ウッドファニチャーが人気の「ペレグリン・デザイン」って何者?【人気ガレージブランドの裏話vol.6】

2021/04/16 更新

情報が少なく、ベールに包まれていることが多いガレージブランド。どんな人が、どんな想いでプロダクツを生み出しているのか? 今回はガレージブランド黎明期から活動を続ける老舗「ペレグリン・デザイン(旧:ペレグリン・ファニチャー)」の見城さんに詳細を聞いてきました。

アイキャッチ・記事内画像撮影:比留間保裕

人気ガレージブランドをクローズアップ

大手メーカーによる大量生産品とは違い、職人技術やハンドメイドにこだわった高品質なアイテムが人気を博すガレージブランド。少量生産ながらもここ数年で人気がうなぎ登りのアイテムも少なくありません。

そこでこの企画では人気のガレージブランドにスポットを当てて、そのヒストリーと魅力に迫ります!

第6回目は「ペレグリン・デザイン」


ガレージブランドの先駆けとして、2010年頃にデビューした「ペレグリン・デザイン(旧:ペレグリン・ファニチャー)」は、アウトドアに精通したカメラマン見城了さんが手掛けるブランド。

木のぬくもりを感じるファニチャー製作からはじまり、2020年にヒットした蚊取り線香ホルダー(写真上)まで、キャンパーたちの痒いところに手が届くこだわりのギアが人気です。

立ち上げのときは「ペレグリン・ファニチャー」という名称でしたが、家具以外のアイテムも扱うようになったので「ペレグリン・デザイン」に改名しました。

ペレグリンは直訳すると“隼”。放浪する、旅人、さすらう、みたいな意味もあります。中学の時にたまたま見つけた言葉だったんですが、ブランドのコンセプトにぴったりだと思って命名しました。

立ち上げから10年が経った現在でも、精力的に新製品を発表し続けているペレグリン・デザイン。

今回は都内某所にある見城さんの事務所兼アトリエへお邪魔して、立ち上げのきっかけからモノ作りへのこだわり、この先の展望について聞いてきました。

インタビュー!「ペレグリン・デザイン」って何者ですか?

ブランド立ち上げのきっかけは?


10代の頃から友達とキャンプに行っていたという、根っからのアウトドア好きの見城さん。ブランドを立ち上げたきっかけは、2007年頃まで遡ります。

当時は日本で買えるギアの選択肢が少なくて、知り合いが持っていたアメリカ製のバイヤーのウッドテーブルがすごくかっこよかったのを覚えています。

自分も欲しくて探したんですけど、バイヤーがアメリカ生産を辞めてしまったので、まったく手に入らなくなってしまったんです。日本製では似たようなテーブルが見当たらなかったので、「ないなら自分で作ろう」とDIYをはじめたのがきっかけです。

原点はホームセンターの工作室


当時は誰もガレージブランドなんてやっていなかった時代。理想のウッドテーブルを作るべく、見城さんはホームセンターの工作室に通って、試作を繰り返したようです。

そんな流れで完成したのが、ブランド一号機となる「ウィング テーブル(写真下)」。コンパクトに折りたためるローテーブルで、今でも人気のロングセラー商品です。

 

2010年に開催されたGO OUT CAMPで、ブース出展のお声がけをいただいたんです。完成したばかりの「ウィング テーブル」を持っていったら予想以上に受注が入りまして。

みんなこういうテーブルを探していたんですね。当時は競合ブランドも少なく、作れば売れるという時代でした。

この頃には北海道の工場との取引もスタート。右も左もわからない状況のなか、ペレグリン・ファニチャーというブランドが産声をあげたのです。

企画、デザイン、営業、販売、生産管理……全行程に携わる


立ち上げから10年。企画、デザイン、営業、販売、生産管理と、すべての工程に携わる見城さん。カメラマンとしての仕事もやりながらの運営は、さぞかし大変ではないでしょうか?

