今回は”食”について
ちょっと偉そうに書いてしまったが、この工夫することを覚えるとどんなシーンでも楽しめる。
で、今回は“食”“住”“游”の“食”についてちょっと・・・僕はドイツ系の親父と日本人の母親から3人兄弟の次男として生れた。まぁ、このことは前回に書かせてもらったので省かせてもらう。僕が子供のころは“男子厨房に近づかず”の雰囲気が世間に流れ、料理人でもない男が厨房に立つなんてことがない時代だった。
しかし、親父は休みの時は必ず家族に料理をふるまってくれた。料理に対しての意識は、親父の影響は少なからず受けているだろう。
モデルという仕事に就いた最初の2年近くは仕事もなく、アルバイトをしながらの貧乏生活。実家暮らしとはいえ食事は自分でやらなければいけない。親父がやっていたことを見よう見まねで作っていた。パスタやシチュー、なんかわけのわからない炒め物・・・おいしいものもたまにはあったが、一口で箸をおいてしまうものなど、まぁ、数多くの失敗を繰り返したものだ。この失敗が、アウトドアでの料理に生かされているのは間違いない。
初めてキャンプに行ったのは今から25年以上前になる。モデル時代の先輩に連れて行ってもらった。もちろん初めてだから設営を含め何もできることはない。指をくわえて見ているだけだった。
夕食の時間になり、ツーバーナーをつけることもできない僕は相変わらずイスに座ったまま黙って眺めている。
先輩が作ってくれたのは、メキシコ料理のフルコース。最初にガッカモーレとサルサソース、それにチップスが出てきた。シャンパンを開けこれを楽しむ。その後にビーフ、ポーク、ソーセージを炒めたものにレタス、トマト、チーズ。温められたフラワートルティーヤ。そう、それは本格メキシカンレストランで食べるようなタコスだった。
お酒はシャンパンから白ワイン、そしてテキーラに代わる。太陽が西に傾き、ランタンに灯がともった。ゴォーっという何とも言えない音がキャンプサイトに響き渡る。楽しい会話、おいしい食事、うまい酒。もう、たまらない。
こんなアペを楽しんでいる間にツーバーナーの上の鍋ではおいしいシチューが煮込まれている。これぞ完璧なる演出。最後のメインディッシュは今では僕の得意料理にもなっているチキンのトマト煮メキシコ風のチラキレス。うまい。本当にうまかったのである。このメインディッシュを楽しむときにはお酒は赤ワインに。
まさにアウトドアでメキシコ料理のフルコースを楽しんだのである。食後は焚火を楽しみながら夜がふけるまで会話とお酒を楽しんだ。まさに僕がアウトドアにはまった瞬間だった。そしてこのアウトドアでの食事が、僕のキャンプでの料理に大きな影響を与えたのである。