近藤芳正さん自身のキャンプ経験は?
キバ:私は『おやじキャンプ飯』の大ファンです。シーズン1、最高でした。近藤さんが演じる坂本明夫は、力みのない手慣れたキャンパーといった感じでした。近藤さんご自身はキャンプはするんですか?
近藤:しないです(笑)。ただ「キャンプってどんなものなのか体験しましょう」ということで、馬杉監督ともう1人のスタッフと3人で一晩、東京近郊のキャンプ場でやりました。正直言うと……川の音が近くて寝られなかった(笑)。
ーー「キャンプあるある」ですね(笑)
あとお酒を飲みすぎちゃったんですけど、キャンプ場のトイレが遠いんですよね。石垣を通って行かなきゃいけなくて……次回はトイレの近くにテントを張ろうかと思います(笑)。
ーー『おやじキャンプ飯』といえば料理シーンが見どころの1つです。そのキャンプで料理はしましたか?
そう、チャーハンを作ろうとしたんだけど、僕も馬杉監督もあまり料理をしたことがなくて……もうガチンガチンの、パラパラどころか食べ方わからないってぐらいガチンガチンになっちゃった。
ーー意外ですね。作中では手慣れた感じに見えたので、てっきり近藤さんは普段から料理をする人なのかと……
全然しないんです、申し訳ない(笑)。料理監修の方に教えてもらって、演じていました。途中から中華鍋がスムーズに回るようになりましたよ。
キャンプは素敵な趣味だなと思います
ーー今後キャンプをプライベートでやるご予定は?
今のところはないんですけどね。ただキャンパーの皆さんが感じている「1人になりたい」とか、自然と会話したりだとか、そういう部分の魅力はすごくわかります。
ーー周りに「やりましょうよ」と言ってくれる人がいるとラクなんですけどね
そうですね。でもキャンパーの皆さんは自分の意思でキャンプをして、自然の怖さを知ったり、何かを感じ取ったりしている。そういった経験で自分自身の魂を成長させる……キャンプはそんな旅ができる絶好の場だと思います。本当に素敵な趣味だなと思っています。
近藤さんと主人公の共通点
コロナ渦という状況が少なからず影響
ーー主人公は僕が憧れるタイプの、非常に魅力的なキャンパーです。ご自身との共通点はありましたか?
シーズン1は新型コロナウイルスが問題になってすぐの時期だったので、明夫が職を失っているという状況に思うところはありました。自分がコロナ禍によって「役者として今後、エンタメというものがどうなるかわからない」みたいな状況だったんで、シンクロしやすかったですね。
ーー主人公はとても寡黙なキャラクターでした
僕自身、あんまり喋りまくるタイプじゃないので、わりと黙ってる方が好きだし、間を取るのが好きなんですよ。
『おやじキャンプ飯』は「間をいっぱいとってほしい、とにかく間を」ということで、風を感じているとか、何かの音を聴いているとか、そういうことで成り立つお芝居だったんで、演れてよかったですね。自分自身の心も洗われたっていうか、休まったって感じがしますね。
ーー『おやじキャンプ飯』は公開方法がYouTubeという形でした。それについては?
自分はYouTubeに詳しくなかったので、お金を払わずに観られる媒体で、どういう風に成り立つのかな……と思いましたけれど、いろんなことを試してみるのには、このコロナの時期というのはいいんじゃないかな、と勝手に思ってました。
ーーキャンプ場でのロケなので、密にならないというメリットもあったと思います
そうです。で、そこで実際にコロナ渦で職を失ったおやじ(主人公)ということで、自分自身にリンクする部分もあるし、娘が宇宙飛行士っていう設定が面白いってのもあるし、単純にドラマとして面白いなと思いました。YouTubeもどういう展開を見せるのかわからなかったんで、やってみる価値はあるなと。
大きく変わった価値観
ーーコロナ渦、そしてYouTubeドラマに挑戦したとことで、ご自身に何か変化は?
コロナで考え方や価値観がガラッと変わりました。
前までは仕事人間だったんですけど、仕事はまあとりあえず置いとこうみたいな気持ちがあるんです。それよりも家庭環境が変わって、結婚して、住まいも京都の方に移って、「仕事ができる人=人間的に優れている」っていう自分のなかにあった勝手な方程式が、今はいらない方程式だなと思っています。
ーー重要視するものが変わった?
仕事よりも愛情を育てる、家庭を育てる、友情を育てる……っていう自分が怠ってきたことに、一生懸命になりたいなと思っています。仕事ができるできないっていうのは、それはそれで大事なことではあっても、すべてではない、ごく一部……って思っています。
仕事の面では、流れるようにそのときそのときにワクワクするものを見つけられたらいいなと。
ーーかつて中華料理に没頭していた主人公と重なるような……
ありますよね。今まで僕が人前で演技をして褒められたりしたことが、主人公がかつて「美味しい」って言われたことと繋がっている。それがその場を失って、キャンプ場でふと出会った人に料理を作って「美味しい」と言われる……そこでやっぱり「料理が好きなんだな」って感じている明夫と同じように、僕が演技をして、こうやって褒めていただけることで「やっぱり僕は演技が好きなんだな」と確信しているところはあります。
撮影のウラ話を教えてください!
「ランタン待ち」がありました
ーーシーズン2の話を。もう撮影は終わっていますか?
終わりました、はい。
ーー撮影場所とか、シーズン1と変わったところは?
キャンプ場は変わりました。和歌山県の山奥です。シーズン1は福井県と京都府の間でしたね。
クルマとかキャンプ道具は、シーズン1のものが引き続き登場します。シーズン1の第1話で、あの親子にいただいたグローブがそのまま出てきたりとか。
ーー登場するキャンプギアも、キャンパーにとって見どころの1つです。
シーズン1で謎の管理人から買った中古のランタン、あれも何話かで出てきますね。そうそう、ランタンのなかに1つだけ点きが悪いものがあって、長~いシーンなんだけどランタンが途中で消えてまた撮り直し……というのが2回ぐらいありましたね。ランタン待ちみたいなの、ありました(笑)