野営を思わせる無骨な雰囲気を存分に楽しみたい!
お気に入りのギアをクルマやバイクに積み込み、わざわざ不便な山の中で無言の一夜を過ごす。その名の通りソロキャンプは、あえて孤独を楽しむ、ある意味では非常にストイックな大人の遊びとも言えます。
こうした静かな孤独で得られるのは、普段の生活ですり減った心の回復、あるいは気持ちのリセットであると、熟練のソロキャンパーたちは口々に教えてくれます。スマホの電波も届かず、都会の喧騒や文明の利器からあえて距離を置くことで、肉体的には疲れても精神的な解放が待っている……。
そんな特別な時間を過ごさせてもらうフィールドになるべく負荷を与えず、かつ外遊びならではのローテク感に浸れる新定番の6つのギアにフォーカスします。
お話をうかがったソロキャンプの達人たち
男前キャンパーたちが愛用するギア6選+α
その1 フュアハンドランタン
1893年にドイツで誕生したオイルランタンのパイオニアにして、シンプルながらも強風にも耐えうる設計から別名ハリケーンランタンの呼び名もで知られる名門。
亜鉛メッキ処理されたマットシルバーのベーシックモデル「ベイビースペシャル276」は、中でも人気を集める定番モデルのひとつです。
灯油を燃料に使用できるため光量もほどほどで、サイト全体を照らせるワケではありませんが、手元回りを照らすには必要十分。構造も単純ですので、初心者の方にも扱いやすいと思います。ちなみに僕も初めて買ったランタンがフュアハンドでした
昔から変わることのない王道スタイルですし、何よりコスパが最高ですよね。燃料も灯油でネット通販などでも簡単に入手できますし、ソロメインならひとつ持っておくと雰囲気作りにも便利。とはいえ、今日的なLEDほどの光量は期待できないので、あえて夜の暗さを楽しむためのギアかと
サイズもコンパクトで軽いですし、初心者でも扱いやすい構造がやっぱり良いですね。明るさよりも雰囲気を重視したいタイミングで使っていきたいギアのひとつ。限定モデルなどバリエーションも意外と豊富なので個性も出しやすいと思います
フュアーハンド ランタン 276
●重量:530g
●燃焼時間:20時間以上
●燃料:灯油もしくはランプ用オイル
●スチール、亜鉛メッキ
その2 グリルスタンド(メッシュテーブル)
収納時はコンパクトに折りたためるメッシュトップのアイアンテーブルも、尾上製作所「マルチスタンド」、キャンプマニア「グリルスタンド」、テントファクトリー「FDテーブル」はじめ、国内外の多くのブランドからリリースされ、今やAmazonベーシックでも展開される定番ギアのひとつとなっています。
テーブルにも焚き火台にもなる1台で二度美味しい便利ギア。特に尾上製作所のものは、ひとつのギアで色々な用途で使用できるものが多く、コストパフォーマンスにも長けています。アイアンなので若干重さはありますが、車に荷物を乗せての移動なら問題ないかと
タフさはもちろん、ずっしりとしたアイアンの趣きが気に入っています。調理台にもテーブルにもゴトクにも使えて便利ですし、ダッチオーブンまで使えてこのコスパ。もちろん、クルマありきの選択肢になってしまいますが、無骨な雰囲気作りには欠かせません!
