知らないと時代遅れ!?アウトドアの新素材
日ごろからキャンプやアウトドアを楽しむ方ならば、ウェアやアイテム選びで重要視するのは「シーンを問わずタフであること」が大きなポイントではないでしょうか。
とはいえデザイン面では「アウトドア感」が強いものがほとんどなため、タウンではコーディネートが限られることもしばしば。
2018年秋に誕生した新しいゴアテックス
ところが、こんなアイテムもあるんです。一見革ジャンですが実はこちら、気候変化の激しい地域でのトラベルシーンに合わせてモンベルが作った「アウトドア・タウンの両用がコンセプト」のジャケットです。
新素材ゴアテックス・インフィニアム™️をメイン素材にしたことで、革ジャンに防水性・耐久性・透湿性もかね兼ね備えたうえで柔らかな着心地も実現しています。
なんと鉄より15倍も強い繊維!?
さらにこちらは鉄の8〜15倍の強度を持つ繊維・スペクトラ®︎ファイバーを採用したグレゴリーのデイパック。「バッグのロールスロイス」と呼ばれる背負い心地の良さはそのままに、さらなる強靭な耐久性とファッション性を両立。
4つの新素材を知ることで、アウトドアの楽しみ方が広がる!
近年アウトドア向けのウェアやアイテムの新素材は、機能や性能だけでなく着心地やファッション性との両立を推し進めています。
このように、現在アウトドア界には気になる新素材を使ったアイテムが続々。そこで今回は注目の4つの新素材と、それらを採用した人気アイテムを紹介していきます。
着心地優先のゴアテックス新素材「ゴアテックス・インフィニアム」
ゴアテックス・インフィニアム™️は、2018年に登場したゴアテックスの新シリーズ素材。柔らかな着心地と軽さを進化させた一方、着心地の悪さの原因であるシームテープを省略できるため完全防水になるとは限りませんが、優れた耐候性を発揮します。
ゴアテックス・インフィニアム™️を採用しつつ、ファッションアイテムとしてアウトドアテイストの防寒ジャケットに仕上げたのが、ゴールドウィン「GTX インフィニアム フーデッドジャケット」。
街からアウトドアへ、そして秋冬キャンプにもピッタリの1着。まさに適材適所の新素材アイテムです。
一番は何と言っても「柔らかな着心地」
ゴアテックス・インフィニアム™️自体は本家ゴアテックスと同じように、糸を織った生地ではなく薄膜フィルム。他素材と貼り合わせて(メンブレン構造)衣服素材となります。
機能も本家と同じく雨風を通さず水蒸気を逃しますが、シームテープの省略で完全防水ではなくなります。
ゴアテックス・インフィニアム™️の持つ恒久的に保水しない素材特性や、高い防風性、冷気の遮断性を活かしたモンベル「イグニスダウンパーカ」。
ゴアテックス・インフィニアム™️が冷気をシャットアウトしつつ衣服内をドライに保ち、ダウンの保温性を最大限に活かしてくれます。こちらも街から野外、そしてキャンプへと着まわせるアイテムですね。
ゴアテックス・インフィニアム™️は「完全防水ではない」と前述しましたが、メンブレン構造の組み合わせによってレインスーツにもなります。
ダイワ「DR-19020」は、ゴアテックス・インフィニアム™️のメンブレン構造を2.5層にして防水加工を施すことで、軽くて柔らかいレインスーツに仕上げています。
街メイン?アウトドアメイン?シーンに応じて広がる選択肢
ゴアテックス・インフィニアム™️は本家ゴアテックスが実現する高い防水性能までは必要としないシーンで、軽く着心地のいい快適なウェアとして大活躍します。
見分けは見慣れたゴアテックスの黒いタグに対し、ゴアテックス・インフィニアム™️は白いタグ。
ゴアテックス・インフィニアム™️は、アウトドアウェアだけでなく、タウンウェアや靴などにも採用されていますので、気になる方は店頭で白いゴアテックスタグを探してみましょう。
カシミヤを上回る肌触り「ソロテックス®︎」
ソロテックス®︎は帝人フロンティアが開発した螺旋分子構造を持つ新しい繊維。上質な肌触りやしなやかで高いストレッチ性が主な特徴ですが、それ以外にも沢山の特徴を持っています。
アウトドアウェア用素材というよりは、あらゆる衣類に利用でき、他の繊維との混紡によりさらなる特徴付けが可能。タウン・アウトドアとシーンを問わず、高機能新素材として注目されています。
すでに大人気となっているザ・ノース・フェイス「ドーロライトパンツ」もソロテックス®︎採用のアイテム。
ソロテックス®︎の持つ優れた形態回復性、軽量性、ストレッチ性を活かしつつ、同社のアルパインパンツに近いシルエットを踏襲。動きやすく、膝の曲げ伸ばしを繰り返してもシワになりにくいのが人気の秘密のようです。
ザ・ノースフェイス ドーロライトパンツ
スポーツウェアの老舗・デサントからもソロテックス®︎を用いたフード付きジャケットがリリースされています。
動きやすいのに型崩れしににく、ナチュラルな風合い。アウトドアシーンで頼もしい撥水加工も施され、スポーツ、タウン、アウトドアの垣根を超えて使える1着に仕上がっています。
デサント ソロテックス フーデッドフルジップジャケット
バネ状の構造が生む自由自在なストレッチ性
ソロテックス®︎はこのイメージ図のような螺旋分子構造を持っています。まるでバネのようなストレッチ性や、優れた形態回復性を持つのはこのため。
ソロテックス®︎にはこのほか、吸汗速乾性に優れたソロテックス・ドライ®︎や、保温機能を持ったソロテックス・サーモ®︎など様々な特徴を持ったバリエーションがあり、タウンウェア、アウトドアウェア共に今後さらに採用されそうです。
キャンパーとしてさらに注目したいのは、優れた発色性と環境負荷への低減という特徴です。型崩れしにくく色落ちしにくいウェアは長く愛用できます。
そして、ソロテックス®︎を構成するポリマーの37%に植物性原料が使われているため、資源の消費を抑え、温室効果ガスの低減にもつながります。ウェアの素材選びは、こうした観点も大切ですよね。
鉄の15倍の強度を持つ「スペクトラ®︎ファイバー」
スペクトラ®︎ファイバーは、米国ハネウェル社が開発した超強靭な繊維。世界最強でありながら軽量なのが特徴です。その強度は鉄の8〜15倍と言われ、防弾ベストに多用されているアラミド繊維よりおよそ40%も強力!
