ミリタリーなキャンプスタイルと道具
キャンプに携行する加瀬さんのギアたち
ーそこからキャンプ道具を揃えたのですか?
そういうアイテムもありますが、店内にあるミリタリー用品でほぼほぼ賄えてしまったんです。ミリタリーとアウトドアの本質的な合致を強く感じましたね。
ーミリタリースタイルでキャンプをするメリットはありますか?
やっぱりハイスペックなテントのそれとは大きく見劣りしますよ、正直。
でも先ほども言いましたが“野営”感から生まれる道具との一体感はピカイチだと思いますね。身体の一部になるなんて言ったら大げさですが、そんな感じです。
キャンプではぼくは不便さを楽しんでいるので、ハイスペックなものはあえて省きます。すると携行するギアなんかもミニマムに収まるし、そういうところが洗練されるとスタイルにも磨きがかかる気がしますね。
ポーランド軍のポンチョ ¥11,800
ーこれはポンチョですよね?
ポンチョを2枚つなぎ合わせることで、ワンポールテントになるんです。つなぎ合わせると言ってもボタンがついているので簡単に繋ぐことができるので面倒は一切ないですよ。
これは岡山のツリーハウスの前で張らせてもらって一泊したときのワンシーンですが、タープと組み合わせればそれなりに雨もしのげます。テントというよりもあくまでもシェルターの感覚が強いですが、夏場は汎用性のあるインナーなんかと組み合わせれば快適に過ごせます。
そのインナーひとつ選ぶのも、どの品番がどれに対応するか……みたいな既製品の煩わしさは一切ないです。多少合わなくても気にしない、ピッタリあったら儲けモノみたいな感覚でザックリ選んでます。でもそれでなんとかなるもんですよ(笑)。
フランス軍のテント ¥12,800
こっちはシェルターではなくちゃんとした部屋を持つテントです。シングルウォール仕様なので、結露や防水性といった機能的なところを突き詰めたらそれなりに不便ですが、軽量コンパクトですし何しろ見た目がいいですよね。
行軍した軍隊がこのテントを整然と並べて建てている姿を想像するとグッとくるものがあります。
あとコスパも非常に優秀ですね。良い意味で雑に扱えるというか、ギアに近い感覚でガシガシ使っています。そういうキャンプの原風景的なものを楽しめるってのもミリタリーキャンプを始めてからの気づきでした。
ミリタリーキャンプにはキャンプの原風景がある
ミリタリーキャンプには整地とは縁遠い環境で行われる野営的要素を帯びた姿がある。それを加瀬さんは「キャンプの原風景」と言います。
キャンプをするために自然環境に飛び込むのではなく、自然環境の中にいるからキャンプを強いられる。そんな一見ストイックなミリタリーキャンプの、加瀬さん流の楽しみ方は機能至上主義となっている現在のキャンプの風潮に一石を投じています。
機能を楽しむということはもちろん大賛成です。それは素晴らしいことですし、楽しいこととももちろんわかっています。でも今は、機能よりも風景に溶け込むキャンプサイトを作ることの方が自分は楽しくて。その中でちゃんと機能も楽しんでいるんです。
ちょっと変わっていますが、今はこのスタイルでキャンプをさらに楽しみたいと思っているんです。