「snowline(スノーライン)」ってなにもの?
snowlineは、Helinoxをはじめ、今勢いがとどまることを知らない韓国のメーカー。創業は1992年で、もともとは冬のアウトドアをサポートするためのギアを製造していたのですが、キャンプブーム到来の影響か、蓄積された高い技術力を生かしてキャンプギアの領域に足を踏み込んでいます。
Helinoxのようにメインストリームに躍り出てはいませんが、そのクオリティは高く、ユーザーから高評価を得ています。
注目のキューブエキスパンダーテーブル
今回、注目するのはsnowlineのテーブル「キューブエキスパンダーテーブル」。まず写真を見るとなんかすごい連結してますし、あげくには2階建てになっている部分もありますね。いったいどんなテーブルなのでしょうか?
ラインナップは2種類
キューブエキスパンダーテーブルのラインナップは、サイズ違いで2種類というシンプルなもの。展開時の天板サイズが410×350mmの「M3」と……
天板サイズが785×350mmの「L6」の2種類のみです。最初に連結しまくりの画像を見せてしまい、混乱させたことをお詫びします。たった2種類のテーブルで、無限の使い方ができてしまう……それがキューブエキスパンダーテーブルなんです。
そしてM3、L6共通のオプション品がこちら。テーブル同士を直角に連結できる「キューブコーナープレート」。天板と同じ素材、同じ色なので、どんな連結をしようとも「あ、そういうテーブルなんだ」と思ってもらえるクオリティで自然になじみます。
気になる価格は?
リーズナブルなイメージがある韓国勢ですが、価格は次のとおりです。
M3…9,288円(税込)
L6…12,960円(税込)
コーナープレート…4,968円(税込)
なんだって!? こいつは安すぎる!!……というほどではないかもしれませんが、機能を知ればいかにリーズナブルか、わかってもらえると思います。ではさっそく実物をチェック!
実物をくまなくチェック!
専用の収納ケースが付属
M3、L6ともに専用の収納ケースが付属します。まずM3の方から見てみると、収納サイズは435×70×140mm。持ち運びやすい取っ手が嬉しいですね。
開けてみると、天板に挟まれる形でフレームが収納されていました。ポケットが2つある構造で、ポケットに天板・もうひとつのポケットにも天板・真ん中にフレーム等と、すっきりと分けて収められるようになっています。否が応でも整理整頓される、秀逸な収納ケースです。
こちらがL6の収納ケース。ファスナー周りの色がM3と違っていますね。サイズは455×90×145mm。内部構造はM3と同様に2ポケット付きで、単純にM3の収納袋が大きくなったものです。
実際に組み立ててみた
M3の全パーツを収納袋から取り出しました。左からメッシュのネット、フレーム、天板、ランタンハンガー、ランタンスタンド。では順を追って組み立てていきましょう。
まずはフレームを組み立てます。「組み立てます」と言っていいのかどうか、そういうレベルの簡単さでした。ポール内にショックコードが張られているので、束ねた状態から広げるだけで、ほぼ自動的に四角くなってくれます。
ここら辺はHelinoxのチェアで多くの方が体験したこともあるのでは? 同じ韓国メーカーのためか、その仕組みが取り入れられています。
天板をはめ込んでいきます。プリントされたロゴには意味があり、その一辺が最も外側に配置されるという印になります。緩すぎず硬すぎず、カチッとした小気味のいいはめ心地でした。
天板の下にメッシュのネットを。テントでよく見られるようなパチンとはめ込むジョイントを、4本の脚すべてに装着します。
ゴムのリングによってずれ落ちることを予防しており、ラックの高さは地面~天板の間で自由に設定できます。
ランタンスタンドを四隅の穴のいずれかに挿し込めます。四隅のうち、どこでもいいという自由度が嬉しいですね。キャンプサイトの状態に応じて、ランタンが欲しい場所はキャンプごとに変わったりしますから。
ランタンハンガーは巻きつくような構造でグリップするタイプ。取り付け方法は上から挿し込むだけです。自重だけでもずり落ちず、フック部分に荷重がかかれば、より強くグリップしてランタンを落としません。
あっけなく完成。初めて当製品に触れたときでも、時間は5分もかからなかったのを覚えています。直感的に組み立てることができるので、ユーザーのなかには説明書を見たことがない人も存在するのでは……?
隅々までチェック!
まずサイズ感はこの通り。M3の場合、SOTOのシングルバーナー(ST-310)とTrangiaのラージメスティンが余裕をもって天板内に収まります。M3はソロキャンプには充分な大きさでしょう。
L6の天板の広さは、単純にM3の倍です。2~3人のキャンプにフィットしそう。ファミリーキャンプのキッチンテーブルとしても、ほどよい調理スペースになるんじゃないかと。
天板の素材はジュラルミン製。軽くて頑丈な金属の代表格です。また木製の天板と違って、熱々のダッチオーブンなどをそのまま置いてしまってもOK(※)。
※塗装が変色する可能性はあります。
耐荷重は15kg。2リットルの水が入ったペットボトルを、天板に8本置いたらダメージが残るかも……という強さです。現実的には考えにくいですね。
大活躍が予想されるメッシュのネット。出番待ちの食材を乗せておいてもいいですし、食器置き場としても使えます。また写真でシェラカップをかけているように、四辺には何か吊るすという使い方も。
ランタンハンガーにフュアーハンドランタンを吊るしてみました。多少はグラグラしますが、それはランタンスタンドの長さゆえの不可抗力。どこかしら折れてランタンが落ちるようなことはないでしょう。
驚きの拡張性!
