ヘリノックスのコットをテント化する新発想モデル
こちらがヘリノックスの「タクティカルコットテント」。コットの上に設置するという、一風変わったテントです。
ソロ用のインナーメッシュとソロフライで構成され、それぞれ単体で販売されています。別売りのコットに両方を設置すると、上記写真の状態に。一時品切れになるほど注目度の高いアイテムです。
フライ+インナーで3kg以下と軽量
こちらの現物を入手しました。「ソロインナー メッシュ」が1,530g、「ソロフライ」が1,430gといずれも軽量で、両方を合わせても3kgに達しません。はやくも「さすがヘリノックス……」と唸りました。
※設営には、同ブランドの対応コットが必要です
コットテントを使うには、まず「タクティカルコット」もしくは「コットワン」が必要です。
このコットは別売りの脚「コットレッグ」を取り付けることで、高さをハイ・ローの2段階に調節できるという特長が! 決して安価ではありませんが、コット界の最高峰に君臨する名作です。
ヘリノックス タクティカルコット
ヘリノックス コットワン コンバーチブル
「タクティカルコットテント」を実際に設営してみた
それではさっそく、「ソロインナー メッシュ」から設営してみましょう。
ヘリノックス タクティカルコットテント ソロインナー メッシュ
「ソロインナー メッシュ」を組み立ててみた
コットの上に広げると、底面がコットにぴったりと一致するサイズ。前後もないので何ら迷うことはありません。
設営にかかった時間は7〜8分
あっという間に完成しました。動画で予習済みの初チャレンジで、かかった時間は7~8分といったところ。
手間だと感じたのは、底面をコットにガッチリと取り付ける工程ぐらいです。吊り下げ式のテントを設営したことがあれば、誰でも難なく設営できることでしょう。
「ソロフライ」を装着してみた
自前のタープを張ることで、夏場はこの状態でも十分に使えそうです。しかしせっかくジャストフィットするフライが用意されているのですから、揃えたくなるのが人情。引き続き「ソロフライ」をかぶせていきます。
ソロフライの立体的な形状がインナーの骨組みに一致するので、被せる工程はいたって簡単。気をつけるのは前後の方向くらいでした。あとは6か所をペグダウンして完了です。
ペグダウン含め5〜6分でフライも設営完了!
完成しました。かかった時間は、ペグを打つ時間を合わせても5~6分程度。インナーからのトータルで10数分、何かに手間取っても20分程度でしょう(コットの組み立て時間は除きます)。
インナーとフライで構成される吊り下げ式テント……つまりは設営が簡単だと言われるテントと同様の設営方法なので、難しいと感じることはないと思います。
さて、よく見るとフライに若干のたるみがありますね。このままでも使用上は問題ないようですが、コットをハイにすることでたるみが改善されます。
コットレッグを追加してみた
タクティカルコットコンバーチブルに、別売りの「コットレッグ」を取り付けましょう。高さを出すことで、公式サイトの写真と同じ状態になるはずです。
コットレッグを使うとこの通り。フライがピンと張られ、より気持ちのいい立体美となりました。また裾に隙間ができたことで、通気性が得られる状態に。
スライド写真で比較してみてください。肌寒い時期にはコットをロー、暑いシーズンにはハイにすることで、通気性を調節できますね。
詳しい設営の様子は動画を参考に!
「タクティカルコットテント」のテントとしての機能は?
