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CwS創業者にインタビュー!英国グランピングの現状と日本での展望とは?(2ページ目)

英国でグランピングが発祥したきっかけ

キャンピング・ウィズ・ソウル創業者にグランピングについて取材

撮影:編集部

—この度はご来社くださり、ありがとうございます。最初に、CwSがグランピングビジネスをスタートしたきっかけを教えてください。

そもそもグランピングは、英国で始まったとされています。しかも、当時流行していた25〜30歳のヒッピーたち(既成概念にとらわれないで、自然の中で野生生活を提唱する人たち)が、ベルテントの前身とされるテントを使ってキャンプを楽しんでいたことが先駆けとされているんです。

ただ、当時のテントは生地が分厚くて撥水性がほとんどなかったので、とても快適なテントとは言えません。そこで、今の技術を使って撥水性をかけた15.5オンスの薄いコットン生地を使って、ベル型のモノポールテント(=ベルテント)を発売しました。ちなみに、「CwS」は屋号(=会社名)で、ブランド名は「ベルテントUK」なんです。

—なるほど、屋号とテント名は別なのですね。CwSが扱っているテントのその他の特徴を教えていただけますか?

CwSのテントは、5mの特大サイズなのに構造が簡単なので、慣れた人が設営すれば15分ほどで張れます。また、サイドウォールを巻き上げて開放することができるのも特徴です。暑くなったら、これを開放して風を通すことができるんですよ。

ただ、フルオープンだと虫が寄ってくるので、「プロメッシュ」という網戸を採用しています。サイドウォールと二重構造になっていて、ウォールだけ巻き上げてプロメッシュは閉じておけば虫が中に入ってきません。インナーテントをつけてしまうと、せっかくの空間を仕切ってしまって狭くなってしまいますから。

グランピング ティーライトシャンデリア

出典:CwS Japan

—たしかに、インナーテントがあるのとないのとでは、広さがかなり変わって来ますね。CwSでは、ベルテント以外に何か販売しているのですか?

ありますよ。テントの上から吊り下げる「ティーライトシャンデリア」というライティングです。リング状のフレームに21個のキャンドルを入れるケースが付いていて、キャンドルを灯せばこれだけでテント内が暖かくもなる優れものです。見た目の割にコンパクトに収納できて、ゴージャスなうえに機能も良い!

そのほかに、薪ストーブ「アネヴェイ」の卸販売をやっているので、それもセットで販売したりしたいと考えています。日本人なら知っていると思いますが、コットン生地はナイロンやポリエステル生地と比べて火や熱に強いので、薪ストーブとの相性はバツグン。なので、CwSのテントは薪ストーブを使える仕様にしています。まだ本国しか販売してないので、日本には徐々に輸入して販売していきたいと思っています。

日本のメーカーは薪ストーブを基本的に禁止していますが、英国をはじめとするヨーロッパのメーカーは初めから入れられる仕様のモデルもあります。この点は、文化の違いがよく現れていますね。

—ベルテントと薪ストーブのセットは最高の組み合わせですよね! どんな人たちが使っていますか?

グランピング 薪ストーブ

出典:CwS Japan

いろんな人たちが使ってくれています。たとえば、英国ではヒッピー世代の人たちが当時のキャンプを現代風にアレンジしてこのベルテントを使ってくれているし、定年を迎えてリタイアした人たちが、上質なテントを使ってキャンプをするときにCwSのアイテムを使ってくれることもあります。

また、場所によっては季節によって仕事がなくなる農家が、空いている土地にこのベルテントを張って期間限定で宿泊場所を提供する、なんてこともあるんですよ。英国では、グランピングはホットなジャンルなので、ニーズもあって利用者も増えているみたいです。

“自然に感謝する”という英国人の文化

キャンピング・ウィズ・ソウル創業者にグランピングについて取材

撮影:編集部

—空いている農地をグランピング施設として期間限定で提供するのは日本ではないですね! ところで、日本と海外でキャンプの違いはありますか?

日本に関してはこれからリサーチをしていく予定です。海外でいえば、英国ではどの家にもそこそこ広い庭があるので、そこで外部の人がテントや他の道具を持ち込んで宿泊することもできるんです。

しかも、宿泊に来た人たちは、そこで泊まらせてくれる敬意として、ゴミを残さないのはもちろん、“来たときよりも美しく”の精神で利用しています。これは自然に感謝する文化が英国に根付いているということかもしれないですね。

—とても素晴らしいことですね。モラルをもってキャンプをする文化は、日本も参考にしてもらいたいです。

あと、スペインでは公有地であれば最大3日間はどこでもテントを張って泊まれるという法律もあるんです。日本でも、そんなゆるいアウトドア文化が普及してほしいですね。

キャンプ場運営はグランピング文化を浸透させたいひとつのかたち

キャンピング・ウィズ・ソウル創業者にグランピングについて取材

撮影:編集部

—日本では、グランピングという単語はある程度浸透してきています。一方で、一気に普及したあまりにすぐに終わってしまうかもしれないと感じています。

私たちも、そこを危惧しています。英国では、ヒッピー世代が子どもたちと一緒にキャンプへ行って、その子どもたちがさらに下の子どもたちとキャンプをする。そのように、次の世代へ受け継がれています。

たしかに、日本ではグランピングを単なる流行と捉えているかもしれないですが、英国のように文化として定着して、一過性で終わらないようしたいですね。そのために、たとえば埼玉県飯能市に「CwS Hotel Naguri」というキャンプ場を開業して、グランピングを気軽に体験できる場所も作りました。

—CwSがグランピング施設を設立した話は、各メディアで出ていますね。そのほかに、何か取り組んでいますか?

「CwS Hotel Naguri」以外の場所でもグランピング施設を提供したいですね。日本は、家や倉庫のサイズが海外と比べて小さいので、ベルテントを買っても置いておく場所があまりないですよね。それなら、手ぶらでキャンプ場に来てグランピングを楽しんでもらったほうが合理的かなと思います。

あと、たとえばレンタカーショップと提携して、車をレンタルしたらセットでベルテントもレンタルできるようなパッケージを組んでいけたらと考えています。車のルーフにテントを載せて、そのままキャンプ場へ持っていけると便利ですよね!

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