何台でもつなげていける!
さて当製品の最大の特長・拡張性を見てきましょう。はじめの方でキューブコーナープレートというオプション品を紹介しましたが、アレがなくても、まったくのノーマル状態でも無限に拡張できます。
M3、L6とも2本の脚にデフォルトで連結用パーツが装着されています。これは取り外すことも可能なので、どこの脚に装着するかは自由!
連結用パーツにより、テーブル同士をドッキングさせることができるというわけです。はめ込むのも外すのも、そんなに力は必要ありません。小学4年生ぐらいまでは苦労するかな、というレベルです。
M3とL6を連結しました。M3の脚に、まだフリーの連結用パーツが残っていますね。そう、「無限に拡張できる」というのは大げさでもなんでもなく、10台でも100台でもつなぐことができるんです!
キューブコーナープレートでさらに便利に
テーブルは直角に連結したい場合、いよいよキューブコーナープレートの出番です。まずは直角をつくるようにテーブル同士を配置して……
さきほどの連結用パーツで角同士を連結!
「なるほど、だからジョイント部分が8角形だったのか……」と納得。ただのデザイン処理ではなかったのです。当製品の完成度の高さがうかがえるディテールですね。
キューブコーナープレートをはめ込んで連結完了。見事にフラットになり、新たな天板の登場です。天板と同じくジュラルミン製なので、熱に強く、少々の重さでは歪みません。
コーナーの内側に入って、一方を調理スペースにしつつ、もう一方を飲食スペースに……と夢が広がります。今回はM3とL6で連結させてみましたが、M3同士、L6同士、M3×2+L6……と拡張性は無限大です。
まさかの円卓、まさかのスタック
キューブコーナープレートを4つ使用して連結させれば、円卓にすることも可能です。みんなでワイワイやる場合は、輪になるのが一番ですよね。この円卓の形状もまた、M3とL6の組み合わせによって真ん丸っぽくしたり、細長くしたりと自由自在!
当製品の驚きの機能はまだあります。なんと2台重ねてラックにすることもできるんです。キャンプサイトにキッチンテーブルを構成する場合、これほど適したテーブルは記憶にありません。
写真の状態から下段にもう1~2台連結させれば、世にも贅沢なキッチンテーブルが完成することでしょう。
ちょっと気になった4つのポイント
最後に、実際に使用してみて気になったポイントを4つほどご紹介します!
① ランタンスタンドが回転してしまう
写真がわかりにくくて恐縮ですが、ランタンスタンドは自由に回転させることができます。思い通りの位置に留めておければいいのですが、地面の事情等で傾きがあると、ランタンは低い方に回ってそこで止まってしまいます。キャンプサイトによっては何かしらの対策が必要になることも……。そういった工夫もキャンプの楽しみですけどね。
② バイカーには厳しい?
これだけ高機能で拡張性◎のテーブルですから仕方ないとは思うんですが、M3をソロ用として捉えると、収納時のコンパクト性にはもう一声ほしいところです。幅40cm超、高さ14cmのサイズはバイカーには厳しいかと。
車移動のファミリーキャンプで使う分には、M3、L6ともにまったく問題ありません。キャンプ界にはもっとかさばるテーブルがゴロゴロしています。
③ 片付けは組み立てほどでは……
組み立てるときは感動的な簡単さだったんですが、撤収時には苦労がありました。それは「ジョイントから抜けるポールと抜けないポールがあり、どれが抜けないポールかわからない」というもの。抜けないポールを必死に引っ張ってしまったことが何度かありました。
慣れてしまえばどうってことはないんでしょうが、使い始めは抜けない部分に何かマークを記しておくといいかも。
④ カラー展開が1色のみ
カラー展開は今回紹介したグレー天板に青フレームのみです。もともとキャンプギアにブルーを取り入れている人ならサイトの統一感はアップしますが、そうでない場合はコーディネイトに苦労するかもしれません。
今後、複数のカラー展開があれば嬉しいですね!
それでもコスパ抜群!
機能と拡張性を知れば、当製品はじつにリーズナブルな優秀ギアです。フレームの質感のよさ、滑りにくい天板の表面、組み立て後に持ち上げて移動させやすい……書ききれなかった優秀ポイントはまだまだあります。
連結させたり重ねたりと、自由に自分だけのスタイルで楽しめるキューブエキスパンダーテーブル。もっと売れてもいいんじゃないでしょうか。
snowline キューブエキスパンダーテーブル M3
snowline キューブエキスパンダーテーブル L6