アイアンなので炭火や直火にかけたものをそのまま置けますし、個人的にはメインテーブルというよりもサブ的に+αとしての使い道が中心です。何より見た目が無骨なので、より男前なサイトに仕上げるならウッドより正攻法かもしれませんね
尾上製作所 マルチスタンド S
●天板サイズ:W450×D400mm
●重量:3.1kg
テントファクトリー FDテーブル 450
●サイズ:幅45×奥行45×高さ26cm
●重量:2.8kg
●安全耐荷重:20kg
YOLER アウトドアテーブル 専用ケース付
●素材:鉄, 合金鋼
●重量:1.6 Kg
●耐荷重:15kg
その3 モーラナイフ
1891年にスウェーデンにて設立されたブッシュクラフトナイフの代名詞。火口となるフェザースティックの削り出しや、バトニングにも使えるほどにタフな作りと優れたコスパが何より魅力。
特にステンレススチール刃の「Bushcraft Forest(ブッシュクラフト フォレスト)」や「Companion(コンパニオン)」シリーズはサビにも強く初心者にもオススメです。コンパニオンシリーズにはカーボン刃もありますが、切れ味が鋭く、錆びやすいという特性が。これらは用途や好みで選ぶといいでしょう。
フェザースティック、バトニング、どちらにも最適な1本。ぼくがメインに使っているミリタリーもののサバイバルナイフに比べ、かなり軽いので持ち運びにも適していますね。価格的にも細かいことは気にせず使えるので、初心者の方にもオススメできるナイフのひとつです
ギアの中でも本格的なナイフは高価な部類ですが、そんな常識を覆した好コスパナイフの代表格ですね。オピネルという選択肢もありますが、バトニングやブッシュクラフトを楽しみたいならこちらが正解。友達の甥っ子にもファーストナイフとしてオススメしました
もうひとつの定番でもあるオピネルだと、若干フェミニンな雰囲気もありますし、より男らしいスタイルを追求したいならモーラが王道的な選択かなと。バリエーションも豊富で、何気にスウェーデン王室御用達というのもモノにこだわる我々としては惹かれる要素ですよね
モーラナイフ ブッシュクラフト フォレスト
●刃素材:ステンレススチール
●刃長:約109mm
●全長:約232mm
●刃厚:約2.5mm
●重量:約101g
モーラナイフ コンパニオン
●刃素材:ステンレススチール
●刃長:約104mm
●全長:約219mm
●刃厚:約2.5mm
●重量:約84g
その4 ファイヤースターター
“不便や不自由を楽しむ”ソロキャンプならでは、ブッシュクラフト由来のファイヤースターターも今や神器のひとつです。
マグネシウムやフェロセリウムのロッドと付属のストライカーやナイフを使って火花を散らし、火打ち石感覚で種火を熾せれば、キャンプだけでなく緊急時にもヒーローになれちゃうかも。
そのときの天候によっては、火の着き具合が良くないこともありますが、何よりアナログ感が魅力的。マッチやライターを使えば、すぐ火熾こしできますが、あえて不便さを楽しむときや野営感を感じたいときに使っています
ぼくはサーフィンもするので、海の帰りなどにソロでデイキャンプを楽しんだり、ちょっとした調理をする際など、じつは火を熾すところから遊びが始まっています。長年A&Fのオリジナルを使っていますが、一発で着いたときは今でもやっぱり快感ですよ
ぼくはタバコを吸わないので、ライターやマッチを携帯をする習慣がそもそもないのですが、ファイヤースターターは超コンパクトなのでキーホルダーにつけておけば何かと便利。アウトドアエレメント「ファイヤービナー」のリアルツリーカモモデルを使っています
ブッシュクラフト メタルマッチ
●サイズ:108x27x20mm
●ロッド:約60x9.5mm
●重量:55g
【ストライカー】
●サイズ:94x22x21mm
●重量:15g
アウトドアエレメント ファイヤービナー
●サイズ:80×35mm
●総重量:28g
●耐荷重、抗張力:22kg
●内容:ブレード、栓抜き、スクリュードライバー、ファイヤーホイール、フェロロッド
その5 焚き火シート(スパッタシート)
火の粉が直に芝生やウッドデッキに落ちるのを防ぐ耐火シート。もともとは溶接用のスパッタシートを代用していたものの、近年のキャンプブームからアウトドアブランドからもラインナップされるようになりました。
自然環境にインパクトを与えない、そんな最低限のマナーを守れてこそ男前ソロキャンパーですよね。
野営や直火NGのキャンプ場に行った際は、重宝するアイテムです。撤去の際、灰の処理もかなりラクになるのでオススメ。巻いたらよりコンパクトになり、荷物としても苦になりません
自然にダメージを与えないという考え方は、アウトドアズマンの心得として不可欠です。キャンプブームの今だからこそ、今後も様々なブランドからより面白いものが出てきそう。ただ、耐久性がそれほどないものなので、さらに耐久性があるものに期待します
キャンプ場として整備されていない場所で野営することもあるので、よりマナーは大切にしています。焚き火台を頻繁に変えるのは難しいですが、シートひとつで雰囲気も変わるので、今後はデザイン的にも優れたモデルに期待しています
ロゴス たき火台シート ワイド
●サイズ:幅130×奥行80cm
