アウトドアにイノベーションを。OIS初開催の模様をレポート!【前編】

2018/02/20 更新

2017年12月6日・7日で開催されたアウトドアイノベーションサミット2017。アウトドアを最先端でリードする方々を登壇者に迎え、アウトドアに新たな未来が生まれることを目的としたカンファレンスです。その熱き2日間を前編・後編でお伝えします。


白熱の2日間が、幕を開ける


CAMP HACKを運営する株式会社スペースキーは「もっと自由なアウトドアを全ての人へ。」をビジョンに日々運営している企業。2016年にキャンプに特化したカンファレンスとして開催したキャンプイノベーションサミットからパワーアップし、アウトドアイノベーションサミットとして2017年を締めくくるカンファレンスを開催しました。

各登壇者以上に、真剣に聞く聴講者のみなさんがとても印象的。白熱の2日間を前編・後編に分けてお伝えします。それではまず1日目の模様をお楽しみください。

開会のあいさつ

株式会社スペースキー 代表取締役社長 佐藤 祐輔


2013年キャンプ場検索サイト「なっぷ」を開設し、その中で聞こえてきた多くの声が「他県で成功しているキャンプ場の事例を知りたい」「どういうプランが売れるのか」でした。

当社が目標にしている「アウトドア事業のオープン化」はインターネット空間での展開と同時にリアル空間でも実現する必要性も感じ、昨年スペースキーとしてCIS=Camp Innovation Summitを開催させていただきました。今回はキャンプだけではなくさらに「アウトドア」にフィールドを広げ、当社のみならず多くの協力の皆様と実行委員会を組織してOIS=Outdoor Innovation Summitの開催をさせていただくこととなりました。

「アウトドアの未来を創ろう」のコンセプトの下に、1日目は「アウトドアの未来を」、2日目は「キャンプ場の未来を」をテーマにしています。将来のOISは「継続と変化」を意識し、さらに会場を広げ、よりジャンルも広く、他産業からアウトドアに触れる機会を作っていくことを考えています。今回のOISが、アウトドアの未来へのヒントが見つかる2日間となることを祈っております。

一億人人手不足に求められる、人材募集の最新トレンド

株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント 新倉 竜也氏


これからの10年で1000万人の労働人口が減り、人の取り合いとなる。結果現在ネットでのHR系などの媒体は軒並み過去最高益を出すほどであるが、ところが掲載側は過去最悪の採用率であり、これはもう機能不全に陥っていると言える。

ではどのように打破するか。特に重要なのは閲覧回数を増やすこと。そのためには既存の手法をやめる決断をしなければならない。採用条件を変えずに、どのようにして求職者に「おもしろそうだ」と思わせるか。そのために必要なのは「マーケットインの発想」だ。たとえば「ネイルOK」「可愛い制服」「カップルでも可」、また折り返しの速さ、面接のハードルを下げる工夫など、求職者に対し「欲しいものを与える」ことが最も重要。メリットはしっかりと言語化して伝えるべき。

期間掲載型の広告の時代は終わった。現在重要なのは閲覧回数を増やすこと。いかに見てもらい、そして面白そうだと思わせるか。人材募集は手法が9割。アウトドアの求人もここにかかっている。

アウトドア求人ナビ↓
https://outdoor-job.com/


観光改革で地域交流へ

株式会社JTBコーポレートセールス 観光開発プロデューサー 門脇 伊知郎氏


国内を見ると都市一極集中の弊害として2040年には市町村の約1/2が消滅可能性都市となりうる問題を抱え、地方創生の取り組みは人口減少問題の克服策とも言えるようになった。地方創生は未来の街づくりそのもの。人が減っていく中でどう街づくりをするか。これらを解決していくキーワードは「交流人口」(=定住人口の減少をカバーするもの)の増加だ。

地域観光は過去国内客が「来る前提」のビジネスモデルであった。しかしすでに訪日外国人旅行者が国内旅行社を上回り、マーケットの大きな変化に旅行業のドメインが変わってきている。JTBは約10年前から「地域交流事業」を取り組んでいる。地域が抱える様々な課題を観光、交流の視点で解決を進めている。特に力点を置いているのは「発地」ではなく訪れる「着地」のプロデュースをする「地域マネジメント事業」。

「る・る・ぶ」は以前「見る・食べる・遊ぶ」の意味であったが、現在であれば「撮る・食べる・学ぶ」、撮って食べてだけではなく、さらに学ぶ=体験をするを意識していくことが集客のポイントになるであろう。

