ペグハンマーの握り心地、もっとよくできるのでは?
テント設営のマストアイテム、ペグハンマー。みなさんはどんなものを使っていますか?
筆者は、持ち手が木でできたよくある見た目のハンマーを何の疑問もなく使用してきたのですが、ある日に自転車のグリップを握ってふと思いました。
「ペグハンマーのグリップってもっとよくできる余地があるんじゃない?」と。
木の持ち手のハンマーには大抵、すっぽ抜け防止のストラップがついていたり、握りやすい形状に加工されていたりと各社工夫がされていますが、握り心地が硬いものがほとんどです。
レザーを巻いてカスタムしたこともあるのですが、ペグを打ったときの衝撃を逃す程のクッション性もありませんでした。
これに、あの握り心地のいい自転車用グリップを取り付けられたらどうなるのだろうか?そんな思いつきで今回は実行に移してみました!
自転車のグリップをペグハンマーに取り付け!
この思いつきには、1つクリアしなければならないハードルがありました。それは、ベースとなるペグハンマーの持ち手の太さと形。
自転車用のグリップの多くは直径22mmのハンドルバーに取り付ける規格になっています。そのため、ペグハンマーの持ち手の太さが22mm以下で断面が円形である必要があったのです。
とりあえず、Amazonをかけずりまわり、キャンプショップをハシゴし、自転車グリップの取り付けに適したペグハンマーを探す筆者。
このアイディアに適任のハンマーを発見
そして、見つけてきたのがこちら! 多くのキャンパーさんがご存じの人気テントメーカー、ogawa(オガワ)の「アイアンハンマー」です。これなら持ち手の断面が円形で20mm前後なので行けるかも……?
オガワ アイアンハンマー 3116
取り付けるグリップは、自転車グリップの名品「OURY GRIP」
条件の合うペグハンマーを見つけたところで、次は自転車用グリップの用意です。
今回使用したグリップは、BMXやMTB向けの自転車グリップとして、不動の人気を誇る名品「OURY GRIP(オーリーグリップ)」。自転車好きの方なら誰でも知っている王道アイテムです。
オーリーグリップ マウンテングリップ
その人気の理由は、なんといっても握り心地とグリップの良さ。ちょうどいい柔らかさのゴム製のグリップで、板チョコ状のパターンで滑りにくくしっかり握れます。そしてデザインのカッコ良さも魅力。
今回は比較的入手しやすいMTB用の「マウンテングリップ」を用意しました。「OURY GRIP」はカラーも豊富なので、個性も出せます。私は、自然に馴染みやすそうなブラウンをチョイスしました。
他に必要なアイテムを用意して、いざカスタム!
ペグハンマーと自転車グリップを用意したら、いざ取り付け。その他用意したアイテムはビニールテープと自転車やバイクのパーツのメンテナンス用のパーツクリーナー。
これらが必要な理由や使い道は、実際の取付のステップに合わせて解説していきます。
KURE パーツクリーナー 840ml
ステップ1. 純正グリップを外してビニールテープを巻く
まずは、「アイアンハンマー」の純正のグリップの取り外し。
こちらはそこまで力が要らず、工具不要ですぽっと簡単に取り外せます。キャンプ道具のカスタムは自己責任。保証が効かなくなることがほとんどなので、その点は理解しておきましょう。
次は、自転車グリップを取り付ける下準備。
「アイアンハンマー」の持ち手は直径約20mmだったので、そのままグリップを取り付けると太さが足りずゆるゆるになってしまいます。その2mmのギャップを埋めるためにビニールテープで持ち手を太らせます。自転車グリップの長さに合わせて太さが均一になるようにぐるぐる巻きましょう。
ステップ2. ペグハンマーに自転車グリップを差し込む
ここまで来たら、あとは自転車グリップを取り付けるだけ! なのですが、グリップが滑りの悪いゴム製で、ペグハンマー側にもビニールテープが巻いてあるので、まあ入りません。
力技で解決しても良いのですが、あると便利なアイテムがパーツクリーナー。こちらをペグハンマーとグリップの隙間に吹き付けると……するっと、少ない力でグリップの奥までペグハンマーの持ち手が入ります。
パーツクリーナーはオイルではなく揮発性の液体なので、グリップがちゃんと固定されます。パーツクリーナーは石油系の液体を使用している場合もあるので、換気の良い場所で作業しましょう。
「チャリグリップハンマー」完成!
作業自体は工具不要でかんたんだったので、あっさり完成!
まず見た目的には、大成功。オールブラックでシンプルな「アイアンハンマー」に「OURY GRIP」のデザインの良さが映え、今までにない格好良さのペグハンマーが誕生しました。題して「チャリグリップハンマー」!
「チャリグリップハンマー」の使い勝手はいかに!?
とりあえず、見た目はイケてる「チャリグリップハンマー」の肝心な使い勝手はどうなんでしょうか? フィールドに出て、鍛造ペグを1本打ってみました。
「……圧倒的に握りやすい!!」
握り心地に定評のあるグリップを使っているので当たり前のことかもしれませんが、今まで握ったどのペグハンマーより握りやすいです。そして、純正グリップの状態より、明らかに力が入るので、威力が増した感じがします。
さらに、良かったポイントは手首が痛くなりにくくなったこと。ペグを打ったときの衝撃がかなり緩和されるので、手首への負担が軽減されています。
MTBで走行中に起きる、地面のでこぼこによる振動を吸収する目的で作られたグリップなので効果はてきめん! 無駄にペグ打ちしたくなるほどのフィーリングの良さです!
強いて不満をあげるなら「アイアンハンマー」のペグ抜きの形状的に、スノーピークの「ソリッドステーク」や村の鍛冶屋の「エリッゼステーク」などの人気ペグを抜きにくいということぐらいでしょうか。
自転車グリップ付けられるペグハンマー、他にも見つけちゃいました
「チャリグリップハンマー」の使い勝手の良さに気を良くした筆者。自転車用のグリップは、左右セットなのでもう1本余っています。これをどうしてやろうかと考えている中、もう1本ペグハンマーを持っていたことを思い出しました。
それがこちら、muracoの「カラジャスペグハンマー」。断面がV字型の軽量なアルミ製ペグ「Vペグ」の打ち込み、引き抜きに特化したユニークな形状のペグハンマーで、重さ約236g。荷物に制限のあるバックパンキングやバイクツーリングに最適なアイテムです。
そしてこのハンマー、なんと持ち手の直径が約22mm……! まさかの逸材発見です。
パーツクリーナーを使って取り付けてみると、本当にジャストで加工せずとも入りました! 見た目もさらに個性的になり良い感じ。ペグを打ったときの握り心地ももちろんアップしています!
ただ、今回使用した「OURY GRIP」、重さが片側で約70gもあるので、「カラジャスペグハンマー」の魅力である軽量さを殺してしまうという欠点が……。
なので、そこはグリップの良さとトレードということで、無理やり納得できる方にだけおすすめです!
ムラコ カラジャスペグハンマー
グリップが変われば、道具が変わる!〇〇グリップであなただけの1本に
自転車のグリップは、デザインやパターンもさまざま。さらに人間工学に基づいて設計されたものもあるので、キャンプギアの持ち手に使えたら使い勝手のアップが見込めかも!?
そしてグリップの世界は、可能性の宝庫です。テニスラケット用やゴルフクラブ用のグリップなど、意外なグリップがあのキャンプ道具にぴったりなんてことも……。
グリップにこだわって、ぜひあなただけのキャンプギアを作りあげましょう!