CAMP HACK × HUNT
この記事は、アウトドア雑誌『HUNT』で掲載された記事の一部をCAMP HACKでもお届けする連携企画です。
今回は、HUNT編集部が北海道に向かいセレクトショップを取材した記事となります。
北海道のセレクトショップを、『HUNT』編集部が取材
自然と共生する町として近年注目を集める北海道・東川町。注目のスポットが数多く存在するが、セレクトショップ「SALT」もそのひとつ。
つくり手の想いがこもったアイテムだけを取り揃えている「SALT」
私事から始めてしまい大変恐縮だが、北海道・旭川で生まれ育った僕(HUNT編集部 坂上)としては、「隣町の東川町がアツいらしい」という噂を聞いても俄かには信じられなかった。人口1万人に満たない小さな町に年々移住者が集まり、東京近郊にありそうな感度の高いカフェや木工店があちこちに点在し、モンベルが店を構える……という事態が起こっているとは到底思えなかったのだ。僕の中では、正直なところ北海道に数多ある過疎に苦しむ市町村のひとつでしかなかった。
だが今回改めて久々に東川を訪れてみると、確かに町は変わっていた。相変わらず「街」と言えるほどの繁華街はない。道を歩く人がやたら増えたという印象もない。でも家は確実に増えていて、それらはすぐに建売とわかるクローンのような見た目ではなく、どれも個性を主張している。
どうやら東川が元気になったのはここ10年ほどのようだが、もちろんその原動力となったキーマンがいるはず。ここにご紹介する米山勝範さんもそのひとりだろう。
「もともと僕は東川出身ですが、田舎のコンプレックスから高校卒業後に札幌に出てセレクトショップで勤めていましたが、独立するにあたって東川に帰ってきたんです。ものすごく郷土愛があって、っていう感じではないんですが、アウトドアが好きだから、札幌よりリアルにアウトドアを感じられる場所でモノを売りたいなと思って。東川は夏は釣りや山登り、冬はスキーやスノーボードと、一年中アウトドアに適した場所なので、シャッター街だけど実家もあるし帰ろうか、と」
札幌のセレクトショップ時代にネぺンテス、ゲンテンスティック、マウンテンリサーチなど、アウトドアをルーツとする様々なブランドとの出会いがあった。そして好きなつくり手さんが、自然の中に身を置いて生活しながらモノづくりをしている様に惹かれたのだという。特に影響を受けたのが、マウンテンリサーチの小林さんだ。
「前身のジェネラルリサーチ時代からお世話になっていて、小林さんのウッドデッキにお伺いしたこともありますし、小林さんも東川に遊びに来てくださいました」
米山さんのお店「SALT」は、北海道一の高さを誇る旭岳へと向かう幹線沿いにある。だが三方を木に囲まれており、次々と結構なスピードで通り過ぎるクルマの音もさほど気にならない。ランドスケーププロダクツがデザインを手がけ、地元の人々と共に造り上げた店舗と米山さんの住居はウッドデッキのアプローチで繋がっており、当初黄色かったとど松の外壁はわずかに濃くなっているという。
木々に囲まれた庭には、テント用のウッドデッキや大きなたき火場が。どことなく、マウンテンリサーチの小林さんの、川上村にある基地に通ずる雰囲気がある。
「SALTという名は、そのまま塩から取りました。塩は人が生きていく上で必要なモノですよね。僕は必要とされるモノを扱っていきたいなと思ったので」
店内を見回すと、買ってそのまま山へ、というハードなアイテムよりは、アウトドアの匂いを日常に取り入れるような商品が目立つ。
「東川は旭岳に近いのでハードなアウトドアフィールドにも行き易いのですが、ピークを目指すだけじゃなくて日常にも使えるモノを提案したいんです。永く使えて、年月を経るにしたがって味わいを増していくモノが好きなので」
つくり手の思いをしっかりと届けたいから、おのずと品揃えは日本のブランドが多くなったとのこと。北海道ではなかなか取り扱いの少ないこだわりのブランドの品々が取り揃えられているからか、はたまたお店の雰囲気がいいからか、道内各地から来店してくれるという。北海道外の人も、SALTと東川にぜひ立ち寄ってみていただきたい。
shop info.
北海道上川郡東川町東4号南1番地
tel:0166-82-6660
http://salt-life.com/
営業時間:11:00-18:00
定休日:水曜日、第1・第3火曜日
店内をぐるりと見て回ろう
ショップのコンセプトそのままのご自宅
ショップに隣接する米山さんのご自宅も見せていただいた。大きな吹き抜けのある豊かな空間が広がり、トレーニング用にと2階まで届くクライミングウォールが設置されている。SALTのコンセプトと同様、最低限必要なモノだけ、大切に使い続けられるモノだけがある。愛猫の小雨ちゃんは、レンズを向けても嫌がるどころかどんどん近づいてきてくれた。時にはクライミングウォールを駆け下りることもあるとか。
photo&text:Yoichi Sakagami
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