●収納サイズ:幅15×奥行22×高さ2.5cm
●素材:ファイバーグラス
NOCNEX スパッタシート
●収納時:17cm×23cm
●総重量:約381g
●素材:ガラス繊維+シリカコート
その6 シンプル&コンパクト鉄板
ソロでは基本的に炭を熾さないというキャンパーが大半です。つまり火器は、バーナーか焚き火ということになりますが、その両方に使えるシンプルな鉄板がいま急速にシェアを拡大しています。
直火のように焦げにくく、スキレット感覚で焚き火にもガンガン突っ込める無骨感にも気分が高まりますね。
ハンドルの着脱が可能なモデルも多く、コンパクトになるので持ち運びにも便利。特にソロだったら大きな鉄板も必要ないですし、気楽に持っていけるサイズ感がイイですね。肉のカタマリを焼き、鉄板に乗せたまま食べれるところも良い点です
一人鍋ならぬ一人焼肉として一大ブームになりましたね。これまではコフランの「キャンプクッカー」(ホットサンドクッカー)をバラして使っていたので、まだ試したことはないのですが、最近はソロを意識した小さなモデルも多いですし、取り入れてみたいギアのひとつですね
位置をズラして火加減調整できますし、直火よりも美味しく仕上がるのは当然かと。とはいえ、ぼくはソロだろうと、肉も野菜も魚も食べたいので、できれば大きめが嬉しい。ソロ用だったら2~3枚使うことになるので、多少荷物になってでもやや大きめを選んでいます
アウトドア鉄板 キャンプ 野外用 男爆鉄板
●寸法:約90mm x 150mm
●焼き面積:約55mm x 115mm
●重量:約460g
●素材:鉄
ベルモント 極厚鉄板
●重量:約1.5kg
●素材:
黒皮鉄板、ハンドル/ステンレス
収納ケース/コットン
ユニフレーム ユニ鉄
●材質:ダクタイル鋳鉄(FCD)
●重量:1.45kg
BUNDOK 極厚鉄板6mm
●厚み:6mm
●重量:2560g
プラスαその1 焚き火用陣幕(リフレクター)
海外のブッシュクラフト動画などを観ると、焚き火の風除けや反射板として小さな垣根を組んでいることがあります。その持ち運びできる既製品が焚き火用の陣幕です。
グループキャンプのようにみんなで暖を取るのではなく、最初からソロやデュオ用に設計されているので極めてコンパクト。最近は100均グッズで自作するキャンパーも急増中です。
風が強いときや、冬場の焚き火で芯から暖まりたいときに使用しています。コットン地でできているので、火の粉で生地に穴が開く心配もそれほどなく、混んでいるキャンプ場では、目隠し感覚での使用も可能です
焚き火を覆ってしまうのでソロかデュオに限定されますが、あまり木のない吹きさらしのフィールドで重宝します。風除けや輻射熱はもちろんながらら、個人的には秘密基地っぽいこじんまりとした空間が作れるのがお気に入りのポイントです
子供の頃にダンボールで基地を作ったように、自分だけのテリトリーを作れる、まさにソロ向けのアイテムですよね。……じつはまだ使ったことはないんですが、気になるギアのひとつ。広大なアウトドアでも自分のエリアを作りたい照れ屋な方にとって画期的なギアだと思います
ロゴス TAKIBI de JINMAKU
●サイズ:90×90×101cm
●幕帯:90×86×90cm
●収納サイズ:14×56×7cm
●主素材:ファイバーグラス(シリコンコーティング)、スチール
FLYFLYGO 焚火陣幕
●収納サイズ:90cm×φ10cm
●重量:6.2kg
プラスαその2 焚き火ハンガー
調理、仕込み、湯沸かし、保温などなど、焚き火ひとつで様々な火加減に対応しつつ、やりたいことを一気に済ませたいなら確実に選択肢に入ってくるはず。
重量が若干気になるものの、アフターケアの簡単さと鉄ならではの質感はやっぱり魅力。サイトの無骨さを格上げしてくれる見た目にも気になるプラスαギアのひとつです。
あまり荷物を広げたくないとき、特に夜や暗い時間帯に重宝します。ランタンを掛けたり、ケトルやスキレットを置いたり、火吹き棒を立てかけたり、身の回りのものを全てハンガーにまとめられるのでとても便利
ソロ需要の伸びを実感できるギアですよね。本来なら何品か調理する際の火加減調整を目的としていると思うのですが、多くのソロキャンパーさんは身近なギアをひとまとめにハンギングして使っているようですね
調理だけでなくグローブやランタンを掛けたり、ラック感覚で使っていますが、個人的にはソロだと重量が若干気になるのでメインはグループキャンプ。サイトを無骨な雰囲気に仕上げるには最適なギアですね
ペトロマックス ファイヤーアンカー FLYFLYGO 焚き火台 ファイアスタンド 収納バッグ付き
●サイズ:103.5×83.5×20cm、アーム長さ/20cm、グリル/40×40×2cm
●重量:6.7kg
●重量:3.2kg
●材質:スチール
自分のスタイルに合ったギア選びを!
ソロキャンプ人口急増中のいま、多くのブランドからシーンに特化したギアがリリースされています。ここで紹介した6ギア+αだけでなく、それぞれのスタイルに合った様々なギアがこれからも注目されることでしょう!
とはいえ、無骨派、UL派、コスパ派とソロキャンプの流儀も人それぞれ。自分のスタイルにハマるギアを探すのもまた、ソロキャンプの醍醐味と言えるのではないでしょうか。