ドアパネルの開放具合は自由自在
フライの前面は、半分の面積をドア的にガバッと開けることができます。ドアパネル部分の生地は横方向に巻き取ることで、前室中央に縦に収まります。
背面も巻き上げ可能です。パネルは2分割で、フルクローズ、片方だけオープン、両方オープンの3パターンから選択OK。こちらも出入り口として不便ではないので、迷惑キャンパーがその迷惑さゆえ目の前に陣取ったときなど、サイトの向きを裏側にして回避できます。
頂上近くにはベンチレーションの小窓が。前面と背面をフルクローズにしても、一定の通気性が確保されますね。
インナー内は不思議と狭く感じない
インナーの様子を見ていきましょう。まず出入り口が非常に大きく、面のほとんどすべてを開放することができます。またまったく同じ出入り口が背面にもあり、どちらからでも出入りOK。
床面積は190×70cmの単なるコット、テント内部の高さは1mにも満たないんですが、不思議と窮屈には感じられません。近くで別の撮影をしていたCAMP HACKの編集部員、その数人に入ってもらいましたが、みんな「思ったよりも広く感じる」という意見でした。
おそらくベンチのように腰を掛けられることが影響しているのでしょう。コットがローの状態だったら、また感覚は変わってくると思います。
寝転がって天井を見上げてみました。ポールがクロスするタイプのテントに比べて四方の面が立っているので、ゆったりとした空間に感じられます。
天井にはこのようなループが6か所ありました。カラビナを利用してランタンやウェアを吊るすことができます。
実際にオーバーナイトしてみた
それでは実際に、一夜を過ごしてみましょう。コットに座ったままチルタイムを過ごせそうな気もしましたが、テーブルを使いにくいのでチェアに座っています。
フライの素材はポリエステル(リップストップ)なので、焚き火をする場合は火の粉に要注意。焚き火台とはしっかり距離を取る必要があります。
一晩寝てみた結果……
夜も更けてきて、そろそろ就寝です。タクティカルコットの快適な寝心地を知っているので、よく眠れるかどうかの心配はありません。
……朝がきました。ぐっすりと眠ることができ、わざとらしいぐらいの伸びが自然に出ました。コットの寝心地のよさもあるんですが、室内スペース自体も影響しましたね。
テントの側面がほぼ垂直に立っていることが、快適な睡眠につながったのだと思います。長辺190cmしかない室内スペースながら「壁が目の前に迫ってくる」「寝返りのときに頭が触れる」といった窮屈さとは無縁でした。
「タクティカルコットテント」のココに感心!
インナーのフロアをガッチリ固定!
こちらは下からコットの裏側を見上げた写真です。インナーの四隅に三角形のポケットがあり、コットをガッチリと捕まえています。そのガッチリ具合ときたら、コットの脚を外して張りを緩めないと、インナーの脱着が不可能なレベルです。
コットの脚すべてに紐を結ぶことで、インナーフロアのズレも防止。ヘリノックスが念には念を入れています。
設営方法がとてもシンプル
個性的なテントながら、設営が簡単というのも大きな長所です。インナーはポールを固定してパチンパチンと吊り下げるだけだし……。
フライも形を合わせてかぶせ、面ファスナーのループで固定するだけです。設営時にも触れましたが、吊り下げ式のテントを張ったことがあれば「この部分はどうするんだ!?」的な迷いがいっさい生じません。
荷物を置けるスペースが多い
インナーとフライとの間には、全方向に収納スペースが生まれます。写真のクーラーボックスは幅が約50cmあるんですが、ハンドルを立てたまま余裕も余裕。就寝時には長辺60cmのテーブルも収容できました。
横もこのとおり。写真のチェアはヘリノックスの「タクティカル チェア」ですが、前室を使うまでもなくスマートに収納できました。
さらにコットの下も収納スペースとなります。タクティカルコットテント、何気に収納の鬼でした。
気になるところはあった?
設営時に面倒な工程が1つ
設営はシンプルかつ簡単です。つまり理解しやすく、何をどうすればいいのか迷うことがありません。しかしインナーをコットに取り付ける際に、コットの脚を1つ外す(コットの張りを緩める)必要があり、これだけ面倒に感じました。難しくはないけど面倒くさい、という作業です。
コットを組み立てるときに、ついでにインナーを取り付けてしまうことをおすすめします。
ソロテントと捉えると大荷物に
収納状態のインナーとフライが、重くて大きいとは全然思いませんでしたが、当製品は必ずコットが必要となります。ハイにする場合はコットレッグも。
トータルの総重量・収納サイズを考えると、バックパックやバイクでキャンプをするスタイルでは、選択肢に上がりにくいアイテムでしょう。キャンプ場への移動手段は車で、コンパクトなキャンプサイトを構築したい方におすすめです。
ヘリノックス タクティカルコットテント ソロインナー メッシュ
ヘリノックス タクティカルコット
ヘリノックス コットワン コンバーチブル
リッチで個性的なソロキャンプを実現
これまでもコット上に設置するシェルターは存在していましたが、それらは特定のコットを想定していない場合が多く、当製品ほどコットにしっかりガッチリと固定されません。またジャストサイズのフライなどはほぼ皆無で、ヘリノックスが新たな道を切り開いた感があります。
コットから揃える場合はなかなかの値段となりますが、リッチで個性的なソロキャンプを間違いなく実現するアイテムです。単純にかっこいいので、ぜひ一度実物を見てみてください。
※現在、注目度の高さから一時品切れ中です。問い合わせたところ次回入荷については、コロナウイルスの影響で遅れが出ており明確な時期は未定とのこと。入荷しているのを発見したら即ゲットがおすすめです!
「タクティカルコットテント ソロフライ」の詳細はこちら
「タクティカルコットテント ソロメッシュインナー」の詳細はこちら