キャンプにこそ「シングルモルトウイスキー」
秋も終盤を迎え冬へと向かうこの時期、気温がぐっと下がってきますよね。そんな今の時期こそ、キャンプで「ウイスキー」を楽しんでみてはいかがでしょうか? オススメする理由としては……、
1.カラダの芯から温まる(アルコール度数が40度台と高い)
2.常温でおいしい(冷やさないといけないビールとは違う)
3.少量でOK(スキットル[お酒用キャップ付きボトル]に入れればかさばらない)
4.飲み方いろいろ(ストレート、ロックはもちろん、割ってもおいしい)
ざっと挙げてもこれだけあります。いかにウイスキーがアウトドアに向いているかがお分かりいただけるしょうか。
とりわけ魅力いっぱいの「シングルモルト」
数あるウイスキーの中でもとりわけ「シングルモルト」は個性が強くて魅力いっぱい!
そう言われても「他のウイスキーと一体何が違うの……?」とピンとこない人のために、まずは基本の「キ」から見ていきましょう。
「シングルモルト」って何?
モルト、とは「大麦」のこと
「モルト(malt)」とは英語で「大麦麦芽」を意味します。つまり、トウモロコシなど他の穀物(グレーン)原料が混じらない、大麦麦芽のみを使用して作られたのが「モルトウイスキー」なんです。
シングル、とは「一つの蒸留所のみ」ということ
大麦麦芽のみを使用して作られた「モルトウイスキー」の中でも、単一の蒸溜所で作られたウイスキーだけを瓶詰めしたものが、「シングルモルトウイスキー」と称されます。
これに対して、複数の蒸溜所のウイスキーや、トウモロコシなどを原料とするグレーンウイスキーなどを混ぜたものが「ブレンデッドウイスキー」です。
つまり「シングルモルトウイスキー」は、蒸溜所の個性やこだわりがそのまま反映されているのがその大きな特長といえます。
重要キーワードは「ピート香」
「シングルモルトウイスキー」を語る上で、外せない重要ワードの1つが「ピート香」です。あまり聞きなれない言葉ですね。
「ピート」とは、スコットランドの原野に多い「ヒース」という野草や水生植物などが炭化した泥炭(炭化の度合いが未熟な石炭)のことを指します。
大麦を乾燥させる際、このピートを燃やした煙でいぶすのですが、この時スモーキーな香りが大麦麦芽に移ります。これが「ピート香」と呼ばれるもので、ウイスキー独特の香りを醸し出すのです。
10~12年ものがおすすめ
実は、蒸溜したてのウイスキー(ニューポット)は無色透明で荒々しい香味をしています。
それが、樽に詰めて熟成することで、その土地の自然風土、樽の材質などに影響されながら、美しい琥珀色をした深く複雑な香りとまろやかな味わいを持つウイスキーへと変化していくのです。
その熟成の頃合いが程よく美味しくなるにはおよそ10年を要します。たとえばラベル記載が10年の表示であれば、10年以上熟成させた原酒だけで作っているという意味です。
シングルモルトウイスキーの場合、最初の飲み頃を迎えるのが10年や12年あたりのものが多いです。18年、25年などは、また違った味わいや個性を感じられる年数に設定されています。単純に「長ければ長いほどうまい」というわけでもないのです。
シングルモルトウイスキーの有名産地
水や風土、気候など、蒸溜所が立地する自然風土の特長が反映されているのが魅力のシングルモルトウイスキー。
その名産地といえば、やはりスコットランド! 中でも特に有名な2つの地域についてご紹介します。
スペイサイド
スコットランドに現存する蒸留所は約100ヵ所。そのおよそ半分がここ「スペイサイド」に集中しいます。
渓谷が多く起伏に富んだ地形的条件から、この地はかつてウイスキー密造者が隠れやすい場所であり、密造の歴史が世界的な名門蒸溜所を数多く生み出したのだそう。
「グレン=谷」の名がつくお酒が多いことからも、その地形的特長がうかがえますね。
アイラ島
スコットランド西側に位置し、淡路島ほどの面積の小さな島「アイラ島」。ここには8つの蒸溜所があり、モルトウイスキーの聖地とも呼ばれています。
全て海辺に建つ蒸留所で製造されるアイラ島のウイスキーは、「潮の香り」や「海藻の香り」と言い表される独特のピート香が特長とされます。
味わいたい定番シングルモルト5選
グレンフィディック12年
まずは初心者向きとも称される「グレンフィデック」から。
スペイサイド産で、飲みやすいのにしっかりとピートも感じられ、ヘビーユーザーも十分満足させるクオリティです。
洋梨や青りんごのようなフルーティーな香りが特長です。1963年に世界で初めてシングルモルトウイスキーとして発売され、世界でもっとも親しまれているシングルモルトと言われています。
グレンフィディック 12年
お次も双璧をなす人気のシングルモルト!
