あのナショジオから、すごいテントが出たらしい
ナショナルジオグラフィック社といえば、100年以上前から世界中の地理の研究をメインに、様々な探究や冒険をサポートしてきた機関。
そんな世界的に有名なメディアがテントを? と、にわかに信じがたく思っていたのですが、どうやら鎌倉天幕とのコラボレーションでリリースされた模様。
あまり聞き慣れないブランドかと思いますが、鎌倉天幕とは、じつは多くのアウトドアブランドのテントを作ってきたOEMメーカー(ニューテックジャパン)が始めたブランドなんです。そんな“テント屋”と手を組み、ナショジオらしい高い感度の視野でテントを開発したとなれば……これは期待してしまいますね。
2ポールシェルター「HIDEOUT(ハイドアウト)」に注目
今回発売されたテントのラインナップには、トンネル型、ドーム型、スクリーンタープなど様々な種類が。しかしその中でも、注目したいのが新型ツーポールシェルターの「ハイドアウト」。
画像を見て分かるように大きなサイズのシェルターで、形や格好は、MSRの名作「パビリオン」に似ています。どうやらパビリオンよりも大きく、細かい部分の作り込みがスゴいらしいんです。
今回は実物を手に入れたので、実際に張って試してみましょう!
ナショナル ジオグラフィック ハイドアウト
ナショナルジオグラフィック、ニューテックジャパンについて
野生動物の生態から地球環境の未来まで。ナショナル ジオグラフィックの収益は「地球を知る」ためのさまざまな調査・探検の支援及び環境保護に役立てられています。この活動に、株式会社ニューテックジャパンは共感し、新しくアウトドアブランドとして立ち上げ、モノづくりを通じて支援を行っています。
人気の「ヘキサライト6P」と比較しながら設営開始
収納状態はやや大きめ
まずは収納バッグに入った状態から見てみましょう。しっかりとした作りの収納袋が好印象。
※ハイドアウトは、DACポール付き(HIDEOUT-DAC)・なし(HIDEOUT)の2モデルから選べます。今回はDACポール付きモデルを紹介していきます。
側面のポケットに「NATIONAL GEOGRAPHIC」のタグが。
その下には鎌倉天幕のピスネームも。
ウェービングテープがバッグの横に2本、さらになんと縦にも1本! 取り付けられていて、収納後にさらに絞ってコンプレッション(圧縮)できるようになっているのが素晴らしい。しっかりとした作りの収納バックです。
肩掛けにして担いでみたところ。約80(長さ)×30(直径)cm。
こんなふうにしてザックのように担ぐことも可能ですね。重さはポールが2本付いて約11.5kg。大人の男性であれば全く問題ない重さです。
人気の2ポールシェルター・ニーモのヘキサライト6Pと、収納サイズを比べてみました。2周りくらい大きいのがわかります。重さも少し重たいです。
信頼性の高いDAC社製ポール付きモデル
開けて広げてまず目に入ったのがこの純正のポール。DAC社製のジュラルミンポールなんですが、こちらも素晴らしい作りでした。
これまでにも上部だけが伸縮して、アジャスタブル構造のものはありましたが、上下部、両方にアジャスターがついているものは初めてお目にかかりました。
今回は試し張りをしただけなので強度の検証まではできませんでしたが、このポールだけでも販売して欲しい!
上下が伸ばせて伸縮調整がとても簡単にできるので、様々な設営シーンで使えますね。
付属のペグとガイライン。ペグは一般的な丸い形状のピンペグですが、先が斜めカットされ少し鋭利になっており、地面に差し込みやすい心配り。
それと、カーキグリーンのガイラインがカッコいい。緑には同化してしまいそうですが……。リフレクターの入ったこのガイラインは、テントの角に付けられたテープ類と同じ色で統一。
ジッパーに付いているプラパーツ。NATIONAL GEOGRAPHICのロゴがエンボスで入っていて質感も高く、滑りにくい作りになっています。
ジッパーは信頼のYKK。しかもメインと内側の異なるサイズのジッパーを二重に並べて縫製してあります。これだけ見てもかなり凝った作りだということが伝わってきます。
ジッパーの外側には風雨止めになるフラップが設けられています。
広げて立てると想像以上の大きさ!
広げてみると……かなり大きいです。スペックを見ると展開サイズは約760(奥行き)×約480(幅)×約245(高さ)cm。
説明書はシンプルでわかりやすい! それだけ簡単に張れるということですね。
まずは四隅を90度に角出しして、ピンと張ってペグダウン。アジャスターのテープは、あとからさらに微調整できるように、真ん中あたりにしておくといいでしょう。
そしてポールを持って中に入っていきます。
ポールの先端に付属のシリコン製のボールを差し込み、その先端を二重になったハトメに差し入れます。
ハトメの受けには、さらに外側にもう一枚テープを入れてあり、ポールの先端の受けになっていました。これなら安心してテンションをかけられるので、この作りはかなり考えられていますね。
ポールを立てて、長さとテンションを調整したら、外に出て出入り口となる両端とシェルターの中腹部分にもペグダウン。
トップにもメッシュの換気口が設けてあります。このおかげで熱がこもりにくく快適です。
ペグダウンするためのテープが出ているところは、ヨットのセールなどでも使われている強力な素材「Xパック」で補強されています。
いよいよ設営完了!気になる居住性は?
