台風が直撃したキャンプ場「白浜フラワーパーク」はいかにして復興したか?

2019/03/14 更新

千葉県房総半島の南端に、白浜フラワーパークという人気キャンプ場があります。かつてここに季節外れの大型台風が上陸し、多大な被害が発生しました。そこで名物管理人ヨネさんがとった行動とは……。人と自然のつながりの大切さを教えてくれる、キャンプ場復興のストーリーをお届けします。


アイキャッチ画像撮影:I.Takahashi

予約が取れない超人気キャンプ場が……

撮影:I.Takahashi
千葉、房総半島の南端に「白浜フラワーパーク」というキャンプ場があります。ロケーション抜群なシーサイドキャンプ場として絶大な人気があり、予約もなかなか取れないほど。

しかし、過去にこの人気キャンプ場を大きな自然災害が襲い、存続も危ぶまれるほどの大打撃を受けたのです。

撮影:I.Takahashi
そんな経緯のある白浜フラワーパークを現在まで取りまとめて管理しているのが米原草太さん。通称ヨネさんです。

災害時、いったいここでどんな悲劇が起こり、どう対処していったのかーー。アウトドアライターのケントスが、ヨネさんに一連の経緯をうかがってきました。


災害に巻き込まれるまでは、すべてが順調でした

撮影:I.Takahashi
白浜フラワーパークを訪れたこの日は青空が広がる最高の天気。まだ気温はそれほど高くありませんが、どこか南国の雰囲気を漂わせる心地よい立地です。


ケントス
いや~はるばる房総の最南端まで来た甲斐のある、素晴らしいロケーションですね!


ヨネさん
今日みたいに天気のいい日は最高ですね! 夕焼けも綺麗なんですよ。



ケントス
それはぜひ見たい! ところで、ヨネさんはもともとキャンプがお好きだったんですか? 


ヨネさん
いや、自分自身はあんまりやんなかったですね。どちらかというと親父に連れて行かれた世代です。



ケントス
え? ではなぜキャンプ場をやろうと? 


ヨネさん
僕が入社したとき、ここって経営難だったんですよね。だからなにかやらなきゃって思って、景色が良い海っペリを活かしたキャンプ場を作ってみたんです。



ケントス
オープン後の調子はどうだったんですか? 


ヨネさん
やっぱり海岸に近いきれいなロケーションなのもあって、2017年のGWにオープンしてから夏休みを過ぎても大盛況でしたね! 正直こんなに上手くいくとは思っていませんでした。

季節外れの大型台風上陸という悲劇

撮影:I.Takahashi
まさに順風満帆ともいえるスタートを切った白浜フラワーパークですが、季節外れの超大型台風によって災害に巻き込まれることに。


ケントス
そんな絶好調のなか、台風被害に遭遇してしまったんですね……。


ヨネさん
そうなんです。1991年以来、26年ぶりの「超大型」台風21号が、2017年10月23日の深夜に日本に上陸し、この場所を襲ったんです。



ケントス
10月の季節外れにそんな規模の台風が上陸するなんて、まさに想定外ですよね。


ヨネさん
翌朝、出勤したら想像を絶する被害に驚くしかなかったですね。キャンパーが多い夏を越していたのが、せめてもの救いでした。

想像をはるかに超える被害

台風が去ったあとに残されたのは、見るも無残な崩壊したキャンプ場でした。


ケントス
災害の後はどんな様子でしたか?


ヨネさん
まず目に飛び込んできたのは、崩壊した施設と小屋でしたね。風雨と高波が押し寄せて大半がやられていました。

目の前の現実を受け止めるのに、時間が必要でした。

しばらく茫然自失となってしまったというヨネさん。施設にも深いダメージを負ってしまい、自然災害の恐ろしさを身をもって知ることとなりました。


ヨネさん
現在は撤去しましたが、創業当時に建設した温室ドームも被害にあいました。施設としては本当に痛手でしたね。



ケントス
当時働いていた人や、利用者などの人的な被害はなかったんですか?