グレンリベット12年
続いてグレンフィディックと同じくスペイサイド産で、こちらも飲みやすい「グレンリベット」。グレンフィディックと似た味わいですが、ピート香がほぼないのが大きな特長です。
爽やかなハーブの香りに、りんごやバニラのような甘みが感じられます。価格も比較的リーズナブル。
ザ グレンリベット 12年
マッカラン12年
シングルモルトの最高峰と讃えられ、モルト界のロールスロイスとも呼ばれる「マッカラン」。
スペイサイド地区最小の蒸留器を用い、原料から製造、貯蔵まで一貫したこだわりが生む味わいは、クセがないのに甘みがありまろやか。誰が飲んでもおいしいと感じられる一本です。
ザ マッカラン 12年
ボウモア12年
全ての蒸溜所が海辺に建っているアイラ島ではピートも、製麦工程も潮風の影響を受け「潮の香り」「磯っぽい」と形容される独特の個性を持ちます。アイラ島最古の蒸留所をもつ「ボウモア」もやはり個性は強め。
アイラモルトの女王とも呼ばれるこのお酒は、磯を思わせるドライな口当たり。
ビターチョコレートのようなコクの中にも柑橘系の香りが感じられ、生チョコやドライフルーツなど甘い食べ物との相性はバツグンです。
ボウモア 12年
ラフロイグ10年
万人受けするとは言い難いけれど、一度ハマると病みつきになるのがアイラ島のくせ者「ラフロイグ」。
ガツンとピートの効いた香りは「正露丸」や「薬品臭」などとも評されますが、同時に「キング・オブ・アイラ」とも讃えられます。
ピート香だけでなく、オイリーで濃厚な味わいとやや塩っぽくてドライな後味など強烈な主張と個性が交わるウイスキー。「一度飲んでみたい」と興味を覚えた人はぜひトライしてみて!
ラフロイグ 10年
スキットルで持ち運び便利
シングルモルトウイスキーを大自然の中で楽しんでみたくなった人にオススメなのが、ポケットサイズのスキットル。なるべく軽量化したいキャンプには最適です。
そもそも野外で飲むために作られたものなので、アウトドアで使用するのが“正当”なのです。キャンプに合わないはずがありません!
デザインにもこだわったお気に入りのスキットルで、焚き火を前にシングルモルトをちびちびやれば、昔憧れた大人の仲間入りをしたような気分に浸れます。
STANLEY(スタンレー) SSフラスコ
スノーピーク チタンスキットルM
コールマン ステンレススチール フラスコ
続いては、シングルモルトウイスキーのちょっと意外な飲み方をご紹介!
「バノックバーン」に挑戦だ!
ストレートやロックもいいですが、割ってもおいしいのがウイスキー。
炭酸水で割る大定番「ハイボール」も人気ですが、ここはひとつ、シングルモルトならではの個性を生かしたおいしいアレンジに挑戦してみませんか。
クラマトトマトジュースで割るだけ!
「バノックバーン」とは、スコッチウイスキーとクラマトトマトジュース(ハマグリエキスと香辛料の入ったトマトジュース)を1:3で割ったカクテル。数あるウイスキーの中でも、ピートの効いたアイラモルトとトマトジュースの相性は抜群です!
クラマトトマトジュースは「モッツ」というメーカーのものがイチオシ。まるで冷製スープのような深いコクと味わいが楽しめます。お好みでウスターソース、レモン、ブラックペッパーなどを加えてもGood!
モッツ クラマト トマトジュース
最大の魅力は個性を楽しめること
蒸溜所ごとの歴史や製法へのこだわり、立地環境の自然風土の違いにより、驚くほど多様なシングルモルトウイスキー。1つとして同じものがなく、その個性を楽しめることが最大の魅力だと言えるのではないでしょうか。
キャンプで焚き火にあたりながら、蒸留所への思いを馳せつつ楽しむシングルモルトウイスキーは、きっと格別の味わい。
多様なシングルモルトウイスキーの個性をゆっくりと楽しみながら、あなた好みの一本をぜひ見つけてみてくださいね!
「おつまみ」にもこだわりたい!
絶品のおつまみがあれば、お酒タイムがさらに最高なものに!
The biggest attraction of single malt whiskey is the personality.
シングルモルトウイスキーの最大の魅力は「個性」