教育と地方創生から見るアウトドアの在り方

19歳ワクワクモンスター 渋川 駿伍氏


「こんにちは。私は長野県出身ギャップイヤーにいる19歳です。私の行動指針は、自分がワクワクするか、周りの人もワクワクしてもらえるかです。社会のワクワクの総量を増やす、これを生涯をかけてやろうと思っています。

現在24個のプロジェクトをやっています。その中の一つが「CAMPLUS」=キャンプにプラスで世界が変わるでした。AIの進歩、オートメーション、ドキドキワクワク不足、少子高齢化、地方衰退の加速は時代の潮流です。これをCAMPLUSでプラスしていくことで変えていけるのではないかと。

その一つが「CAMP×廃校」です。全国一律価格でオンライン予約、身近なお試しキャンプの場所、そして廃校利用のキュレーションの場所にもなります。しかし現実は資金集め、信用などの問題に直面し敗北。そして様々な仮説検証の末たどり着いたのが「マイクロソーシャルレンディング」、教育に投資しやすい社会構造を作る仕組でした。ここでは一言ではなかなか説明できませんが、この先長野県を拠点に「地方創生×アウトドア×教育」をみなさんと一緒に築いていきたいと思います。本日はこのような場所を作ってくださりありがとうございました」

スノーピークの考えるこれからの地方創生、公民連携のあり方

株式会社スノーピーク 代表取締役社長 山井 太氏


スノーピークが上場した理由、それは「アウトドアのカテゴリーを世の中に広めたい、アウトドアの新風を社会に認めさせたい」の想いからであった。

自分たちが地方創生にかかわっている意義は二つ、「アウトドアパーソンとして」「アウトドアカンパニーとして」。前者は、キャンプが持っている人間を癒す力が個人の人間性を回復させ、そして家族の絆が強まり、さらに家族同士のコミュニティが形成されその延長線上に地方創生が生まれる仕組みだ。

スノーピークの本拠地燕三条は2千、3千社の町工場の技術が点在しており、我々のような会社はそのプラットフォームとなって繋ぎ、デザインをしている。これらをアウトドアのライフスタイルやバリューに転換し可視化することによって、市場から燕三条が「見えてくる」ようになる。この仕組みが後者の意義を表している。

そして大事なことは「熱量の重要性」だ。今流行っているコトモノ場所は必ず熱量がある。率直に言うと日本はこの熱量が総じて低い。我々の業界くらいは熱量を高くしてみなさんと世の中をよくしていきたいと思う。

地方創生は最終的には「地元の担い手」が地元を愛し地元の魅力に気づかなければ叶うことがない。我々はそれを助けに行く企業としてこれからもやっていきたい。


2020年 日本の自然を世界の人へ 「国立公園満喫プロジェクト」について

環境省自然環境局国立公園課 専門官 笹渕 絋平氏


実は国立公園法は、すぐれた風景地の保護と利用という目的の他、外客誘致=外貨獲得のためにそもそも指定をされていた。国立公園の利用は人口減少にも伴い年々減っており、この先は「短期移民」による消費拡大が必要。そこで政府の観光ビジョン(その一つがナショナルジオパークとしてのブランド化)を受けて考えられたのが「国立公園満喫プロジェクト」である。しかし観光振興としての開発のために自然環境そのものを壊してしまっては意味がなく、守るべきものは守り利用すべきものは利用することが最も大事だ。同時にこの先は高品質、高付加価値の提供をして魅力を増加させていく必要がある。地域協議会を行い、ステップアッププログラムが策定されている。成功のカギは「官民連携」。

キャンプは国立公園に相応しい利用形態。今のニーズに合う魅力的なキャンプ場にしていきたいと思う。その一つが「休暇村裏磐梯×CAMP HACK」「スノーピークモニタリングキャンプ」だ。

欧米の訪日外国人たちの期待は日本の歴史、文化、生活。日本の国立公園は「地域性」=人の暮らしがある。厳しい自然の中苦労しながら築き上げてきた人の暮らし、そのストーリーを伝えていくことが大事だ。

アウトドアを楽しむために。自然環境保護活動の今

コンサベーション・アライアンス・ジャパン事務局 滝沢 守生氏


2000年設立。別名「日本アウトドア環境保護基金」。アウトドアビジネスはそもそも自然がなくては成り立たない。だからこそ得た利益を自然に還元しなければならないという考え。ただ企業としてできることできないこともあることもあり、集まった基金を環境保護活動をしている民間の団体やプロジェクトに活動資金を助成している。これまで7600万円以上151団体を助成した。