主に軍事用途や防護用途に用いられていますが、耐久性を必要とするアウトドアアイテムにも使われていて、生地の特性である黒地に白糸の格子柄がデザイン的にも注目されています。
パタゴニアの名品・アルパインジャケットをモチーフに、スペクトラ®︎ファイバーを織り込んだ特別なナイロンを表生地としたCOMFY OUTDOOR GARMENT「スペクトラアルパインジャケット」。
スペクトラ®︎ファイバーの基本生地は黒地ですが、ブラウン生地がベースの2色展開なのが魅力。強靭、軽量、快適なジャケットになっています。
ネックポーチ型のコインケースで、お金を入れておく部分にスペクトラ®︎ファイバーを使用。生地が破けてお金を紛失する心配がなく、スペクトラ®︎ファイバーの持つ紫外線、化学薬品、水、汗などにも強いという特徴を活かしたアイテムです。
他の生地に織り込まれることでより頑丈になる!?
スペクトラ®︎ファイバーは太い繊維とガラス繊維を抱き合わせ、さらに外側から細い繊維を巻き付けた構造が一般的ですが、その他の構造もあるようです。
スペクトラ®︎ファイバーは繊維ですので、リップストップナイロンのように、例えば最強ナイロンのコーデュラ等に織り込み、そうした生地で作ったバッグなどがアウトドア向けアイテムとしてリリースされています。
着心地より強度が優先される素材のため、ウェアへの採用は少ないのですが、バッグなどのアイテムは今後も増えていきそう。
スペクトラ®︎ファイバーのタグは複数存在しますが、こうしたタグが付いたアイテムをアウトドアショップで探してみると良いでしょう。世界最強の強靭な素材ですが、生地の柄が可愛いデザインにも見えるから不思議です。
抜群の通気性と軽量感「ドットエア™️」
東レが開発したドットエア™️は、特殊原糸と織物構造をベースに独自の加工技術で通気孔を形成した快適機能素材。
服飾評論家が「ドットエア™️で作られたスーツなら真夏でも着たくなる」と絶賛したほど抜群の通気性と軽量性を備えています。
ドットエア™️はアウトドア専用素材ではありませんが、抜群の通気性は夏用アウトドアウェアにはぜひとも欲しい機能です。
当然、夏のアウトドア向けウェアとして、ザ・ノース・フェイスから半袖シャツがリリースされています。凝った生地デザインはタウンウェアとしても大いに活躍してくれそうですね。
ザ・ノースフェイス ショートスリーブ ドットエアシャツ
1975年に米国マサチューセッツ州ハドソンで誕生したスポーツ&アウトドアウェアメーカー・ペンフィールドスポーツウェアからは、ドットエア™️を採用した半袖開襟シャツがリリースされています。
抜群の通気性に加え、抜け落ち防止ポケットやカラフルな裾のドローコードなど、オシャレで機能的な装備を施されたシャツは、夏のキャンプにピッタリ。
撥水と通気性の両立を実現した素材
ドットエア™️は構造イメージ図のように、表面に無数の通気孔が規則的に形成され、メッシュのようになっています。さらに耐久撥水や吸水速乾加工も可能なため、撥水と通気性という相反する機能を両立できるというわけです。
抜群の通気性を活かしたサマースーツや作業着など既に多くのジャンルで採用されていますが、アウトドアウェア用としても魅力的な素材ですので、見過ごすわけにはいきませんね。
様々なシーンで着まわせて長持ちするアイテムを選ぼう
昨今の新素材ウェアを見ていくと、タウンでもアウトドアでも着こなせるファッション性と快適性の両立、アイテムを長持ちさせる丈夫さが見受けられます。
1着を様々なシーンで着回し、丈夫さを活かして長く着続けることは、お財布にも環境にも優しい行為です。キャンプウェアの見直しや買い足しの際は、新素材に着目してみてはいかがでしょうか。