各角のアジャスターテープにテンションをかけ、調整して完成です! 両側にそそり立つ、2つのピークの間のカーブの曲線がカッコいい!
色味は少しグリーンがかった薄いグレー。こう見るとMSRの名作、パビリオンを彷彿とさせるビジュアルです。パビリオンはすでに絶版になってしまっていますし、オークションなどに出てもかなりの高値となっています。
完成形もニーモのヘキサライト6Pよりは一回り以上大きいです。2ポールシェルターの中で最大級サイズなのは間違いないでしょう!
実用編!いろいろな張り方を試してみた
数ある大型2ポールシェルターとの違いはここからです。ハイドアウトの機能性の高さを見ていきましょう。
巨大な幕だけどメッシュを多用し、通気性が抜群にいい
メインジッパーに付けられたナショジオカラーのジップコードを引っ張ると、その下にメッシュのウインドウが。クルクルと丸めてまとめ、トグルで留めれば大きなメッシュスクリーンウインドウが現れます。
これが8箇所全ての窓をメッシュにした状態。
向こう側が透けて見えて風通しよし!
さらにメッシュも捲くりあげてフルオープンにしてみたところ、かなりの開放感です。しっかりと閉じてプライベートと気密性を確保することもできるし、メッシュにしたりフルオープンにして、通気や採光を簡単に調整OK。
季節、気温、日が指す方向、風景etc……。シーンに合わせて様々にセッティング変更ができて、状況に応じた楽しみ方が可能ですね。
ポールを追加して全高を上げることで、さらに変形可能
ここからペグダウンしているガイロープを目一杯伸ばし、ポールも上に伸ばしてみました。そうすると……。
伝わるでしょうか? 言ってみればリフトアップスタイル。ポールはまだ少し伸ばすことができたので、隅々にガイラインなどを付ければ、さらに高さを出すことも可能。
ペグを大きめのものにすれば、イベントに出店するような超開放的な使い方もできそう。しかし、風のあるときは危険なので避けましょう。
当たり前ですが、中はかなり広いです。中にもう1つ小さめのテントを張る、カンガルースタイルもお手のものですね。両端に1つずつ張って、センターをリビングにしても◎。
手持ちのポールを追加して、さらに横面のセンター部分だけを跳ね上げたスタイルです。
もはや原型が分からないくらいトランスフォームしています。空を飛ぶ最新鋭の飛行機のようでもあり、カッコいいですね。
今度はその対面の横一面を閉じてから、ジッパーを閉じ、ポールを追加して全部を跳ね上げてみました。生地はリップストップ(裂け止め)の入ったポリエステル製で、パビリオンほど厚くはありませんが十分な強度。
ジッパーが多い分、普通は重量が重くなってしまいますが、それを補うためにも生地は薄めにしたのかも知れません。十分に軽量化されています。
一般的に、軽量化された薄い生地だと日差しを十分に遮ることができず、下にいるとかえって暑かったりすることもあるのですが、この生地は影の濃さも十分だと感じました。
どうです、この開放感。反対側の面も同じようにすれば、超ビッグなタープになりますね。撮影時は炎天下で気温も高かったのですが、大きな面で日陰が作れたためか、心地よい風が抜けてくれました。
このシェルターを使いだしたら、オープンタープは必要無いってことになってしまいそう!?
細部まで気を配った嬉しい便利機能
テントの端には、ペグダウンする場所が内と外に2箇所設けてあります。
普段は外側だけをペグダウンしておくだけでも全く問題ありません。しかし、雨や風が強くなってきたときには、外と内側の2箇所をペグダウンすることで、内側のペグから外はフラップになり、スノースカートのような役割も果たしてくれるんです。全高も低くなり耐風性も向上し、雨の浸入を防ぐ効果も。
MSRのパビリオンや、スノーピークのランドステーション、オガワのツインピルツなどなど、大きめサイズの2ポールのシェルターは多々ありますが、ここまで展開法を可変でき、ユーティリティに富んだものを筆者は知りません。感心しました。
少し気になった点
追加でこのオプションも欲しい!
欲を言えば、かなり大きいサイズのため、2ルームテントのようなハーフサイズくらいのインナーテントが別売りで欲しかったですね。ほかのシェルターたちとの差別化もできるので、オプションで発売されないかなぁ……。
色は好みが分かれそう
色についてはカラーバリエーションが無いため好みの分かれるところ。売れ筋で考えれば、サンドベージュ系やカーキグリーンの色味になるんでしょうが、先行ブランドがたくさんあるので、この色に落ち着いたのでしょうか。
ですがこの色合いが、日の当たり方や角度によって微妙に表情を変えてくれます。直射日光が強く当たると反射して生成り色のようにも見えますし、日陰になるとしっとりとした落ち着いた色になります。
結果的には大満足!だから後日購入することに
じっくりと試してみて、今までにないツーポールシェルターだと実感。DAC製のポール自体も優秀でしたし、それを買わずとも幕だけ購入できる選択肢を用意してくれている心意気も好感が持てます。
メッシュ化できて虫の侵入を防ぎ通気性も抜群、長さの違うポールを足して使えば様々にアレンジができて、使う人の想像力を掻き立てるいいシェルターでした。あまりにも気に入ってしまったので、購入を決めまちゃいました(笑)!
ナショナル ジオグラフィック ハイドアウト(ポール別売り)
ナショナル ジオグラフィック ハイドアウト