しかし、全行程を一気に歩ききるとなると、約20日間。一般的な日本人であれば人生を一旦お休みしないとちょっと無理……。
「キャンプをしながら誰も居ない荒野を歩く」。
そんな憧れを抱き続けたまま、いまひとつ思い切りがつかず、ブスブスと燻る日々を過ごしていました。その熾火が本格的に燃え上がりだしたのは、2013年のこと。ある方法を見つけたのがきっかけでした。その方法とは「セクションハイク」と呼ばれるもの。
細かく刻めば夢じゃない!セクションハイクが丁度良い
ジョン・ミューア・トレイルをはじめとする様々なロングトレイルを踏破する方法としては、2つあります。全行程を一気に歩ききる「スルーハイク」(※途中で食料などの補給はします)と呼ばれるものと、もうひとつ「セクションハイク」というもの。
その名の通り、全行程をセクションに分けて歩く方法です。例えば「今年は1週間かけて○○〜○○まで」という具合に、自分の休暇期間や力量などに合わせて、細かく区切って歩きます。
これだったら、日本から行くとしても、例えば1週間から10日間の休みを取れれば十分に事足ります。もちろんスルーハイクに比べれば背負う重量も減るし、難易度もだいぶ下がるので、僕のような未熟なハイカーにもうってつけ。
これだ! と思って色々と調べていくと、なかなか良いルートを発見しました。
そのルートとは、ヨセミテバレーの北、トゥオルミメドウズという所を出発して、レッズメドウという場所まで行くというもの。距離にして約40マイル(64km)。上の写真の地図でいうと3〜5のセクションです。これなら、ゆっくり歩いても3泊4日で踏破することができます。
しかも道中は巨木の森、花崗岩だらけの峠、美しい川、湖、氷河が作り上げた広大なカールなど変化に富んでいて、かつて歩いた人によれば「ジョン・ミューア・トレイルの魅力を凝縮したようなエリア」とのこと。
トゥオルミメドウズのトレイルヘッド(登山口)まではレンタカーで行き、そこから歩き出して、レッズメドウへ。そこからはシャトルバスでマンモスレイクというスキーリゾートまで降りて、バスでトゥオルミメドウズまで戻ってくる。そんなプランです。
歩きで4日。その前後の準備や移動時間を考慮して、9月の初旬になんとか10日間の休みを確保。あとは行くだけ!? と鼻息を荒くしたのは良いものの、実現までにはもう1ステップ必要だったのです。
それは、日本では聞いたこともない、「パーミット(許可証)の取得」というもの。
パーミットってナニ!?取得は意外と簡単です
「ウィルダネス・パーミット」。日本ではまったく聞いたことがない言葉。
これはトレイル上でキャンプしながら歩く人(バックカントリーでキャンプをする人)の人数を制限することで、自然を保護しようという制度。アメリカのバックカントリーをオーバーナイトで歩きたい場合は、ほとんどのエリアで必携です。もちろん僕が歩こうとしているジョン・ミューア・トレイルも例外ではありません。
「でも、いったいどうやって取ればいいの?」、英語のサイトを睨み付けながら、その読解に勤しみます。
結果、「事前の予約」と「前日に直接窓口で申請する方法」の二種類があることが判明。直接窓口枠は全体の40パーセントほど確保してあるそうなので、英語が堪能な人であれば早朝から並べばかなりの確率で取得できそうですが、いかんせん僕の英語は単語連ねる系の出川イングリッシュレベル。
ここは事前に予約しておくほうが現地でのやりとりがスムーズになるはず……!