促進させるために土の中をえぐって配管を設置する「暗渠排水(あんきょはいすい)」を一部施工しています。

単に「水路」を作るだけでなく、細かい石を入れて中にメッシュパイプを通すことで、水を浸透させつつ流れていく仕組みになっているんです

暗渠排水とは?

水田を乾田化する方法の一つ。 透水性のある管を地下に埋設し、地上や土中の水を集水しながら排水路へ導通させる設備のこと。

ライジングフィールド軽井沢の水みちと浸透桝

画像は「水路」に沿って目印として置かれた丸太と、その先にある「浸透桝」

渡辺さんつまり、キャンプ場作りって街作りと一緒なんです。ちゃんと排水を考えて水路を作り、しっかり水が流れる場所や流れ込む場所があり、さらにその水を処理したり浸透させる「浸透桝(しんとうます)」というのもあるんです。

水が流れ込んでいって最終的に貯まる桝のことで、穴を掘ってそういう場所をちゃんと作っているかどうかが重要です

ライジングフィールド軽井沢の浸透桝

画像は水路の先にある「浸透桝」

キャンプたけしさんなるほど! 逃げ先を作っておくっていう……。東京の目黒川とか、昔はめちゃめちゃ氾濫したって聞きますけど、今はちゃんと貯水池が整備されてますよね。

キャンプ場に行った際には、「このキャンプ場は、そういう街作りの要素を取り入れてるか」的なチェックをするのもポイントなんですね!

キャンプたけしさんインタビューシーン

ズバリ、どんなサイトを選ぶべきなのか?

キャンプサイト4種

キャンプたけしさん土、砂利、芝生、林間、ウッドチップ、ウッドデッキ、河川敷とか含めると6つぐらいのサイトの種類があると思うんですけど……。

ズバリ、どのサイトを選べば水没を回避できるんでしょうか?

ライジングフィールド渡辺さん指差し

渡辺さんそうですね。それについては、実際にそれぞれの種類のサイトを周りながら、詳しくご説明していきます

安心度が高いのはウッドデッキ・芝生

ウッドデッキサイトとキャンプたけしさん

渡辺さん言うまでもなく、やはりウッドデッキが一番安全ですね。高床になっているので

芝生サイトとキャンプたけしさん

渡辺さん次に安全なのは、ちゃんと手入れのされている芝生サイト。芝生が生え放題で放置されているところは怪しいです

砂利・土サイトはどうか?

砂利サイト

渡辺さん次が「砂利」サイトですね。これは要するに粒子の問題なんですよ。砂利からさらに粒子が細かくなると「土」ですよね。なので、粒子が細かく粘土質の「土」サイトは最も水はけが悪いです

粘土質の土壌

渡辺さんただ、粘土質の場所って、しっとりしてる時は表面が「テカテカ」して見分けやすいんですが、乾くとひび割れていたりして分かりにくいんです。

だから粘土質かどうかというのは、その近辺の水みちなど、ちょっと窪んだところを探せば、なんとなくその指標が見えてきます。水の流れの跡や水溜りなどを見つけると、多分そこに答えがあると思いますよ

ライジングフィールド渡辺さんとキャンプたけしさん検証中

キャンプたけしさん観察力というか、洞察力がすごい……。土だけ見ても分からない時は、全体像から見極める必要があるんですね

ウッドチップサイトは……?

ウッドチップサイト

渡辺さんウッドチップそのものは水はけがよく浸透しますが、問題はその下の土壌。砂利なんかだといいんですが。

下の土壌の水はけが悪いと水が溜まる可能性があります。ただ、水が溜まるとウッドチップがサイトから流れ出てしまうので、それを防ぐためにも、勾配や水みちに配慮しているキャンプ場が多いかと思います

草地は「指標植物」で判断すべし!

草地のサイト

渡辺さん「草地」の場合も一概には言えないんですが、「指標植物」というのがあるので、それに応じて判断するといいですね。

たとえばイネ科の雑草が生えていたら、そこは湿地帯や水田のように、水が溜まっていた場所だという指標になるんです

指標植物とは?

特定の環境条件で生育することから、その立地の環境条件が分かる=環境の指標となる植物のこと。

林間サイトはケースバイケース

林間サイト

渡辺さん「林間」もいろんなシチュエーションがあるので、ケースバイケースですね。

ただ、アマゾンの熱帯雨林などと違って、日本の林間で水が溜まっている状態ってイメージしづらいですよね。傾斜がある場合が多いので、ちゃんと雨が流れる水路があれば水没の可能性は低いと思います

河川敷の石ゴロゴロサイトは?

河川敷

出典:PIXTA

渡辺さん河川敷で石がゴロゴロあるサイトは、水はけ自体はいいです。

ただ、増水した時の危険性をはらんでいます。中洲に取り残されてしまう事故も発生しており、注意が必要です

ライジングフィールド渡辺さんとキャンプたけしさんインタビューシーン

キャンプたけしさん確かに……! そもそもサイトが水没するくらい雨が降る時には、河川敷でキャンプすべきではないってことですね。

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