-最初の売れ行きはどうだったんですか?
「フィールアース」というキャンプイベントで、友人の店の隅に10個ほど置かせてもらったんです。そしたら半日で完売しちゃいました。
やっぱり耐熱クロスに興味を持たれた方が多くいらっしゃいましたね。
-私も耐熱クロスに惹かれました。なぜ火床に布を使おうと思ったんですか?
コンパクトで持ち運びができる焚火台を作りたかったんです。そのためには、火床を柔らかい材料でつくる必要がありました。
人気のヒミツ「耐熱クロス」の正体は?
-この耐熱クロスの素材が気になってます。
シリコンを繊維にして、それを布にしたものです。いろいろ歴史があって、今のがちょうど5代目ぐらいなんです。それ以前のものだと麻袋みたいなザクッとした粉ぽい感じだったんですよ。
なんとかもっと良くなるようにって、ちょこちょこ仕様変更しています。
少し光沢感のある表面。触ってみるとツルツルしていて、粉っぽさはゼロ。色んな耐熱素材を取り寄せ、フィールドテストを繰り返した中で、唯一使える素材だったそうです。
-かなり特殊な素材のようですね。生地にするのも難しかったんじゃないですか?
生地を縫製できる工場を探すのにも、苦労しましたね。
あとは、耐熱性の材料ってかなり脆くて。例えば、穴を開けて吊すと破れてしまうぐらい。なので、どうやって吊るされたクロスを保持させようか、というのが頭のひねり所でした。
こうして発案されたのが、穴を開けずにクロスを吊るせるワイヤインフレーム構造(特許取得済)。写真はその構造を考えた時のスケッチです。
あえて火元を布にするメリットとは?
-布って正直マイナスなイメージしかないのですが……
このクロスは保温性が高いので、火がずっと温められたまま燃え続けるんです。
なので、薪の数も1,2本で十分煮炊きもできるし、熾火がすごい長持ちしてくれるので、非常に完全燃焼しやすいんですよ。
-そんなメリットがあったんですね。だけど、消耗品なんですよね。
そんな方向けに、「焚き火メッシュII」を作りました。金属メッシュなので、ガンガン燃やしても耐久性に問題はありませんよ。
鎧の下に着る防具「くさりかたびら」のよう。クロスよりも少し重みがありますが、柔らかくて、表面は滑らかなです。
-金属の布みたいですね。これもクロス同様に特殊な作りなんでしょうか?
実はこれ、金属の輪っかを1つずつ溶接しながら編んでるんですよ。しかも機械だと失敗してしまうので、半分は手作業なんです。
これの半分が人の手で作られているとは、驚きです! 見てるだけで筆者の目が痛くなってきました。
-クロスを長く使い続けるためのコツを教えてください!
小さい焚火を続けること。あとは洗うのもNGで、灰を払い落とす程度でOK。できれば、折り方も毎回同じところでなく、ずらして折るとより良いです。
特に折れ線のところが一番破損しやすいので、注意してくださいね。