以前は無謀な公共事業や大型開発などの反対運動の図式が目立ったが、近年は環境アセスメントの場、市民との対話の場が増え、環境の保全と利用をどうしていくかを共同で考えるようになってきている。いっぽう東日本大震災以降、自然保護よりも人道支援に軸が置かれ、社会の関心度、優先度が下がっている側面もある。そうはいってもまだまだ深刻な環境破壊などの問題はあるので、現在は「短期間で成果が見える有効な活動」への支援を重視している。

これからは業界としても自然保護活動へのコミットメントが必要。待ちから攻めに準ずるべき。多くの方のCAJへの参画を持ち望んでいる。

「アウトドアスポーツ推進宣言」からみる地域振興

スポーツ庁参事官 地域振興担当 仙台 光仁氏


スポーツによる地域活性化が重要と捉え、スポーツを景観、環境、文化などの地域資源と掛け合わせることによって戦略的に活用し、地域経済を活性化させる動きを促進している。

2017年6月、鈴木大地長官から「アウトドアスポーツ推進宣言」がされた。アウトドアスポーツは豊かな時間をもたらし人生を変える、そして地域を元気にし社会を変える、さらに地域と世界がつなげることができる、という内容だ。

スポーツと地域振興を掛け合わせた街づくりを行うために、「地域スポーツコミッション」を展開し、20121年度までに170団体まで増やす考えだ。

これらの活動が段々と点から線になり面になってきている。そのムーブメントが「スポーツツーリズム」だ。スポーツを目的に地域を訪れ、地域資源とスポーツを融合した観光を楽しむスタイル。これを具体的にしたのが「スポーツツーリズム創出事業」。優れた活動実績の支援としてスポーツ文化ツーリズムアワードも行っている。

例え地域的知名度がなくとも、地域の特色や資源をスポーツ目線で見直すことができるチャンスがある。

【セッション】地域特性を活かした旅のスタイル「JAPAN ECO TRACK」とは?

株式会社モンベル 広報部部長代理 ジャパンエコトラック推進協議会 佐藤 和志氏

「ジャパンエコトラックとは『アウトドア・アクティビティを通じて、地域の自然や文化を楽しむ旅』

この考え方の前身とも言えるのが現在も行っている「SEA TO SUMMIT」です。これを2日間のイベントに終わらせず、365日受け入れできる環境づくりをしていきたい。その後予想以上に多くの自治体から要望があり、これは1社だけではできないと判断し各社の協力を得て、ジャパンエコトラック推進協議会(代表理事・養老孟子先生を代表理事)を立ち上げました。現在認定は10地域、今年度中に16地域に増える予定です。この先民間、自治体が一緒になって盛り上げていこうと思っています」

長野県飯山市経済部広域観光推進室 ジャパンエコトラック信越自然郷事務局 渡辺 毅氏

「連泊をしながらエリアを動き回って愉しみ、その対応として広域観光を行っています。そのブランドネームが『信越自然郷』です。

現在、観光立国のスイスモビリティを参考にした『NAGANOモビリティ』に取り組んでいる最中。山岳高原を活かして人力のアクティビティ(トレッキング、サイクリング、カヌーなど)をしながら移動行程(キャンプ場、旅館、ホテルなど)自体を楽しむスタイル。これには様々な業種の連携が必要であると考えています。

この先はさらにICTを活用したモビリティ事業も進めおり、プレイヤーの移動に伴う位置情報をアプリを介して各事業者へ通知連携が出来る仕組みも順次取り組んでいきます」

モデル/フィールドナビゲーター 仲川 希良氏

「ジャパンエコトラックの魅力のひとつは『人とのふれあい』。クルマなら通り過ぎてしまうようなことも、自転車だとフラッと立ち止まり風景をゆっくり眺め、さらには地元の方に話しかける機会もできます。土地の魅力を教えてもらい、こちらからもその感じた良さを伝えたり。みなさん、話し好きの方が多いですしね(笑)。

自然はその土地の文化を育みます。『自分の身体を使って』土地土地の文化に触れながらゆっくり旅をすると、なぜかいつもより深いところまでその良さを感じらるようになります。

身体を動かし、無理なく自分のペースでできて、なおかつ自然を満喫できる新しい旅の姿、それがジャパンエコトラックではないでしょうか」



2日目のレポートを読みたい方はこちらから↑

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CAMP HACK編集部

CAMP HACK運営&記事編集担当。2018年は、ワカサギ釣りから始まり、登山キャンプ、SUP、カヌー、野草料理、ラジコン、360度カメラなど…キャンプを基地にして色んなアクティビティーに挑戦したい。

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