【ショップ情報】伝統工芸をアウトドアに落とし込む千駄木『TSUGIKI』の心意気

千駄木にあるショップ「TSUGIKI」に取材。和が漂う店内には、キャンプ道具と伝統工芸品が所狭しと並んでおり、アウトドアショップの中でも珍しい注目店。今回は気になるアイテムや、なぜ今このショップを始めたのか、理由を聞いてみました。


記事中画像撮影:筆者

他とちょっと違う、「和」の雰囲気漂うアウトドアショップ


アウトドアの本場である、欧米の道具をお手本にしたものがズラリと並ぶアウトドア専門店が一般的。でも、日本だって古来から自然を敬い、生活をしてきたわけで、欧米に負けないアウトドアの文化があるんです。

東京・千駄木にあるライフスタイルショップ「TSUGIKI」は、代表である木原彰夫さんの故郷、富山の伝統工芸を扱うアウトドア&ライフスタイルショップ。

ショップを立ち上げた木原さん


TSUGIKIを立ち上げた木原彰夫さん。店舗運営だけでなく、ポケットにこだわるウエア「SUGARGLIDER」ほかオリジナルブランドの展開、富山の創生活動、アウトドアイベントや製品の企画など、多方面で活躍しています。




木原さんが着用していた「SUGARGLIDER」とは和訳でフクロモモンガのこと。縫い目をうまく利用していて、こっそりポケットがついているんです。しかも、シーズンごとにポケットの位置が変わるのが楽しい! 実用的かつユニークなウエアでファンが激増中です。

「和式」の中にアウトドア道具が点在


店内は富山・南砺市産の木材で仕上げ、古い薬棚を什器とするなど和の雰囲気満点。そんななかにシェラカップや鹿の角を加工したカトラリーなど“いかにもアウトドア”なアイテムが点在。これがなんとも心地よくマッチしているんです。


ちなみに店名のTSUGIKIとは、開店に向けて携わった人たちみんなの名前に「木」がはいっていたことから。「それに、画数もよかったんです」と笑顔で教えてくれました。

TSUGIKIに並ぶ独特なラインナップ

シェラカップが伝統工芸の技で美しい食器に変身

店内でひときわ目を引くのは、高岡銅器を思わせるシェラカップです。真ちゅう製シェラカップに、高岡銅器の伝統工芸士が着色したもの。青銅色のシェラカップは、米糠を使うなどの伝統技法で着色し、ウレタンでコーティングしています。
アルチザン933 オリイカラーマジック ブラスカップ(6800円)。塗装ではなく、食品や薬品で銅を化学反応させています。とっても色がきれい!

シェラカップ=焚き火で使うというイメージがありますが、これはコーティングを施しているので火に掛けないで食器として使ってください。ちょっと常識とは異なりますが、固定概念にとらわれないのが美しいですね。(木原さん)


シェラカップの着色を手がけた職人による作品を販売。青色でも微妙に異なっていますが、これは使う薬品や技法の違いによるためですって。木原さんから製品作りの裏話を聞けるのも、来店するお楽しみです。


商品名のアルチザン933とは、アルチザン=職人、933=富山県高岡市の郵便番号。江戸とスケートをテーマにしたイラストレーター、NAGAさんによるパッケージもステキです。富山がテーマなのに富士山が描かれているのはご愛敬。

富山の職人の力を得たオリジナル作品も


漆塗りは繊細でアウトドアに不向きと思っていませんか? こちらは高岡漆器の湯飲みで、TSUGIKIオリジナルカップ。木目が美しく、エイジングも楽しめます。

「漆は水や熱にも強いので、実はアウトドア向き」と木原さん。とあるブランドで漆塗りのアウトドア用クッカー、食器を開発中とのことで、こちらも楽しみです。


「糸巻き」をランプにリメイク


富山・南砺市は絹織物で知られています。こちらは使わなくなった糸巻きをランプにリメイク(4800円)。これは木原さんのアイデアから生まれたもの。糸巻きに天板を載せればテーブルになるなど、いろいろと使い勝手がいいんです。

しなやかに曲がる錫(すず)


鍛金で知られる富山・高岡が生んだ純度の高い錫のプレート「すずがみ」(5000円、箱900円)。美しい模様は、何度もたたいて仕上げている証です。

和紙のようにしなやかに曲がるのに高強度なのは衝撃。豪快に仕上げた野外料理を盛り付ければ、また違ったイメージになりますね。


「すずがみ」は、仏具のおりんを作っている職人の手によるもの。音の調律が難しく、高度な技術を要するおりん職人の妙技を堪能できるというわけです。

製品作りのサイドストーリーを知れば、モノへの愛着が沸いて、大切に使うようになります。大量生産・大量消費ではなく、そんな時代に向かっているのではないでしょうか。(木原さん)

富山産だけではありません  日本生まれの道具がいろいろ

TSUGIKIで扱うのは、富山由来のものだけではありません。木原さんのハンドメイド作品も人気のひとつ。たとえば、山で見つけた鹿の角を加工したカトラリー!


これがあるだけで、インドアでもアウトドアな雰囲気を味わえますね。鹿の角を持って、手になじむ角度を考えてひとつひとつ作っているそうですが、今は鹿の角が手に入りにくくなっているし、製作の時間がとれないのが悩みの種なんだとか。

店内には、ほかにも木原さんが拾ってきた流木も。DIY好きは要チェックです。


UUU.のデニム製ハンテン(1万6800円)。デニムになると、カーデがわりに着られるのがおもしろいですね。


フランス生まれのパトリックなのになぜTSUGIKIに? じつはパトリックは1990年より日本で製造しているんです。日本の職人が作るため生産数は限定されますが、その美しさと作りのよさに魅了される人が多いのも納得です。


レトロなガラス製水差しやグラス、ちゃぶ台などが並んでいて、これらをキャンプに取り入れるのもカッコイイですね。アウトドアとは真逆な感じがしますが、いつもよりちょっぴり丁寧に扱えばいいだけ。

グランピングが市民権を得た今、ソファやランプ、日常で使う食器をキャンプに取り入れることは珍しくありません。TSUGIKIを訪れると、「キャンプにはタフな道具を」というイメージに凝り固まることなく、自由に気に入ったモノを取り入れればいいんだと再発見できます。


いま、求められるショップの意味


通販の発達で全国からいろいろなモノが安く手に入るようになり、リアル店舗の運営はなかなか大変なものがあります。そんな状況で、なぜ店舗運営をはじめたのでしょうか?

ふらりと立ち寄るたびに、何かおもしろいモノ・情報が見つかるのが店舗の存在意義だと思います。

職人とのコラボやここにしかない一点物もそろえ、お客さまがこの店を応援したくなる。そんな粋なマーケットを作り上げたいですね。(木原さん)

是非、千代田線や日暮里周辺に行く予定があったらTSUGIKIに寄ってみてはいかがでしょうか。きっとここでしか出会えない道具や、ここでしか話せない会話ができるはずですよ。

TSUGIKI
東京都文京区千駄木2-7-13 03-5832-9313
https://www.instagram.com/tsugiki_tokyo/
火曜定休日

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大森弘恵

フリー編集者、ライター。〔おひつじ座 × A型 × 我が道をいくライオン〕

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