インタビュー!「ペレグリン・デザイン」って何者ですか?
ブランド立ち上げのきっかけは?
10代の頃から友達とキャンプに行っていたという、根っからのアウトドア好きの見城さん。ブランドを立ち上げたきっかけは、2007年頃まで遡ります。
当時は日本で買えるギアの選択肢が少なくて、知り合いが持っていたアメリカ製のバイヤーのウッドテーブルがすごくかっこよかったのを覚えています。
自分も欲しくて探したんですけど、バイヤーがアメリカ生産を辞めてしまったので、まったく手に入らなくなってしまったんです。日本製では似たようなテーブルが見当たらなかったので、「ないなら自分で作ろう」とDIYをはじめたのがきっかけです。
原点はホームセンターの工作室
当時は誰もガレージブランドなんてやっていなかった時代。理想のウッドテーブルを作るべく、見城さんはホームセンターの工作室に通って、試作を繰り返したようです。
そんな流れで完成したのが、ブランド一号機となる「ウィング テーブル(写真下)」。コンパクトに折りたためるローテーブルで、今でも人気のロングセラー商品です。
2010年に開催されたGO OUT CAMPで、ブース出展のお声がけをいただいたんです。完成したばかりの「ウィング テーブル」を持っていったら予想以上に受注が入りまして。
みんなこういうテーブルを探していたんですね。当時は競合ブランドも少なく、作れば売れるという時代でした。
この頃には北海道の工場との取引もスタート。右も左もわからない状況のなか、ペレグリン・ファニチャーというブランドが産声をあげたのです。
企画、デザイン、営業、販売、生産管理……全行程に携わる
立ち上げから10年。企画、デザイン、営業、販売、生産管理と、すべての工程に携わる見城さん。カメラマンとしての仕事もやりながらの運営は、さぞかし大変ではないでしょうか?
よく、好きじゃないとできないといいますが、狂ってないとできないです(笑)。0→1の仕事はすごく面白いけど、工場から納品された商品の検品や仕上げ、包装や発送など、夜な夜な作業していますね。
いまはスタッフが1名いるので、大いに助かっています。春先の新製品が納入される時期は特にやばいです(苦笑)。
社員を5~6人雇って、海外の工場で量産するという選択肢もあるが、見城さんの理想は“手の届く範囲、目の届く範囲”でのブランド運営。自分がやりたいことを優先した結果、いまのスタイルを続けているそうです。
ペレグリン・デザインが木にこだわる理由
ペレグリン・デザインといえば、ぬくもりのあるウッド製品が魅力。商品ごとに、ヒノキやタモ、杉といった素材を使い分けているあたりにもこだわりを感じます。
もともと木が大好きで、森林に関する本もたくさん読みました。日本は国土の80%が森林なのですが、家具などに使われている木ってほとんどが外材。
日本の木って全然使われていないし、手入れされていない山もすごく多い。それなのに、花粉がひどいと騒いでる(笑)。せっかくなら日本の木材を使って、少しでも日本の森林のためになればと思っています。
数ある商品の中でも一番売れているという鍋敷き「スター」には、飛騨高山で作られた圧縮杉を使用。やわらかい杉を窯に入れてプレスしたもので、強度が高く、通常の杉よりも高価な部材です。
シナやラワンといった外材を使えば単価も押さえられるそうですが、環境循環の力になれればという思いで選んでいるのだそう。こういったストーリーを聞くと、手に入れたあとの愛着が増すというものです。