ヨネさん
当日「台風なんかへっちゃら」というハードキャンパーのお客さまが最後までいたんですが、さすがにこの時だけはお帰りいただきました。今でも、この判断は正しかったなと。

あたりの様子は一夜で激変

出典:CAMPFIRE
写真は、台風上陸前の白浜フラワーパーク。ウッドで区画され芝なども植えられていて、美しく整備されていますね。

出典:CAMPFIRE
こちらが台風が去った後のキャンプサイト。苦労して作り込んだものはすべて泥と水で埋め尽くされてしまいました。このように、台風が来る前と去った直後のキャンプ場の様子を比べてみると一目瞭然です。


ケントス
施設内の目立たないところですが、今でも被害の爪あとが一部残っているんですね。


ヨネさん
あれから1年と3ヶ月経ちましたが、いまだにあの光景も含め忘れられるものではありませんね。自然の力は本当に容赦がないなと思い知らされましたから。



クラウドファンディングによる復興への道のり

撮影:I.Takahashi
災害直後は、もはや立ち直れないほど落ち込んだというヨネさん。しかし、再び前を向くのにそう時間はかからなかった。

復興のための気持ちを奮い立たせてくれたのは、キャンパーさんたちから届くたくさんの応援メッセージだったといいます。


ケントス
これだけの被害があると、復興するにも気持ちがなかなか追いついてくれませんよね……。一体何がヨネさんを支えてくれたんですか? 


ヨネさん
台風に襲われた翌日から、呆然としていた自分の元に「白浜フラワーパーク」を気にかけてくれた方々からたくさんの応援メッセージと提案をいただきました。

当時ボロボロだった自分には本当にありがたかったです。


ケントス
みなさんの温かい心が、折れた気持ちを回復させる力になったんですね。

新しいシステムで支援を集めることを決意

撮影:I.Takahashi
みなさんの励ましにより「白浜フラワーパーク」の完全復活を目指したヨネさんは、現在置かれた状況での最善策をひたすら考えたそうです。

そして、管理人として早期の復興プランを迫られる中、キャンパーさんたちに背中を押され、一つの結論を導き出しました。


ヨネさん
たくさんいただいたメッセージや意見の中で、「やってみれば?」という声が多かったのが、クラウドファンディングだったんですよ。



ケントス
今は耳にすることが多くなりましたけど、正直私はあまり細かいとこまで理解できてなくて……。


ヨネさん
クラウドファンディングというのは、なにか実現したい夢やプロジェクトなどを、何かしらのリターンを設定してWebを中心に発信し、それに賛同してくれる人々が出資するシステムですね。



ケントス
なるほど! とても勉強になります。ヨネさんだけでなく、本当にみなさんの力と一緒に進めていったんですね。目標金額はいくらにしたんですか?


ヨネさん
200万円の支援を目標とする設定で、災害を受けたその週末の10月27日の金曜日にスタートしました。



ケントス
それはすごく早い決断! 善は急げですもんね。

みなさんの心からの支援の大きさに、涙

撮影:I.Takahashi
多少のためらいがなかった訳ではありませんが、クラウドファンディングに初めてチャレンジすることにしたヨネさん。それは、予想外の展開を見せることになるのです。


ヨネさん
当初、一企業が一般の人に援助してもらうというお願いをするのは本当に恥ずかしかったのですが……。

もう一度だけ、この場所で楽しそうに過ごす、みんなの姿が見たかったんです。



ケントス
協力があったとはいえ、かなりの決意は必要だったんですね。その後、反響はどうでしたか?


ヨネさん
それが、翌日にはすでに140人の方から100万円近いご支援があったんです。本当にびっくりしました……!

なかには『クラウドファンディング開始してくれてありがとうございます! これでやっと応援できます』なんてメッセージもあったものですから、もう、涙でしたね……。



ケントス
オープンして半年にも満たない短い期間なのに、本当にたくさんの方から愛されていたんですね。


ヨネさん
嬉しいですね。まだ修復途中の施設なのにお客さんがキャンプをしに来てくれたり。もちろん安全には配慮してもらいましたが、本当に心強かったですね。

想像以上の支援の輪の広がりで、予定より早く目標達成!

撮影:I.Takahashi
応援してくれる数多くの人たちのおかげで、2カ月経たずして支援金は目標額に到達。10月27日に開始して、12月17日には396人の方のご支援により、224万9900円もの支援金が集まりました。

これほど多くの人に支えられているという実感と喜びを身に染みて感じたそうです。


ケントス
クラウドファンディングをしている間は、どんな活動をしていたんですか?


