バックパックを背負い、自然のなかに野営地を探す
ますます高まるソロキャンプブーム。しかし、ひとくちに“ソロキャンプ”といってもそのスタイルは人によって千差万別。
ということで今回のシリーズでは、思い思いのスタイルを追求する各分野のエキスパートたちに密着し、一日の過ごし方や愛用品についての話を深堀りしていきます!
▼今シリーズで紹介する他のスタイル紹介はこちら
ミリタリースタイルを実践する中目黒ハレル店長加瀬さん
今回ご登場いただくのは、東京・中目黒のライフスタイルショップ「hallelu」のオーナーを務める加瀬善隆さん。20年以上に渡って渋谷の古着屋に勤務後、2014年に同店をオープン。
得意の古着をベースとしたラインナップが老若男女問わず支持されて一躍名店に。ことミリタリーモノに関しては、世界各国の珍しいアイテムが揃う店として全国に名を馳せている人気店です。
「古着の仕入れって結局好きなものに偏る傾向があって、自分の場合それがミリタリーでした」と笑う加瀬さん。あるときに仕入れたミリタリーアイテムの実用性が気になり、何の気なしに行ったキャンプからどっぷりとソロキャンライフにはまっていったそう。
もともとキャンプのノウハウはあったので、正直最初は「こんなの実際キャンプに使えるのかぁ〜?」っていう疑いの目でした。自分で仕入れているアイテムなのに(笑)。でも実際使ってみると雨風しのげて快適そのもの。ミリタリー物でキャンプができるっていうのがうれしくて、取り憑かれたように休日はフィールドに繰り出すようになりました。
加瀬さんのキャンプスケジュールを紹介!
今回は、そんな加瀬さんのキャンプに同行させてもらい、普段行っているミリタリースタイルのソロキャンプを見せていただきました!
【AM9:00】野営地を見つけたらザックを下ろして設営準備
まずは持ってきた道具を広げる加瀬さん。準備をしながら「ルールは明確に意識しています。しっかりとした下調べをしたうえでそこが野営できる土地なのか、場合によっては所有者の方に許可を得たうえで楽しむようにしています」と野営するときの注意点について語ってくれました。
この日、手に抱えてきたのはふたつのバッグ。ひとつは現行ものとなるUSミリタリーの大容量ダッフルバッグで、もうひとつはヴィンテージ物のUSミリタリーバケット。どちらも使い勝手を精査した結果に残ったという精鋭ギアなのだそう。
【AM11:00】テント設営
荷物を広げたら早速設営開始。今回加瀬さんが選んだテントはなんとポーランド軍の“ポンチョ“でした。
ミリタリー物のポンチョはビバークすることを念頭に作られているものが多く、これもポールやペグがあれば小型のティピー型シェルターになってくれます。
手際よく設営は進み、ものの15分ほどで完了しました。
抜群の存在感を見せるスウェーデン軍の手斧は、ペグ打ちに使われるなど設営中も印象的な使い方がされていたアイテムのひとつ。
野営する場所ってクルマを降りてから少し離れているところがほとんどです。ハンマーって重いじゃないですか? だから斧をペグ打ちハンマー代わりに使っています。ていうか、ほかに軽量化するべきアイテムは沢山あるんですけどね(笑)。
【PM1:00】沢の水を濾過して飲み水に!!
アースカラーが揃う加瀬さんの持つアイテムのなかで唯一の“色物”といえるのが、こちらのSAWYER PRODUCTS(ソーヤー プロダクト)のミニ浄水器。
野営する場所は炊事場などないのが当たり前ですし、水は携帯するといってもたかが知れた量となるので、こちらを使って沢の水などを濾過して飲んでいます。この専用ボトル以外にもペットボトルを装着可能できるので使い勝手も申し分ないですよ。
濾過した水は炊飯に使うほか、トレッキング中などにはこのように直接飲むことも!
SAWYER PRODUCTS(ソーヤー プロダクト) ミニ 浄水器 SP128
【PM3:00】焚き火スタート!
サイト周りの設営や水の確保などができたら、火を起こして焚き火準備に取り掛かります。「ソロキャンプのメインイベントは焚き火」という加瀬さん。すでに薪割りなどを済ませていたこともあり、すぐに赤い炎がパチパチと音を立て始めました。
ペグとメッシュシートを使った焚き火台はその場でのDIYした簡易的なもの。
ペグって持って行っても結局数本は余るので、それとステンレス製のメッシュシートを使って焚き火台を作ります。芝の上だったり、直火禁止エリアだったりすることもあるので耐火シートも必携ですね。
【PM6:00】米は飯盒!食事のこだわりはそこだけ
いよいよ夕飯の準備……といっても加瀬さんのスタイルは基本的にはソーセージなどのお肉と卵をフライパンで焼いて食べるという至ってシンプルなスタイル。しかしお米だけはこだわりの道具で炊き上げています。
そのこだわりの道具というのがこちらのスウェーデン軍の飯盒とアルコールバーナー。
もともとキャンプ飯=飯盒というのが頭にあって、どうしても飯盒が使いたかったんです。で探したらやっぱり軍モノでもあるんですよね。
流石、実用的な作りとなっていて、アルコールストーブの火に掛けるように風防を置き、その上に飯盒本体をセットすればあとは放置で炊き上がります。もはや全自動炊飯です(笑)。
自分の体の一部のようにギアを使いこなす充足感
私のスタイルは、不便さに磨きを掛けてるスタイルだと思います。ただ道具は本当に体の一部のように馴染んでいきます。愛着を持った道具を使っているとより深くキャンプに埋没できて満たされるんですよね。
日常では決してやらない使い方ができた満足感というか、それに取り憑かれた結果が野営というスタイルなんだと思います。個人的にはキャンプのエンターテイメント性を強めたスタイルだと思っているんです。
9月29日発売の『CAMP HACK MAGAZINE』だけの情報も!
2021年9月29日(水)発売のCAMP HACK初の公式BOOK『CAMP HACK MAGAZIE』では、ここでは紹介しきれなかった「加瀬さんがいま気になっているアイテム」の情報も掲載しています。
また、公式BOOKではその他にも、編集部おすすめキャンプギアや最新ファッションアイテムの紹介、ソロキャンプ料理レシピなど情報満載なので、ぜひ全国の書店で手にとってみてください!
公式BOOK『CAMP HACK MAGAZINE 』
『CAMP HACK MAGAZINE』の詳細はこちら
撮影協力/白岩渓流園キャンプ場