よく、好きじゃないとできないといいますが、狂ってないとできないです(笑)。0→1の仕事はすごく面白いけど、工場から納品された商品の検品や仕上げ、包装や発送など、夜な夜な作業していますね。

いまはスタッフが1名いるので、大いに助かっています。春先の新製品が納入される時期は特にやばいです(苦笑)。


社員を5~6人雇って、海外の工場で量産するという選択肢もあるが、見城さんの理想は“手の届く範囲、目の届く範囲”でのブランド運営。自分がやりたいことを優先した結果、いまのスタイルを続けているそうです。

ペレグリン・デザインが木にこだわる理由


ペレグリン・デザインといえば、ぬくもりのあるウッド製品が魅力。商品ごとに、ヒノキやタモ、杉といった素材を使い分けているあたりにもこだわりを感じます。

もともと木が大好きで、森林に関する本もたくさん読みました。日本は国土の80%が森林なのですが、家具などに使われている木ってほとんどが外材。

日本の木って全然使われていないし、手入れされていない山もすごく多い。それなのに、花粉がひどいと騒いでる(笑)。せっかくなら日本の木材を使って、少しでも日本の森林のためになればと思っています。


数ある商品の中でも一番売れているという鍋敷き「スター」には、飛騨高山で作られた圧縮杉を使用。やわらかい杉を窯に入れてプレスしたもので、強度が高く、通常の杉よりも高価な部材です。

シナやラワンといった外材を使えば単価も押さえられるそうですが、環境循環の力になれればという思いで選んでいるのだそう。こういったストーリーを聞くと、手に入れたあとの愛着が増すというものです。

アイデアは枯れない!注目の新作も続々登場


数多くの商品を世の中に送り出してきたペレグリン・デザインですが、いまだに作りたい商品のアイデアは次々に湧いてくるそうです。

思いついたことはまずラフスケッチを書きます。そして、自分でできるものはDIYで試してみて、設計のベースを考えています。

アイデアはいつか枯れるかなと思っていたのですが、意外と枯れませんね(笑)。いまでも作りたい商品がどんどん浮かんでくるんです。


取材当時、春の新作として開発を進めていたのが、人気のLEDランタン「ゴールゼロ」用のウッド製シェード。

ろくろを使って木製の椀など作っている木地師の方に作ってもらっています。まだサンプル段階で、いろいろと改良点を修正しながら製作していますが、まもなく完成予定です。


もうひとつ、自宅のワークスペースとしても活用できる新作テーブルが「ホーススタンド・ワイドモデル(フルセット)」。

2021年始めに発売したナローモデルのワイド版です。キャンプのメインテーブルとしてはもちろん、僕は事務所のパソコンデスクとして愛用しています。

収納力もたっぷりあって、分解・組み立ても簡単。ハの字に開いた脚の部分は2度傾いているので、荷物を置けば置くほど安定してきます。

天板やホーススタンド部分には穴が空いているので、ロープを通せばハンガーとしても使える拡張性の高さも魅力です。

今気になっているのはグリーンウッドワーク


取材の終盤、突然、青竹を取り出して作業を始めた見城さん。手際よく切って割って、ナイフで削り出しましたが、一体、何が始まるんですか?

実は最近、竹やぶを手に入れまして(笑)。その竹を使って、グリーンウッドワークとか面白いかなと考えています。カービングナイフを使ってカトラリーとかカップをクラフトするのが盛り上がってきているので、それを竹を使って提案できないかなと。


まだまだ構想段階のようですが、思いついたら即行動する見城さん。アトリエに用意されたさまざまな道具を駆使しながら、妄想を具現化していきます。

焚き火をしながらでもいいですし、休日の自宅のベランでもいいんです。家時間が多くなっているなか、ものを作りたいと考えている男性が増えていると思うので、そういった時にすぐにできるDIYクラフトキットみたいなのが面白いかなと思っています。

ただ、商品化する時間がないので、当分は日の目を見ないかもしれませんが(笑)。

人生を楽しみたい人に手にとって欲しい


モノ作りは、突き詰めるとキリがない作業。デザインと価格と機能の折り合いを、どう落とし込むかが難しいと見城さんは言います。

買う人たちの顔を思い浮かべて、その人たちが買える値段というのは意識しています。人生を楽しみたいと思っている人たちに手にしてもらわないと、意味がないですから。

過去の連載はこちら



 

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フリーランスのエディター/ライター。8歳からキャンプをはじめ、現在は二人の子どもを連れてのファミリーキャンプに勤しむ日々。「外でも家のようにくつろぐ」をテーマに、快適でお洒落なキャンプスタイルを探求中