ヨネさん
復興ボランティアの募集を行ってました。泊まれる方には雑魚寝ですが部屋も用意して、食事と温泉を提供させていただきました。

そうしたら多くの常連さんがお手伝いに来てくれて。遠方からも差し入れを送ってくれたり。



ケントス
それは何物にも代えがたい、あたたかく心強い復興のエネルギーになりますね。


クラウドファンディングの模様はこちら

復興中は本格的な修復作業までボランティアで助けられた

撮影:I.Takahashi
「ここに抜けないペグがあるんですけど、災害前はここまでキャンプ場だったんです」と、現在のキャンプ場からだいぶ離れた地点までやってきたヨネさん。


ケントス
被害の大きさをあらためて実感しますね。キャンプサイト以外にも建物や小屋の修復もあって、想像以上の費用がかさんだんじゃないですか。


ヨネさん
これも頼れる仲間の協力によって、だいぶ低予算で復興できたんです。

常連の大工さんが週末とかに来てくれて、破損した建物をどうするか専門的アドバイスをくれたり、なかにはガッツリ作業着姿で、鉄ハンマー持参で復興作業を手伝ってくれる方もいたんです。



ケントス
それは心強い!


ヨネさん
みなさんの作業ぶり、さすがに感動しましたね。同時に自分ひとりでできる作業には限界も感じました。本当にみなさんのおかげです。



ついにキャンプ場再開の日が訪れる

撮影:I.Takahashi
そしてついにキャンプ場が再び営業できる日が訪れることになりました。ヨネさんの胸にもこみあげるものがあったといいます。


ケントス
その後、念願のキャンプ場再開となったわけですね。


ヨネさん
本当は2018年のゴールデンウィークからを予定していたんですけど、待ちきれなくて4月21日に営業再開しちゃいました(笑)。

このとき嬉しかったのが、一番乗りで予約してくれたのがいつもお世話になってる常連さんだったんですよね。



ケントス
やっぱり復興後の最初の一歩も、支えてくれたファンの方となんですね。素晴らしい繋がりだなぁ。



ヨネさん
しかも今回、ただ復興するだけじゃなくて、新しくワンちゃんとも一緒にキャンプを楽しめるDOG FREE SITEもオープンさせたんです。



ケントス
前よりもさらにパワーアップして再開させたんですか! 


ヨネさん
はい。翌週の4月28日には「復活祭」と名付けたイベントを開催して、協力してくれた方々や常連さんがたくさん来てくれて、大盛況で行うことができました。

あの日はすごく天気も良くて、朝5時に出勤したんですけど、すでに見た顔の人のクルマが数台並んでたんですよね。もうこのときに泣きそうになっちゃって……。



ケントス
復活祭でもあり、ヨネさんにとっては感謝祭でもあったわけですね。

日本一のシーサイドキャンプ場を目指して

撮影:I.Takahashi
「まだまだ復興は続きますが、それと同時に今後は進化していきたい」と語るヨネさん。日本一のシーサイドキャンプ場を目指すという力強い言葉も飛び出しました。


ケントス
ズバリ、今後の展望はどう考えていますか?


ヨネさん
まだ復興は続いているんですけど、同時にさらに進化もさせていきたいですね。そうすることが、みなさんへの恩返しにも繋がるかなと。最終目標は日本一のシーサイドキャンプ場ですね! 



ケントス
その挑戦、ぜひ応援したいとおもいます! 今回は貴重なお話をたくさん聞かせていただいて、本当にありがとうございました! 


都心からはアクアラインはもちろん、フェリーを使ったアクセスも可能という魅力的な立地の「白浜フラワーパーク」。

キャンプ場とヨネさんの今後の展開から目が離せません!

執筆:ケントス

▼白浜フラワーパーク
住所:千葉県南房総市白浜町根本1454-37
定休日:定休日なし
チェックイン:11:00
チェックアウト:10:00

公式サイトはこちら
キャンプ場検索サイト「なっぷ」での予約はこちら

 

Shirahama flower park, the story of reconstruction from disasters

白浜フラワーパーク、復興の物語


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フィグインク

浅草を所在地とする編集プロダクション。主にキャンプ・アウトドア関連の出版物の編集・制作を行う。また、料理や健康など生活実用ジャンルの本も多く手掛ける。

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